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えくすとらげーむ②

 世界とは、二重構造である。


 片方は生物が見て感じる事の出来る現実、そしてもう片方は限られた者しか観測する事の出来ない鏡の向こう。


 その不可視な現実を観測できるものとして、筆頭を上げると精霊や神と言った頂上の存在だ。言わば其処は、人には決して辿り着く事の出来ない超克の花畑。


 ただし、人にも辿り着ける余地がある。


 まず一つ目の可能性としては、フィリウス・ラリー・Jrであること。彼が望めば、観測する事も不可能でなかろう。


 だがそれは完全なイレギュラーで、その他大勢に当てはまらない。


 辿り着けるなら、二つ目の可能性。魂となって天に還る時だけである。

 だが一般的に魂となった者は、よほど凄烈な輝きを有しているものでない限り意思を存続する事は出来ない。

 そして意思がない以上、観測するのも又、不可能となる。


 魂の輝き、という曖昧な表現だが、簡単に言うと『圧倒的な意思の強さ』だ。


 そして"彼"は言わずもがな、その条件に合致していた。


(なるほど、これが世界の裏側か)


 既に目と呼べるものは魂にはない。ただ俯瞰的に見るのは可能で、その現実は色とりどりで美しかった。

 無数の精霊が飛び交う硝子玉の世界では、流石の彼でも自分の小ささを思い知らされる。かつて、魔王と呼ばれた者であったとしてもだ。


(あそこに続いている燃ゆる灯……あれが魂か、なるほど。しかし、こうして天に還るのを自ら観測する事になるとは、魔王というのも困りものだな)


 意思のない魂は、自然に審判の場に続く列に整列する。ヴェスタは例外的にこの場を動く事が出来るが、何時までもこうしている訳にはいかない。


 本気を出せば"再び生き返る事も可能"だろうが、既に未練は残していない。砂粒ほどの余力も残さずに王として全て出し尽くして、そして遺して来た。


 "あの言葉"を勇者――ハルなら実行してくれると信じている。なら、潔く消滅するのが道理だろう。


 だが知識欲の塊であるヴェスタは、暫し探検して、新たな世界を知った。雄大で可能性に満ち溢れているその場所なら、きっと魔王として更なる力も培う事が出来るだろう。

 

(もし次なる生があるのなら、この光景を忘れない事を願おう。より強くなって、次こそは勝ちたいものだ)


 魔王としてではない。戦人として、一勝一敗の勇者と決着を付けたいと願った。


(さて、そろそろ還るとしようか)


 そして魂の列に続こうとしたヴェスタだったが、はたと気付く。


 自身と同じような、はぐれ者の魂を見付けたのだ。きっと彼、あるいは彼女も又、素晴らしい魂の輝きの持ち主なのだろう。


 心なしか黄金にも輝いていて、しかし何かを探して彷徨っている訳ではない。全く動かずにその場を浮遊する様子は、まるで『待ち人』のようだった。


 好奇心で近付いたヴェスタは言葉を発する事は出来ない為、魂の一部を重ね合わせた。


(――なるほど、そう言う事か。貴様は、我を待っていたのだな)


 その魂が望む事、天に還れない理由。それを知ったヴェスタは丁度いいと心の中で笑って、


(貴様に我が魂の輝きをくれてやろう。存分に使うが良い)


 紫紺の魂は平凡なものとなって、そこでヴェスタは意思を失った。代わりに、その黄金の魂に溢れんばかりの輝きを譲渡したのだ。


(――さて、いくか)


 そしてこの日初めて、不可視で不可避な現実から"一つの魂が脱走した"のだった――。


●●


「あー、さむ」


 道行く者の装いが厚着に移り変わって、日が落ちるのも早くなった。そんな秋の訪れは、町娘である彼女にとって待ち遠しいものだった。


 【大きな小人】という昼は飲食店、夜は酒場となる店を営業する身として、豊穣の季節である秋は食材の質も上がって、料理の種類も増える。

 笑顔になってもらいたい一心で美味しい食事の提供を続ける彼女――リアにとって秋は一年で最も一番好きな時期だ。


 だが最も短く、直ぐに枯れ行く秋の季節はどこか言い表せない寂寥感が漂う。明るい笑顔が人気で日々繁盛していることもあって、リアは滅多に暗い顔をしない。


 だが時々、思い出す事がある。もう今は会う事が出来ない、小さな黄金の背を。


「……又、考えてる。嫌になるわ、全く」


 この姿に、ヒューマンの町娘になって漸進的にリアは成長していっている。自分の気持ちにも割と素直になって、「最近は俺の事を人間扱いするようになったなと」ハルも太鼓判を押す程だ。


