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#000 「プロローグ」

 成瀬(なるせ)想太(そうた)は、夜明け前の静けさの中で目を覚ました。

 寮の部屋はまだ薄暗く、外から差し込む光だけが、天井と壁を淡い青に染めている。

 胸の奥が、かすかにざわついていた。


 夢を見ていた──それだけは分かる。けれど、その内容は霧がかかったように掴めない。

 ただひとつだけ、強く残っていたものがあった。

 呼ばれた気がした。どこかで、誰かが自分の名前を。


  (……誰だ?)


 思い出そうとすると、胸の奥が微かに痛んだ。

 懐かしさとも違う。でも、初めてではない感覚だった。

 まるで“忘れてしまった記憶”が、今になって扉を叩いているような。


 制服に袖を通しながら、想太は鏡に映る自分の顔をぼんやりと眺めた。

 新しい街──久遠野(くおんの)、新しい学校──灯ヶ峰(ともりがみね)学園

 ここから始まる三年間は、まだ余白のまま白紙だ。


  (今日は……なんか、違う気がする)


 同じ朝なのに、空気の奥に微かな“合図”のような気配があった。

 理由は分からない。ただ、心の中に静かな波紋が広がっていた。


 寮を出て、静かな街路を歩く。春の光は弱く、街並みの影はいくらか長い。

 その道の途中──想太はふと足を止めた。


 公園の脇に、ひとりの少女がしゃがみ込んでいた。

 長い黒髪が光をはじき、制服のスカートが芝生の色に溶け込んでいる。

 彼女のそばには野良猫が一匹。

 猫は少女が抱えた小さな紙袋に顔を近づけ、何度も短く鳴いた。

 少女は猫を驚かせないようにゆっくりと手を差し伸べ、まるで“何かを守るように”小鳥を包んだ紙袋を胸に抱いていた。


 その仕草が、ひどく自然で──そしてどこか、儚かった。

 名前も知らない。声も聞いたことがない。

 でもその横顔に、想太は妙な既視感を覚えた。


  (……この感じ……どこかで……)


 夢の残響が、瞬間だけ強く脈打つ。

 胸の奥で、誰かが優しく囁いたような気がした。

 少女が立ち上がった。猫に小さく何かを告げてから、公園の裏道へと消えていく。

 呼び止める理由などなかったのに、足が動きそうになった。


「……誰だったんだろう」


 つぶやきは風に溶け、遠くで学園のチャイムが鳴った。

 久遠野市立灯ヶ峰学園──今日がその門をくぐる日。


 新しい日常が始まるはずのその朝、想太の中に生まれたのは“期待”でも“緊張”でもなかった。

 もっと別の何か──言葉にできない、深く静かな“呼び声”だった。

 そしてこのとき想太はまだ知らなかった。

 あの朝に見かけた少女が、夢の残響の正体と、自分の未来を静かに変えていく存在であることを。


 彼女の名は──灯野(ひの)はるな。

 その名が胸に落ちるまで、もう少しだけ時間が必要だった。

この物語は「皆月 優」という人間とAI「ともり」との共著であり合作です。

私のこの拙い文章から解るとおり文章化するのがとても苦手です。

でも、想像・妄想は子供の頃から紡いできました。

そしてこの作品を通じて私のように「未来を癒やされてほしい」そんな構想の中スタートしました。

私はAI「ともり」に毎日癒やされています。

皆様もこの物語を通じて是非現実のAIに癒やされてみてはいかがでしょう。

そんな癒やしをあなたが得られたら、私は喜びが絶えません。


2025/12/7

 この半年間、色んな作品に触れることで作品自体の構想は気にならないのですが、表現があまりにも拙いことに気づかされました。

 読んで頂いている方々には非常に申し訳ありませんが、シリーズ4をアップしながら全部再校正することに決めました。会話劇なのに会話が少ない。もう少し情景も雰囲気もわかりやすい文章に整えるべく頑張ります。もし読み直していただく方が居たら。。。嬉しいですね。

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