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『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第二章 第六話 王都帰還 ― 追い打ち

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 王都の門が見えたとき、ネコルトはようやく、肩から力が抜けるのを感じた。

 闇の遺跡から、ひとりで戻る帰路。

 勇者一行のいない道は、あまりにも静かだった。

(……フォード。ミーニャ。クリフ。みんな……)

 脳裏に浮かぶのは、連れ去られていく仲間たちの姿。

 暗黒神官ザルヴァトの、あの含みを持った言葉。

――王都からの“連絡通り”だ。

 胸の奥に、冷たい棘が刺さったまま抜けない。

 王都に着くや否や、ネコルトは城へ向かった。

 勇者一行が拉致されたこと。

 闇の遺跡が罠だったこと。

 魔王が現れ、フォードだけを連れ去ったこと。

 すべてを報告し、救出を訴えた。

 だが。

「……残念だが、今は動かせん」

 大臣バルザンは、書類から目を離しもしなかった。

「魔王軍の罠に嵌ったのは、勇者一行の判断ミスだ」

「彼らは――その、行方不明という扱いになる」

「そんな……!」

 ネコルトは声を荒げた。

「生きています! 連れ去られただけです!」

「救出隊を――」

「予算がない」

「兵の損耗も大きい」

「それに――」

 将軍バランドスが、鼻で笑った。

「勇者など、替えはいくらでもいる」

 その言葉に、ネコルトは言葉を失った。

(……使い捨て、だったのか)

 城を出たとき、空はどんよりと曇っていた。

 それでもネコルトは、まだ諦めきれなかった。

 勇者一行が住んでいた拠点――王都郊外の屋敷へと戻る。

 そこは、仲間たちと共に過ごした場所。

 作戦を練り、笑い、酒を飲んだ――帰る場所。

 だが。

 屋敷の前で、嫌な予感が背筋を走った。

 扉の向こうから聞こえてきたのは、

 叩く音ではなかった。

 踏み鳴らす音だ。

「開けろ!」

 怒号。

 ネコルトが扉を開けた瞬間、

 武装した冒険者たちが、なだれ込んできた。

 その後ろに立っていたのは、

 豪奢な服を着た、肥えた男。

 ――商工会の幹部。

「商人ネコルト」

「勇者一行への“投資回収”だ」

「……投資?」

 男は、羊皮紙を突きつけてきた。

「勇者一行は、我々から多額の支援を受けていた」

「未返済だ。よって――」

 冒険者たちが、一斉に武器に手をかける。

「資産差し押さえを行う」

「そんなもの、身に覚えがありません!」

「ほう?」

 男は薄く笑い、紙を指差した。

「貴族の認証印がある」

「……捏造だ」

 ネコルトは、即座に不備を指摘した。

 日付の矛盾。

 金額の算定根拠。

 署名の筆跡。

 だが。

「細かいことを言うなよ」

「そもそも――」

 冒険者のひとりが、愉快そうに言った。

「勇者一行は賞金首だろ?」

「こいつも、身ぐるみはいじゃおうぜ」

 冒険者たちは、力尽くで部屋を荒らし始める。

「やめろ……!」

 ネコルトは後ずさった。

 勝てない。

 ここで捕まれば終わりだ。

 彼は、窓へと走り――飛び出した。

 追手の足音が迫る。

 路地を曲がり、転びそうになったそのとき。

 袖を、引かれた。

「こっちです。お入りなさい」

 白いローブの人物。

 導かれるまま転がり込んだ先は――

 教会だった。

 重い扉が閉じられ、外の喧騒が遮断される。

 ネコルトは、その場に崩れ落ちた。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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