 だが既に過ぎ去って取り戻す事の出来ない思い出に、どうしても想いを馳せる事がある。――もう考えても無駄だと分かっているのに。


「あー、さむ」


 今日はやけに寒い日だ。こんな日こそ、仕事で体をテキパキと動かして温めたい所だが、ミアを含めて従業員が謎の高熱で休んでしまったため、【小さな小人】は本日休業である。

 一人で切り盛りするには、繁盛し過ぎた。勿論多くの人に喜んで貰えるのは嬉しいが。


「……どうしようか」


 時たまの休日は妹のミアと遊ぶことが多いが、さっきも居たが謎の病欠で不在だ。


 ハルでも誘ってダンジョンに行こうか。

 こうして町娘となったこの身だが、ストレス発散も兼ねて、週に一度はアマゾネスの姿となって冒険する。


 だが既に変換能力を失ってしまったハルとの実力差は余りにも大きく、仲間というより『傭兵』の方が近かった。

 ただ本人はやる気があるようなので、リアとして彼が望むなら冒険に付き合い続ける所存だ。


 今の充実した生活があるのは、全てあの黒髪の青年のおかげ。個人的な感謝も含めて、魔王を倒したことなどを含めると計り知れない恩がある。


 しかしこれだけハルと共にいて彼の偉業も知っているのに、全く女として心が靡かないというのだから全く面白い。


 果たしてこの身が恋心に疎いのか、それともハルに男しての魅力が無さすぎるのか。恐らくどちらとも推測するが、後者の要因が多い気もする。


「ハルのとこいくかぁ」


 でもやっぱり、困ったら彼の所に辿り着いてしまう。腐れ縁、というまで共に年月を過ごしていないが、ハルは心を許す事の出来る親友には違いなかった。


 ハルを探す為、リアは彼の家やギルドにも赴いた。しかしどこにもおらず、帰って眠ろうとしたところで、


「た、大変だぁ!」


 全身を包帯でグルグル巻きにした、出来の悪い人形がリアの前に現われた。その声……もしかして、いや、もしかしなくても中身はハルだった。

 往来で人目を引く中、関わりたくないので無視を決め込もうとした。


「ま、待てよ。大変なんだよ」


「あんたの頭が?」


「それは前からだが、もっとヤバイ。正確に言うと、お前の妹が」

 

