教授と白衣娘とゴスロリ少女と
『人間は武器を持ってして戦おうとしても勝てないものがある。
ウイルス。
ウイルスとは未だに未知のものが何万、何百万とある。ウイルスという存在は非常に小さく肉眼だけでは見えない。だが、非常に繁殖性があるものだ。世の中に は『遺伝する』というウイルスもある。ウイルスとは何なのか、それは未だに分からない。
さて、話がつまらなくなる前にここで一旦切っておう、このまま話を続けていたら飽きてしまうからね。ウイルスという存在は本当に素晴らしいものでね、ときに生命の無いものを動かすことだって出来るんだよ、不思議だろう?そして人間にだって超人じみた能力を付与することだってある。ただ・・・ウイルスの感染によって超人化した人間が犯罪に使うなんてしたら・・・そこは、君達のご想 像にお任せしようかな。さて・・・そろそろ急がなくては。じゃあまたお会いしようじゃないか。』
デスクに置いてあるパソコンに向かって一通り喋り終えた男・・・四十代くらいだろうか、眼鏡をかけており、柔らかい雰囲気の持ち主だ。男はノートパソコンの電源を落とし、ドアの方へゆっくりと歩いていく。ドアを開けると眩しさで目を少し細めてしまう。数名の白衣を着た男女が小走りで廊下を走っていく。振り返ると、男の部屋は薄暗く、廊下の明るさと比べるとかなり暗い。
「教授!」
若い女子学生ぐらいの娘が話しかけてくる。長めの髪を高めに結い、少し活発な雰囲気の娘だった。白衣は娘の背丈より長く、少し裾が地面に着いて引きずっていて、袖も長く、手は完全に隠れてしまっている。
「あぁ、断花くんかね。どうしたんだ、レポートなら私のデスクに置いといてくれ…最近目の疲れが酷くてな、今からの仮眠室で仮眠をとってくるところなんだ。」
「目の疲れが酷いのは、教授がこんな薄暗い部屋でパソコンなんかやってるからですよ!なんでこんな暗い部屋でずっと居られるんですかねぇ・・・」
断花と呼ばれた娘はやや呆れ気味に言った。
「僕は暗いほうが落ち着くんだ。目の疲れなんて薬さえ飲めば治るしね、じゃあ 仮眠室で休むから、何かあったら来てね」 男はあくびをして廊下を歩いていく。
「は〜い!分かりました〜・・・」
しばらく笑顔で教授と呼ばれた男を見送る。数十秒後、断花の顔から笑顔が消え、静かに近くの【立ち入り禁止】と書かれた部屋の中へと入っていき、手袋をし色々な箇所を触って行く。
「……ここらへんかなぁ・・・この部屋教授の部屋より暗いから全然分かんないや、かと言って電気付けると怪しまれるからなぁ…普段から中々電気付けないから・・・ あぁぁもう!なんでこんな薄暗い部屋なの!?全然分かんないんだけど!!あて!!机の脚に小指ぶつけた!痛ぁぁ!!!」
そんな独り言(?)を呟きながら壁のあちこちを触っていると、ガコンと壁がへこんだ。
「お!ジャックポット!!」
しばらくすると、壁から両手ぐらいの大きさの箱が出てくる。
「おぉ〜!これが!あれ?これ鍵かかってるし・・・さては!」
断花は、白衣のポケットを探り、1つの鍵を取り出した。
「さっき教授からスっといて良かったぁ・・・まさかここでスリの力が発揮されるとは・・・」
苦笑いしながら、鍵を鍵穴にさす・・・とガチャリと音がして、蓋が開いた。中には、透明の液体が 入った注射器が貴重品を扱う様に綺麗に置いてある。
「こ、これが・・・長かった〜!この!この小さな注射器一個のために7年間もかかるなんて!!!早く帰らないと。」 戻ろうとした瞬間。
『警報 警報 只今・・・ザ・・・ザザ・・・・・・・・・』
なに?何が起こった?瞬時に頭の中で計算する。このアラームは滅多に鳴らない警報だ。ただならぬ自体があったに違いない。盗んだ事がバレた…?まずは、そうだ外に出なきゃ
ドアを開け廊下に出た――
「…へ?」
しかし、外に逃げるのに必死で、気付くのが遅かった。 頭上から降ってくる、瓦礫や土に。
□□□
ピ、ピピ、ピピ、、、ビビビビビビビビビ!!!!
「るっせぇぇ!!!!!」
目覚まし時計に向かって手を振り上げる。
「今何時だよ………は?午前四時???なんちゅー時間に起こしてくれたんだよ…」
確かに、外をよく見たらまだ薄暗いし、少し寒い。
しかし、起きてしまったものはしょうがない、詠月は1度目を覚ますと中々寝付けない体質なのだ。気晴らしにお茶でも飲むかと、動いた瞬間。すぐ右隣に誰かが寝ている事に気が付いた。
いや、うん。何となく察しはついてるんだ。誰なのかを。
チラッと見ると、そこには小さな寝息を立てているにもかかわらず、布団から壮大にはみ出しているマリナの姿があった。
「どんだけ寝相が悪いんだよ……というかコイツ昨日押し入れで寝るって言ってなかったか??」
どういう理由かは分からんがとにかく、邪魔だということだけは分かった。
う、動けん……
「ありゅえ…?詠月……?どうしたんでふかぁ?」
目を擦りながら虚ろ虚ろで聞いてくる。呂律も回ってねぇじゃんか…
「いや…特に用は無いんだけど…お前、なんでここにいるんだ?」
…
…
…
…
数十秒の沈黙の後。
「オヤスミナサイ…」
「おい。」
二度寝をしようとするマリナの肩を掴み無理やり振り向かせる。
「え、えぇ〜…いや、そのぉ…私だって押し入れで寝ようとしたんですよ?でも…狭かったというか…」
「押し入れなんて普通狭いだろ。逆に気付かづに寝たんか…?」
相変わらずの世間知らず……なのか?俺からの質問に答えたマリナは、もの凄い勢いで布団の中に潜った。どうやらこれ以上の質問は受け付けないという意思らしい。まぁ、
朝の4時だしな。
、
、
4時46分
ブー、ブーブー……
「ん?で、電話ぁ?こんな早朝に誰だよ……ノートリアス?は?」
どんな迷惑野郎だ。流石に怪しいので出るのは辞めておこう。
、
、
4時56分
ブー、ブーブー……
「…………ノートリアス……」
13回目。流石に出た方が……いや、見るからに怪しいだろ……ただこれ以上掛け続けられても単純に困る。というかシンプルに相手の粘り強さが…………。
「あ〜……もしもし?」
『やっと出たか。』
「明らかに怪しいですから。」
『要件だけ伝える。』
「よ、要件……????」
『10月18日、PM4時25分、赤、橋、将葉』
「は?」
『要件は伝えた、被害が少ない事を祈るよ』
「被害……?なにが起こるってんだよ!あっおい切るな!」
見事に切られた。被害……なんの事だ……??ふとスマホを見ると、恐ろしい現実が待ち受けていた。
本日:10月18日
次はやっと本格的な戦闘シーン書こうと思います。
それにしてもノートリアスさん10分間で13回も電話掛けるなんて熱心ですね。
最初の話は後々出ます!!どんなシーンだったのか、断花ちゃんは何者なのか、教授の本名は?
お楽しみください……!!!