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完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第十二章 第四十三話 それぞれの覚悟

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 王都の一角。

 臨時に設けられた作戦準備室は、静かな緊張に満ちていた。

 地図。

 魔力反応図。

 暗黒神官の研究所と思しき地点の推定座標。

 その中央で、ダイアンは腕を組み、じっと一点を見つめていた。

 ――ライブ。

 その名が、頭から離れない。

「……早く行かせてくれ」

 低く、押し殺した声。

「向こうは、今も……」

 言葉が続かない。

 その背中を、ヘトルビースが見ていた。

 耳が、微かに伏せられている。

 ダイアンの様子は、誰の目にも明らかだった。

 焦り。

 怒り。

 そして、愛しい者を奪われた者の、どうしようもない衝動。

 それを見て――

 ヘトルビースは、ほんの一瞬、視線を落とした。

 そこに、ミーニャが近づく。

「……つらいよね」

 いつもの軽口ではなく、静かな声だった。

 ヘトルビースは一瞬だけ驚いた顔をし、そして小さく笑う。

「……にゃあ」

 それから、はっきりと言った。

「でも、知ってるにゃ」

 ミーニャは、黙って聞く。

「ダイアンが、ライブのこと好きなのは」

 その言葉に、空気が僅かに揺れた。

 ヘトルビースは続ける。

「それでも」

 胸に、そっと手を当てた。

「だからって、私がダイアンを好きにならない理由にはならないにゃ」

 ミーニャは、しばらく何も言えなかった。

 そして――

「……強いね、あんた」

 それだけ言った。

「にゃ?」

「感情って、止められないもん」

 ミーニャは肩をすくめる。

「だから、つらいし、厄介で……でも、本物」

 ヘトルビースは、少しだけ目を細めた。

「……ありがと、にゃ」

 ***

 一方で。

 地図を見つめるダイアンの背後に、ネコルトが立っていた。

「……急いでいるのは分かります」

 穏やかな声。

 だが、そこには明確な強さがあった。

「ですが、今回は違います」

 ダイアンは、振り返らない。

「向こうは――」

「待ち構えています」

 ネコルトは、はっきりと言った。

「罠も、迎撃も、情報戦も、すべて準備済みでしょう」

 ダイアンの拳が、僅かに震えた。

「だから」

 ネコルトは続ける。

「これまで以上に、念入りな準備が必要です」

 ダイアンは、しばらく黙っていた。

 そして――

「……分かっている」

 低く、答えた。

「……だが、待つのは苦手だ」

 ネコルトは、少しだけ微笑んだ。

「知っています」

 ***

 別室では、シレッタ女王が皆を前にしていた。

 表情は、いつになく硬い。

「……今回の件」

 彼女は、ゆっくりと言葉を選んだ。

「国として、正式な援軍を出すことができません」

 空気が、張り詰める。

「情勢が不安定すぎる。

 王都の治安、地方の反乱、旧大臣派の残党――」

 彼女は、唇を噛んだ。

「……ごめんなさい」

 その言葉に、誰も責めることはしなかった。

 代わりに、一歩前へ出たのは――

 将軍だった。

「陛下」

 深く、頭を下げる。

「その代わり」

 顔を上げる。

「国は、我々が命懸けで守ります」

 力強い声だった。

「あなた方が戻る場所を、必ず」

 シレッタは、目を閉じ、そして――

「……ありがとう」

 静かに言った。

 ***

 夜。

 それぞれが、準備を進めていた。

 ミーニャは、情報網を張り直す。

 クリフは、武具と聖印を再点検する。

 ネコルトは、箱の中身を整理し、計画を組み直す。

 ヘトルビースは、獣人たちに指示を出す。

 ダイアンは、黙って剣を磨いていた。

 誰も、軽口を叩かなかった。

 誰も、無駄話をしなかった。

 それぞれが――

 それぞれの“守りたいもの”のために。

 そして。

 これが、ただの救出作戦ではないことを。

 全員が、理解していた。

 大魔公爵。

 暗黒神官。

 そして、龍化実験。

 ここから先は――

 本当の地獄だ。

 だが。

 誰も、引かなかった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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