表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結済『勇者一行を捨てた王国を、金融商が契約で追い詰める 〜残価設定ローンで復讐しながら、魔王から勇者も救い出します〜』  作者: ほまれ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/84

第四章 第十四話 武具は巡り、意志は繋がる

お読みいただきありがとうございます。

是非最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

 リースという仕組みは、言葉で説明するほど簡単なものではなかった。

 だが、形にするのは――商人の仕事だ。

 ***

 まずネコルトが行ったのは、「一ヶ所にまとめない」ことだった。

 鍛冶屋。

 武具商。

 道具屋。

 整備工房。

 輸送業者。

 すべてを分散させ、誰か一人が欠けても回る構造を作る。

「武具は売らない。貸す」

「壊れたら、直すのも契約内」

「使われなかった分は、次に回す」

 所有権は、あくまで作り手に残る。

 第十師団が持つのは、使用権だけ。

 それを可能にするため、ネコルトは一つ一つ条件を詰めていった。

「補修頻度」

「使用上限」

「損耗時の責任分界」

「返却期限」

 軍は、これまで曖昧にされてきた部分を嫌がった。

 だが、ラグナは違った。

「明文化されているなら、従う」

「兵が守られるなら、手間はいくらでも引き受ける」

 末席の師団長は、現場を知っていた。

 ***

 実装は、静かに始まった。

 第十師団に配備されたのは、最新鋭の武具ではない。

 だが――。

 剣は、折れない。

 盾は、割れない。

 鎧は、命を守る。

 それだけで、兵士たちの顔は変わった。

「……軽い」

「振り抜ける」

「前より、動けるぞ」

 何より違ったのは、「補給が止まらない」ことだった。

 壊れた武具は回収され、修理され、別の部隊へ。

 消耗品は、使った分だけ補充される。

 帳簿は、常に更新されている。

 ごまかしは、できない。

 だが――誰も損をしない。

 ***

 最初の実戦は、国境近くの小規模な魔族掃討だった。

 本来なら、貴族の依頼が優先され、後回しにされる案件。

 だが、今回は違った。

 第十師団が、前に出た。

「行けるな?」

 ラグナの問いに、兵たちは頷く。

「はい、師団長」

「今度は、足手まといじゃありません」

 戦闘は、短時間で終わった。

 盾役が前線を支え、

 槍兵が隙を突き、

 弓兵が後方を制する。

 何より、撤退判断が早かった。

 装備があるからこそ、無理をしない。

 被害は軽微。

 死者は――ゼロ。

 報告書を見たラグナは、しばらく黙り込んでいた。

「……これが」

「“普通”なんだな」

 ネコルトは、何も言わなかった。

 それが、奪われていたことを知っているから。

 ***

 夜。

 王都の軍部。

 第十師団専用の武具庫。

 ネコルトは、一人で帳簿を確認していた。

 入庫数。

 出庫数。

 損耗率。

 次回補修予定。

 数字は、嘘をつかない。

 ――順調だ。

 その時だった。

「……やっぱり、ここにいましたか」

 聞き覚えのある声。

 ネコルトは、ゆっくり振り返る。

 月明かりの差し込む通路に、黒装束の少女が立っていた。

「……ミーニャ」

 一瞬、言葉が出なかった。

 彼女は痩せていた。

 だが、目は――生きている。

「無事で……」

 その言葉を、ネコルトは飲み込んだ。

 ミーニャは、少しだけ笑った。

「師匠」

「生きててくれて、よかった」

 そして――。

 震える声で、呟く。

「……助けて」

 それだけで、十分だった。

 噂。

 強制。

 手先。

 すべてが、一本の線で繋がる。

 ネコルトは、静かに立ち上がった。

「……待たせたな」

「今度こそ、取り戻す」

 武具庫の灯が、二人の影を重ねていた。

 ここから先は――

 もう、逃げない。

最後までお読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょうか。

ぜひ、感想やコメントをもらえたら嬉しいです。

また、おかまバー〈ゴールデン戦国〉の夜話 ― 推し義龍様と転生ママ ―も連載中です。

そちらもよろしかったらご一読ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