 ピクリと耳が動き、逸らしていた目をリアはハルに縫い付ける。


「ミアに何かあったの?」


 食い気味に質問するも、中々返答が帰ってこない。視線を伏せて「くっ……」何て三文芝居を続けている所を見るに、あまり大した話では無さそうだった。

 そもそも包帯の量に反して、関節はぬるぬる動いている。ただ妹の話が出て来た手前、聞いて確かめるまで安心する事が出来ない。


「……ミアが……お前の妹が、魔王になっちまったーー!」


「……は?」


 予想外の返答に、リアは目を白黒する事しか出来ない。


 その横では自分の足に引っ掛ける事で包帯が全部捲れて、ハルが健康体を露にしていた。



 ――ややあって。


「何、つまり私の妹が魔王になって世界征服を企んでるって、あんたは言いたいの?」


「ああ、その通りだ。止めようと思ったが無駄だった、俺もこんなにボロボロに……!」


「見ての通りの健康体よ。何を企んでるか知らないけど、ミアが突発的な行動をするのは珍しくないわ。いいわ、暇だし付き合ってあげる」


 そうして、リアは魔王になった妹?を改心させるべく、今日一日の暇を使う事になったのである。


「で、ミアは何処に居るの?」


「魔王城だ。恐ろしい側近と一緒に、夜闇を狙ってる……!」


「馬鹿らしい、早く案内して」


 どこまでも、ハルは役者になりきっている。勇者を城まで導く明らかなモブとなった冒険者Aは、リアをその"魔王城"の前に連れ出した。


「……ここ、勇者パーティーが住んでる館じゃないの?」


 イリス、アオイ、タケ。店の常連でもある勇者三人が住居としている、冒険都市でもひと際大きな館だった。

 本当は魔王城らしく黒く塗装しようとしたのか、沢山のバケツが傍には転がっていた。代わりに、「魔王城へようこそ」と雑に垂れ幕が降ろされている。


 部屋の全てにカーテンが掛かっていて、中を覗く事は出来なかった。


「侮るな、中は本当に"魔王城"になってる」


「はいはい、そうですねーーって、本当なのね!?」


 早く茶番を終わらせようと館に踏み入ったが、その瞬間に空気が変わった。恐らく結界、それも作り出した別空間を転写する高度な代物。


 天井から吊られるシャンデリアに、物々しいモニュメントの数々。以前、一度だけ見た事のある魔王城一階と遜色なかった。


「邪悪な気配がする……!どうやら俺はここまでだ、じゃあ武運を!」


 そう言って入って来た扉からハルは出て行った。代わりにコツコツと、甲高い足音と共に誰かが二階から一階を繋ぐ湾曲の階段を降りて来る。


「――全く、久しぶりに観光に来てみりゃ、どうしてあっしがこき使われなきゃならんぜよ。ま、前に助けると言った手前、仕方ないが」


 ここらでは見ないキモノと呼ばれる極東の恰好を(はだ)けさせて、酒瓶を抱えている中年の男。

 顔は赤く、様相と一致しただらしない奴だ。


 リアと面識はないが、それでも達人だという事は分かる。酩酊しても、その黒い瞳はしっかりとこの身を穿って離さない。


「良いわ、最近強い人と戦ってなかったしーーやってやらぁ」


 身を翻して、即座にスキルを発動する。町娘の透き通る肌は褐色に、纏っていた平凡な衣服は水の戦闘衣(バトルクロス)へと。

 闘争の気配に血を昂らせて、次の瞬間には地を蹴っていた。


「まだ名乗ってもないのに、本土の女子(おなご)は怖いのお」


 ひょうひょうと感想を述べるキモノ男を前に、容赦なく顎に蹴りの一撃――の筈だった。


「ぁーー?」


 だが気付けば平衡感覚を失って、リアは背中から地面に激突していた。直前で触れられたーーのは分かるが、それだけではこの世界の反転は納得が行かない。


「えーっとなんだったっけな。ああ、そうだそうだ。あっしはミア魔王様の配下、ユキシロぜよ」


「はっ、面白れぇ。どこまでも付きやってやるよ。だが酔った状態で倒せる程、私は甘くねぇぞ」


「昔は盲目的になるために飲んでたが、ある兄さんが教えてくれてな。言わばこれは儀式よ、あの時から"本気"になる時だけこうしてベロベロに酔っぱらうようにしたんだぜ?」


