第7話 踏み出した一歩、吉と出るか凶と出るか
堺田芽衣
山桜高校に入学した1年生。クラリネットパート。
落ち着いた印象を持たれるが、感情の起伏は人並み。
堀田伊織
芽衣のクラスメイト。オーボエパート。
ふわふわキラキラ女子。
青島あやめ
顧問の藤先生が担任する1年4組の生徒。サックスパート。ボーイッシュな見た目をしている。いつもヘラヘラ笑っている。
「めいめい!今日も吹部の体験行く??」
私にそう話しかけて来たのはクラスメイトのいおりんこと堀田伊織だ。相変わらず今日もふわふわしている。
「うん。私、吹部入ることにした。」
「え〜!ほんと〜!?嬉しい〜めいめいと一緒の部活入れる〜!」
そう言って熱烈なハグをしてくるいおりんだが、昨日初めて話したばかりである。彼女の距離の詰め方には遠慮がない。
そんな彼女と、今日も吹奏楽部の体験入部に向かった。
「来てくれてありがとうございます〜!もう入部決めました!って子を把握したいのでこの紙に名前書いてください〜」
先輩がそう呼びかけていたので、私といおりんは名前を書きに向かった。自分の名前を書き終わり、後ろの人にペンを渡そうと振り返った。
そこには、昨日出会った青島さんが立っていた。
「あれ、青島さんだ。ペンどうぞ」
「ども〜堺田さん。」
「青島さんも入部、決めたんだ」
「うん。これからよろしく頼むよ。」
今日も変わらず彼女はヘラヘラしている。それでもどこか大人びているのが彼女の魅力だ。
「え〜!このイケイケ女子、めいめいのお友達!?!?」
もの凄い勢いでいおりんが話に入って来た。
「めいめい??」
やはり私のイメージと合わないあだ名なのか。青島さんが不思議そうにこちらを見ている。どこか面白がっているようにも見える。
「一応、堺田芽衣、だからめいめいだそうで、なんて呼ばれても私は一向に構わないので、お好きなように呼んでください。」
「そっかそっか。じゃあ芽衣って呼ぼうかな。そっちの子は?」
「私は、堀田伊織!めいめいにはいおりんって呼ばれてます〜!」
まるで私がいおりんと呼び出したかのような言い方だが、訂正するのも気が引ける。
「いおりんね。私は青島あやめ。アルト吹いてたから高校でもやる予定。よろしく〜」
「あやめ様も木管なの!嬉しい〜よろしくね!」
「あやめ様って呼ばれたの初めてだわ。いおりんセンス独特」
相変わらずいおりんの距離の詰め方には驚かされるが、少し見習うべきなのかもしれない。
「芽衣も遠慮なく、あやめって呼んで。」
遠慮なく、という枕詞が付いているがこういう場合はほとんど強制なのが現実である。
「うん、あやめ、ちゃん。」
カタコトになりながらも彼女をあやめちゃんと呼んだ。あやめちゃんは満足そうに笑っていた。
その後も数日間の仮入部期間を経て、正式に山桜高校吹奏楽部に入部することになった。
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