表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/57

第十章 第三十五話 王都に吹く、不穏の風

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 王都の門が見えたとき、ネコルトは小さく息を吐いた。

「……戻ってきましたね」

 見慣れた城壁。行き交う商人の列。賑わい。

 だが、空気が違う。

 ミーニャが目を細める。

「静かすぎる。人の数は多いのに、視線が多い」

 クリフも頷いた。

「敵意混じりだな。歓迎じゃない」

 ダイアンは無言で盾を背負い直す。

 ヘトルビースは耳を伏せ、尻尾を揺らした。

 ――そして。

 路地の影から、揃った足音が響いた。

「……来ます」

 ネコルトが言った瞬間、通りの両側から武装した兵が現れた。

 数、二十。

 揃いの鎧。

 貴族家の紋章。

 正規軍ではない。

「私兵だな」

 クリフが吐き捨てる。

 中央に立った男が一歩前に出た。

「商人ネコルト。王国秩序攪乱の疑いにより、貴様を拘束する」

 ミーニャが笑った。

「早いな」

 ネコルトはため息をついた。

「話し合いの余地は?」

「ない」

「でしょうね」

 次の瞬間――

 クリフが地面を蹴った。

「――来いよ!」

 槍が閃く。

 一人、二人、三人。

 鎧ごと吹き飛ぶ。

 同時にミーニャが消えた。

 視界の外から、喉元に刃。

 背後から拘束。

「静かにしろ」

 兵が倒れる。

 ダイアンは前に出た。

 盾を構え、敵の攻撃を一身に受け止める。

 ――鈍い音。

 斧が叩きつけられる。

 剣が滑る。

 魔法が炸裂する。

 それでも、動かない。

 ヘトルビースが吠えた。

「――下がれ、にゃ!」

 地面から岩の獣が生まれ、敵陣に突っ込む。

 混乱。

 悲鳴。

 逃走。

 数分後。

 路地には、倒れた私兵だけが残った。

 ネコルトは服の埃を払う。

「……なるほど」

 彼は王城の方角を見た。

「これはもう、表の喧嘩じゃない」

 クリフが息を整えながら言う。

「政治か?」

「ええ」

 ネコルトは目を細めた。

「“権力”のフェーズです」

 ミーニャが不機嫌そうに腕を組む。

「面倒なのに来たな」

 ネコルトは苦笑した。

「ええ。でも――」

 彼は歩き出す。

「逃げる気はありません」

 ダイアンが一歩後ろから続いた。

 ――前線に立つのは、いつもこの男だ。

 変わらない。

 ヘトルビースが小さく呟いた。

「……怖い商人にゃ」

 ネコルトは王都の大通りに出る。

 そこには、いつもと変わらぬ市民の姿。

 だが――

 貼り紙が増えている。

『不動産契約者募集』

『低所得者向け永住権契約』

『将来価値保証付き』

 ネコルトの足が止まった。

「……ああ」

 ミーニャが横を見る。

「なに?」

「始まっています」

 ネコルトは呟いた。

「私の手法の――模倣が」

 クリフが眉をひそめた。

「それ、まずいのか?」

「非常に」

 ネコルトは、貼り紙を一枚剥がした。

「これは……」

 彼は目を細めた。

「典型的なバブルの匂いです」

 ダイアンが聞く。

「……何が起きる」

 ネコルトは答えた。

「都市が、壊れます」

 王都の空に、見えない歪みが走り始めていた。

 それは――

 剣でも魔法でも止められない種類の崩壊だった。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