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『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


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第二章  第四話 ――託されたもの

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 闇の遺跡は、静かすぎた。

 石畳に刻まれた古い紋様は苔に覆われ、崩れかけた回廊には風ひとつ通らない。

 戦場に向かう前の不気味な静寂――フォードは、その感覚を嫌というほど知っていた。

「……おかしいな」

 小声で呟いたのは、忍者のミーニャだ。

 すでに何度も先行し、罠の有無を確認しているが、何もなさすぎる。

「敵影なし。魔力反応も薄い。……薄すぎる」

 賢者ライブも同意するように眉をひそめた。

 クエラは聖銃を構えたまま、祈るように周囲を見渡している。

「油断している魔王軍を奇襲せよ――か」

 フォードは王の言葉を思い返し、奥歯を噛みしめた。

 あまりにも出来すぎている。

 だが、王命だ。拒むことはできない。

「全員、陣形を崩すな。ダイアン、前だ。クリフ、ナリア、左右を頼む」

「了解!」

 守護騎士ダイアンが盾を前に出し、

 武星クリフと龍拳士ナリアが左右に散る。

 ――その瞬間だった。

 地面が、崩れた。

「なっ――!」

 石畳が砕け、魔法陣が露わになる。

 同時に、天井と壁から無数の魔法光が降り注いだ。

「伏せろ!!」

 フォードの叫びより早く、衝撃が全員を襲った。

 毒。拘束。魔力封殺。

 重ね掛けされた古代魔法が、勇者一行を確実に削っていく。

「くっ……罠、です……!」

 クエラが治癒魔法を放つが、魔力が弾かれる。

 ライブが解除を試みるが、干渉を拒む結界が張られていた。

「王命だぞ……! 迎撃態勢万全って、どういうことだよ……!」

 クリフが吼えるが、返事はない。

 その時――

「フォード!!」

 聞き慣れた声が響いた。

 回廊の奥から、息を切らした商人が駆け込んでくる。

 ネコルトだった。

「間に合っ……!」

 だが、その瞬間。

 魔族の重装兵が一斉に姿を現し、彼を殴り飛ばした。

「ぐっ……!」

「ネコルト!!」

 フォードは叫ぶが、動けない。

 次々と押し寄せる魔王軍。

 奇襲されているのは、こちらだった。

 そして――

 回廊の奥、闇そのものが人の形を取る。

「……王都からの連絡通り、見事に罠にかかったな」

 黒衣の男。

 顔を覆う仮面。

 暗黒神官――ザルヴァト。

「内通……だと……?」

「察しがいい。勇者フォード」

 ザルヴァトは愉快そうに肩をすくめ、杖を掲げた。

「役目は終わりだ。――死ね」

 魔力が収束する。

 即死級。

 フォードは歯を食いしばり、仲間を見る。

 誰も動けない。

 ――だが。

 空間が、歪んだ。

 重圧がすべてを押し潰す。

 魔王軍の兵士たちが、一斉にひざまずいた。

「……下がれ」

 静かな女の声。

 魔王ピサラが、そこに立っていた。

「魔王……だと……?」

 ザルヴァトの顔が歪む。

「その男は、私がもらう」

 魔王はフォードを見据え、淡々と言った。

「待て! 彼は――!」

「口を慎め、神官。命令だ」

 有無を言わせぬ圧。

 ザルヴァトは唇を噛み、杖を下ろした。

 魔王の手が、フォードに伸びる。

 その瞬間、フォードはネコルトを見た。

 倒れ伏し、必死に立ち上がろうとする親友。

「……すまない」

 フォードは、かすれた声で言った。

「みんなを――頼む」

「フォード!!」

 次の瞬間、視界が闇に閉ざされる。

 魔王はフォードを連れ去り、姿を消した。

 残された勇者たちの前に、ザルヴァトが歩み出る。

「……私には、私の目的がある」

 淡々と告げ、杖を振る。

「連れて行け。商人以外をな」

「ネコルト……!」

 ナリアが叫び、必死に手を伸ばす。

「助けて……!」

 だが、ネコルトは動けない。

 ただ、見ていることしかできない。

 仲間たちが、一人ずつ、闇に飲まれていくのを。

「商人風情など、何もできん」

 ザルヴァトの冷たい声が、最後に響いた。

 そして――

 世界は、暗転した。

 ネコルトは、絶望の底で意識を失った。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

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