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完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第十八章 第七十話 旧世界の観測拠点

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 旧世界の観測拠点は、沈黙していた。

 白い石と黒い金属で組まれた巨大構造物。

 かつては世界を“観る”ための場所だったものが、今は世界を“作り替える”ための祭壇になっている。

「……嫌な感じだな」

 フォードが低く呟く。

 空気が、重い。

 魔力の流れが歪み、呼吸するだけで異物を吸い込むような感覚があった。

「罠、多いよ」

 先行していたミーニャが指を立てる。

「足元、天井、壁」

「しかも、殺すためじゃなくて“削る”系」

「長期戦想定か」

 ネコルトが即座に理解する。

「侵入者を疲弊させて、奥で仕留める構造ですね」

 答えるより先に、影が動いた。

 白い翼。

 歪んだ肉体。

 人の形を模した、天使もどき。

「来るぞ!」

 クリフが槍を構える。

 闘気が薄く全身を包み、視線が一気に鋭くなる。

「ダイアン、前」

「ライブ、後衛」

「ミーニャ、罠解除しながら進路確保」

「了解」

 返事は短い。

 天使もどきが突っ込んでくる。

 ダイアンが大槌で受け止め、

 ヘトルビースが側面から鉤爪を叩き込む。

「にゃっ!」

 再生しかけた肉体を、ライブの付与魔法が“遅らせる”。

「今!」

 クリフの槍が、核を貫いた。

 白い肉体が崩れ落ちる。

「……前より楽だな」

 フォードが言うと、ネコルトが首を振る。

「楽になったのではありません」

「対応できるようになっただけです」

 その言葉どおりだった。

 罠は、ミーニャの目と手で無力化され、

 天使もどきは、連携で確実に潰される。

 進むほどに、空気が変わっていく。

 魔力の濃度が上がり、

 床に刻まれた魔法陣が脈打ち始める。

「……近い」

 ナリアが拳を握る。

 その先。

 巨大な円形空間。

 中央に、聖杯。

 その上に掲げられた、聖杖。

 魔法陣の中心で、白い光が渦を巻いている。

 そして。

 そこに、ザルヴァトが立っていた。

「――よく、ここまで辿り着きました」

 穏やかな声。

 だが、その目は冷たい。

「正直に言いましょう」

「皇太子や、ミカエルが倒されるとは思っていなかった」

 肩をすくめる。

「ですが」

「私には、使命があります」

 ザルヴァトは両腕を広げた。

「神の真実を、この世界に明らかにすること」

「そして――復讐です」

 視線が、一人一人をなぞる。

「ミーニャ」

「あなたの情報収集がなければ、ここまで最短で来られなかった」

「クリフ」

「あなたの闘気の扱いは、天使対策の基礎になった」

「ダイアン」

「あなたが稼いだ時間が、研究を完成させた」

「ライブ」

「あなたの魔法理論は、神域への干渉を可能にした」

「ナリア」

「毒竜王と狂龍化のデータは、進化の突破口だった」

 そして、少しだけ笑う。

「大魔公爵のくだらない下剋上で」

「魔王の注意を引けたのも、助かりました」

 ピサラが鼻で笑った。

「相変わらず、嫌味ったらしいね」

 ザルヴァトは、そこで初めて視線を鋭くする。

 ネコルトを見る。

「……ただ一人」

「あなたは、予定外だった」

 声が、低くなる。

「最初に殺しておけばよかった」

「あなたさえいなければ、ここまで邪魔されることはなかった」

 感情が、滲んだ。

「……後悔は、ここで終わりにします」

 ザルヴァトが手を掲げる。

 空間が歪む。

「ウリエル」

「ラファエル」

 白い光が割れ、

 二体の大天使と、天使軍団が姿を現した。

「行きなさい」

 その瞬間。

「俺たちが引き受ける!」

 クリフが声を張り上げた。

「フォード!」

「ピサラ!」

「ネコルト!」

 槍を構え、前に出る。

「奥へ急げ!」

「ここは、俺たちで止める!」

「了解!」

 フォードは一瞬だけ振り返り、

 仲間たちの背中を見る。

 迷いはなかった。

 三人は、中央へ走る。

 その先。

 魔法陣の中心に、横たわる少女。

「……クエラ!」

 フォードが叫ぶ。

 反応は、ない。

 走り寄ろうとした、その前に。

 ザルヴァトが立ちはだかった。

「ここから先は――」

 ピサラが一歩前に出る。

「私とフォード相手に」

「勝てるつもり?」

 ザルヴァトは、静かに頷いた。

「今のままでは、難しいでしょう」

 そして。

 懐から、光り輝く結晶を取り出す。

「ですが」

「天使を超え」

「神へと至る“進化の秘法”がある」

 結晶を、飲み込んだ。

 光が、爆発する。

 空間が、悲鳴を上げる。

 ザルヴァトの身体が、変質を始めた。

 ――神に至るための、第一段階。

 戦いは、ここから本番だった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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