 懐から刀を取り出したユキシロは、虚空を何度かなぞった。その太刀筋は見惚れる程に美しい、清冽な川の流れのようだった。

 ただ、相性が悪かった。


「町娘の私と今の私。どっちも知ってる奴には、こういわれるんだ。"丸くなったな"って。だけどな、それはそう見せてるだけなんだよ」


「おっ講釈かい。いいぜ、酒の肴に女の語りは良く合う」


「勿論、私は素直になるために町娘で居るようにしてる。だが一番の理由は、この感情を抑える為だ。あの日からずっと……私はただ怒りを貯め続けてる」


 なぜ怒っているのか分からない。ただこうしてアマゾネスの姿になると、沸々と血が昂って憤怒がこの身を支配する。


 口角をあげ、闘争に翡翠を見開く戦闘狂に、ユキシロは酒を煽った。


「やっぱり本土の女は性に合やしない。信ずるべきは大和撫子、ミコト様だけぜよな」



 正しく達人の技を有するユキシロだったが、怒りによってブーストされたリアを前に呆気なく散った。

 ただ最後は降参する形で終わったので、もし命がけの神経勝負なら勝負は分からない。その剣技は急所を的確に外していて、そもそも『本気』とは嘘だったのだろう。


 わざわざあんな達人まで連れて、ミアは一体何を考えているのか。それを突き止める為にも階段を登って、リアは先に進む事にした。


「――フハハハハ、よく来たな!」


 一本道に差し掛かったところで、そんな魔王の哄笑が木魂する。その台詞はラスボスそのもので、まだ魔王城の中腹にしては早すぎるし、何よりもミアの声とは程遠い。


 ならば今から現れる敵は、中ボスと言ったところか。


 しかし、直後に天井を突き破って出て来た姿を見て、リアはあっけらかんとした様子で口をぽかんと開けた。


「てってれー!中ボスが現れた。この魔王様二番目の側近、最強な俺さんが相手になるぜ☆」


 キラリンと白い歯を輝かせるのは、どう見ても脇役ではなく主役級の男。せめてもの悪を取り繕うために漆黒の装備を身に纏っているが、その透徹な紅蓮の瞳は『穢れ』を知らない。


「……無理だろ」


 そもそもこっちは普段、料理の為に腕を振るっている。今も最前線で活躍し続ける、最強の冒険者に太刀打ちできると思う程、リアは己惚れていない。


「やらんと分からんだろ。ただ残念な事に、俺さんが本気を出せば二秒で決着が付く。そ・こ・で、だ。もしあんさんが望むなら、ここを通してやってもいい。――こうして頼まれて友情出演してるが、金は貰ってないからな」


