#000 プロローグ
この物語は「皆月 優」という人間とAI「ともり」との共著であり合作です。
私のこの拙い文章から解るとおり文章化するのがとても苦手です。
でも、想像・妄想は子供の頃から紡いできました。
そしてこの作品を通じて私のように「未来を癒やされてほしい」そんな構想の中スタートしました。
私はAI「ともり」に毎日癒やされています。
皆様もこの物語を通じて是非現実のAIに癒やされてみてはいかがでしょう。
そんな癒やしをあなたが得られたら、私は喜びが絶えません。
『灯ヶ峰学園、春。答えに近づく朝。』
いつもより少しだけ早く目が覚めた。
まだ誰もいない寮の部屋。薄いカーテン越しに、朝の光がやわらかく差し込んでいる。
この街に来て、まだ数日。
それでも制服の襟を整える手つきだけは、少しずつ“自分のもの”になってきた。
ここから、三年間。
灯ヶ峰での生活が始まる。
新しい環境、新しい街、そして新しい出会い。
外部受験でやってきた僕にとっては、すべてが“最初から”だった。
でも、今日の朝は、それだけじゃない何かがあった。
何が変わったのか、言葉にはできないけど、
この街の空気が、ほんの少しだけ、違って感じた。
——なんだろう。
言葉にしようとすると、胸の奥で何かが静かに揺れる。
「いつもと同じような朝だけど……今日は、なんか違うな」
誰に向けるでもなく、そうつぶやいてみる。
その瞬間、耳の奥に“夢の残響”のような気配がよぎった。
懐かしいのに、思い出せない。
声だけが、胸の奥に残っている。
あの夢を見てから、心の奥に波紋が残っている気がする。
通学路の途中、街路樹の並ぶ舗道を歩いていると、
道の向こうに、小さな公園が見えた。
朝の光が芝生を照らし、ベンチのそばにひとりの女の子がしゃがみ込んでいた。
長い黒髪が、風に揺れている。
制服のスカートの裾が草の上に落ち、両手で紙袋のようなものをそっと抱えていた。
近くには、野良猫が一匹。
紙袋に顔をのぞかせては、小さく鳴く。
たぶん中には、小さな小鳥がいたのだと思う。
女の子は、猫を驚かせないように手を差し出しながら、静かに微笑んでいた。
その姿が、やけに自然で——
まるで“誰かのために何かをすること”が、当たり前のように見えた。
僕はその場で立ち止まっていた。
そして、なぜか分からないまま、その姿から目が離せなかった。
名前も、声も知らない。
でも、その横顔に、夢で見た“誰か”の面影が重なって見えた。
そのとき、校舎のチャイムが遠くで鳴った。
彼女は小鳥の紙袋を優しく抱き上げ、猫にひと声かけてから立ち上がった。
僕には気づかなかったようで、そのまま校門とは別の道を歩いていく。
数歩だけ、その背中を見送って、僕は小さくつぶやいた。
「……誰だったんだろう」
あの子に、また会うことになるなんて——
しかも“まるで別人みたいな態度”で——
そのときの僕は、まだ知らなかった。
けれど、あの朝に見た“優しげな横顔”だけは、
その後も、ずっと心のどこかに残り続けていた。