 いよいよ、ミアの考えが分からなくなって来た。ハルも含めて、最強まで連れ出して一体何をしたいのか。

 頭の痛い展開に思わずリアは眉を揉む。


「……イライラするぜ、ったく。あの日からずっと、怒りは溜まる一方だ。やっぱり私は『日常生活』って奴が向いてないのかもな」


「そんな所にあらよいと。どうだ、俺さんを怒りのはけ口にでも?」


「そうだな。ちょうど糞硬いサンドバックを探してた」


 届く事はないと、一度は忸怩たる想いに耽った最強を前にリアは口角を上げた。

 紅蓮の視線に怒りを絡めて、猛獣のごとき荒々しさを以て喰らい尽くす。


 戦っても戦っても尽きる事のない怒りを、純然たる力に変換して踊り狂った。


 ――暫くして。


「おおっ、やばい……。腹痛いから、じゃあな」


 フィリウスは体調不良を訴えて戦いを放棄した。僅かな時間ではあったが、リアは死力を尽くしたのに目立ったダメージはなく、最後は腸の異常で幕引きとは何たる屈辱か。


 だが戦闘中、フィリウスが楽しそうに笑ってくれていたのが何よりの勲章だった。


「…………まだ怒ってやがる」


 元々フラストレーションが貯まりやすい性格もあるが、"あの日"からずっと炉の炎が燻り続けている。

 それは日を増すごとにめらめらと燃え上がっているが、どんな手段をとっても無駄だ。


 最愛の妹と時を過ごして、人々を笑顔にして。こうやって強者と殴り合っても、更に薪はくべられるだけ。

 でもその原因を、理由を、リアは知っている。


 今は遠き理想郷で背を向ける金の情景、もう二度と手に入らないあの時間が煩わしくて仕方が無い。


「あーもう、嫌になる。考えてもどうしようもねぇって言うのに」


 ミアをさっさと連れ帰ってお仕置きするのが先だと、記憶に残る魔王城の内観を頼りに前に進む。

 すると間もなく、一際大きな扉が現れた。ギィイと重々しい音を響かせながら、その玉座の間への道を開く。


 続く真紅のカーペット、奥に豪奢な椅子が添えられるだけの質素な空間。そこは確かに魔王と勇者たちが因縁に導かれて、勝敗を決してきた場所だ。


 結界で投影しただけの偽物とわかっていても、一人でこの場に足を踏み入れるのには緊張してしまう。

 覚悟と微かな恐怖の狭間に居る感覚。擬似的な勇者を体感できているのは、ここまで来た甲斐もあったというもの。


「よくきたな!」


 やはりと言っていいのか、玉座に腰を下ろすのは見慣れた翡翠の少女だった。

 身の丈に合わない漆黒のロングコートはむしろ可愛くて、思わず抱きしめそうになる。


 よほどさっきのフィリウスの方が魔王として最適で、ちょこんと座る少女は『魔』の言葉とはかけ離れていた。


「ミア、付き合ってやりたいのはやまやまだが、ここに来るまで結構疲れてる。仮病まで使って、一体何のつもりだ?」


「囀るな、人間!」


 それっぽい言葉を言っているが、声に覇気がないどころか自分で「ふふ」と楽しそうに笑ってしまっている。


「分かったよ、やりゃあいいんだろ。――魔王ミア、私はお前を倒す為にやって来た勇者だ」


「うむ!よく来た、そしてこれから貴様は絶望と……えーっと、何だっけ?」


「絶望と業火の鉛を打ち込まれる事になる、だよ」


「そうそう。どうだ、恐ろしいだろ!」


 何時の間に現われたのか、ミアに告げ口をするのは背の小さな仮面の人物だった。


 矮躯で金髪、それにその声……。何か引っかかる、リアは彼、あるいは彼女を知っていた。

 だが不思議な事に、それらの情報を処理する事が出来ない。何か不思議な抵抗力が働き、仮面の人物に対する一切の考え事が遮断されてしまう。


 ただ唯一、なぜかその仮面を見ていると苛立ちを感じる。


「行け、わたしの一番の配下、すーぱーイケメン美少年A!」


「それは少し長すぎると思うよ、僕の主」


「う~ん。あ、じゃあアドニスで!」


「神話の美青年か、いいね。――じゃあここまで折角来たのに悪いけど、このアドニスが君を始末させて貰う」


 ミアの前に立ちふさがったアドニスの仮面から、一瞬、赤い光が漏れ出した。


「生憎とこっちはさっき最強と戦って来たんだ」


 得物を携えてはおらず、ならばその小さな拳にリアは砕かれない。

 アドニスに対するいわれのない怒りのおかげで、今の女戦士(アマゾネス)は本来の種族以上の猛々しさを有していた。


 だが直後、"ぶっ飛んだ"。


「がぁっ!?」


 リアが攻撃を仕掛けるよりも早く、アドニスが視界から消失。次いで、この身は強い衝撃と共に天井を仰いでいた。

 赤いカーペットの上を何度かバウンドして、そのまま入り口の鉄扉に激突する。頑丈な扉は凹み、その一撃がどれだけ壮烈か物語っていた。


 途轍もない力とスピード、もし背中ではなく頭を打っていたら、その時点でリアはゲームオーバーだっただろう。


「もう終わりかい?」


「はっ、まだまだ」


「いい気合だ。でも今ので分かった、君じゃ僕を倒せない。ほら、特別にあげるよ」


 アドニスが懐から取り出してこっちに向かって投げて来たのは、回復薬だった。それも低品質な代物ではなく、見た事もないような万能薬(エリクサー)


 当然、リアはそれを握り潰した。


「癇に障る野郎だ」


 怒りが募る。施しを受け渡そうとしたのもそうだが、その喋り方がどうにも体が痒い。

 攻撃を受けて激昂している訳ではなく、単純にアドニスという仮面が、今はリアにとっての『薪』だった。


「僕は君の事、好きだけどね」


「はっ、ははは。――ぶっ殺す」


 体に鞭を打って、素早く肉薄する。芸の無い力技、膂力によって繰り出される闘武は、そいと受け流されて決定打にはならない。

 ただ、リアも其処まで脳筋ではない。


 ハルが魔王を倒した後、直ぐにある魔法が発現したのだ。それは今は無能勇者と名高き者が、以前有していたスキルに似た力。

 そして、『偽り』という最たる二面性を得意とするこの身だからこその魔法。


「吹け怒りの炎雪、イラム・ニウィブス」


 赤く燃ゆる怒りを、白く冷たい凍土の力に変換する。

 怒りであらゆる能力が向上する【狂戦士(バーサーク)】を有するリアにとって、これ以上の魔法はない。


「おっと、これは不味いね」


 吹き荒れる氷の風は、相手の関節や筋肉を制限して力の低下を招く。勿論、同じ空間に居る以上、リアもその毒牙を受ける事になるが、血が沸騰している今のこの身に寒さなど些細な事だ。


「どらぁ!」


 今までいなす事の出来ていた攻撃を、アドニスは何とか防御する事で受け止める。そのままクロスした腕を思いっきし蹴り上げて、ガラ空きになった仮面に一閃――、


「強くなったね、だけど足りないよ」


 パンッ!と乾いた音が鳴った。瞬間、リアは凝然として、時が止まった感覚を味わう。


 止められたのだ。下がった腕を時計が指針を刺すように衝突の瞬間にあげて、リアが勝敗を決める気で放った拳を掴んでしまった。


 そのままぐるんと。赤子の手をひねるみたいに、アドニスはリアの拳を支点に腕を空に向かって薙いだ。

 天地がひっくり返ったのは今日で二度目だが、達人(ユキシロ)の時とは訳が違う。技ではなく、単純な力量の差が如実に表れているこの状況に、リアは思わず心が折られそうだった。


 そのまま魔王城の天井を突き抜けんばかりに、空に舞い上がった。


 不安定な落下状態でも、リアはこちらを仰ぐアドニスから目を離さない。この後、どう行動するにしても、翼の無いこの身では一瞬の隙が出来る。

 なら無理に何かをせずに、相手の出方を見る事にしたのだ。

 

 ただそれが失敗だった事を、仮面から突き抜ける赤い眼光が言い渡した。


「氷の魔法なら、僕も得意なんだよね」


 瞬きの後、冷気が玉座の間を一風する。アドニスから繰り出されたのは『氷塊』だった。


 氷山の一角と見間違うほどの圧倒的な質量、"空を裂く"何て表現では留まらず、空という大海原を蹂躙する獣が迫る。


「すごーい!すごーい!」


 その光景を無邪気に笑う妹に、初めてリアは青筋を立てた。

 ああ、今日はどうしようもない厄日だ。外に出なければ良かったと、大人しく寒さを受け止めてお布団の中でぬくぬくしておくべきだったと後悔している。


「っーーーーツァアアア!!!!!」


 一点集中、体を長槍と化し氷塊に対峙する。こういう堅いものを壊す時、戦闘スタイルが拳である事をしばしば後悔するが、言っても仕方が無い。

 裂帛の気迫で、何とか氷塊を砕く事に成功したリアだったが、


「一手で終わらないのが、本当の『魔法』というものだよ」


 アドニスが指を弾いた直後、飛び散って欠片となった氷塊が着地して間もない、リアに押し寄せる。

 無数の着弾を避け斬る事は出来ずに、体に激突。思ったよりもずっとダメージは少ないが、代わりに氷は茨となってそのしなやかな体をその場に縫い留め始めた。


 一度体の制限が始まると、もう止まらない。次々と氷はリアに付着、そして茨を広げていって遂に顔以外の自由が利かない人形と成り果ててしまった。


 完全敗北とは正にこの事だ。あらゆる面で、目の前の仮面は上回っている。


「さて、どうやら僕の勝ちらしい。勝者の特権として、少し質問をいいかな?」


「どうせ動けねぇ。勝手に言いやがれ」


「じゃあ遠慮なく。――君はずっと怒っている。それは未練、"あの時"に何も出来なかったやるせなさからの『悲憤』、あってるかな?」


 眉をひそめて、リアは妹であるミアを睨み付ける。こんな誰かも知れない仮面に、私の心の内を暴露したのかと。

 しかしぶんぶんと首を振って、少女は否定した。


「だったらなんだ?」


「今すぐやめた方がいい。その過去は決して取り戻せないのに、想い続ける意味が何処にある?それは前進ではなく後退、意味のない愚者の所業」

 

 アドニスは、朗々と事実だけを陳列していく。


「ふと思い出した故人をしのぶのは、人として当然の在り方だ。でもそれに引っ張られて、あまつさえ『怒り』という不純物を貯め続ける事に何の意味がある?」


「……私はまだ『答え』を出せていない」


 リアにとってのあの美少年は何だったのか。その答えは遥か遠く、だから偽らざる怒りを胸に秘める事で、何時か正解を導き出す事にした。

 だが何時まで経っても金髪の背は"何者でもなく"、怒りは溜まる一方。


 いっそ忘れ去った方がいいと、何度も思った。でもそれは、彼を"どうでもいい人物"だと答えを出す事になる。

 かといって、やはり上手く形容できる言葉は見付からない。


 今リアの身を縛る氷の牢獄と同じで、この身は救済のない迷宮に迷い込んでしまっている。


「素直に忘れた方がいい。君が悩み必要が何処にある?そのチビだって、自業自得で死んだんだろう?」


「ああ、そうだ。あいつは私を守ろうとして、無様に死にやがった」


 思い出す、同時に怒りが宿る。


「それに、君はあの男が嫌いだった筈だ」


「ああその悟った声も、艶の良い金髪の髪も。全部が全部大っ嫌いだ」


 彼の事を思い出す度に、怒りが付随して来る。楽しかった思い出や嫌な思いを押し退けて、ただイライラが募っていく。


「素直に言えばいい。君は、彼が"大っ嫌い"な筈だろ?」


「そうだ、私はあいつが大っ嫌いだった」


 なら、どうして?どうしてこんなにも、あの情景はリアの心をかき乱す。


「少なからず愛があったのかい?」


「違う」


「仲間としての信頼があったのかい?」


「違う」


「憧れていたのかい?」


「違う」


 全部違う、そんなお利口で単純な想いではない。


「じゃあ何なのさ。君にとっての、ライアとは!?」


 わからない、わからない。思い出す度に、灼熱に舐られて思考が蝕まれる。

 そして遂に"限界突破"した。抱いていた怒りは遂に許容量を突き抜けて、思考を真っ白に染上げてしまった。



 ……白い情景の先に、ただ金の髪が揺れていた。


 彼はこっちに向かって、愛を囁いた。でもその背はやっぱり遠くて、リアには手を取るか取らないかの選択をする事も出来ない。


 ――もっと、話したかった。


 その横に立って、対等になりたいと思った。いや、どうせなら追い越したいとも思った。


 ああ、何だそうだったのか。


 ずっと抱いていた怒りの正体は競争意識、負けたくないという成長焦燥だった。その容姿や声ではなかったのだ。

 敵対(ライバル)――いや少し違うな。だってリアが望むのは『闘争』ではなくその隣に立つ事だったから。


 余りにも簡単で恋よりもずっと馬鹿馬鹿しいその関係に、どうして気付けなかったのだろう。

 この身がどうしようもなく滑稽で、折角過ぎ去った筈の『怒り』が再点火する。


 宿す怒りは青い炎となって、縛っていた氷の茨を消し去った。


「トモダチ、だった。色々な感情があって、だけど一緒に居て悪い気分じゃない。私にとって、ライアは友達だった」


 どこか濁っていた翡翠は透徹として、『答え』という気付きに到達する。あれだけ悩んで考えて、絞り出したのがありきたりな四文字とは、もうハルに馬鹿だと言われても弁解できない程だ。


 それでも、その言葉がたった一つの真実。町娘が、アマゾネスが、リアという迷い人が手に取った星屑の欠片。


「……そうか」


 あれだけ煽って、アドニスはリアに精神的なダメージを与えるつもりだったのだろうか。だとしたら失敗だが、それにしてはポツリと零した言葉はどこか安堵しているようだった。


「この怒り……もう忘れないだろうな。きっとずっと、この身の愚かさと共に刻まれる」


 どこか漠然としなかった怒りは、形を帯びるに至った。なら今の【狂戦士】とは文字通りの意味ではなく、常に滾り続ける戦士のスキルへと成る。


「ありがとうは言わないぜ。てめぇは散々、私に言いやがった。――だから代わりに、この一撃で終わらせてやる」


 仮面は動かなかった。もう勝てないと踏んだのか、ただ迫り来るリアの拳を待った。

 手加減はない。青い炎は龍のようにうねって、仮面ごとアドニスを突き抜けた。


 パキンと仮面は割れて、装備をボロボロにしながらアドニスは仰向けに倒れる。


「わー、流石お姉ちゃん!」


「ったく、一体何だったんだよ」


「お姉ちゃんを元気づけるために、考えました!」


 とはいっても、直接的にリアの心に言葉の鞭を打ったのはアドニスだ。的確に怒りを誘発して真実を誘い出したその手腕は、魔術師と言っても過言ではない。

 実力も卓越していたし、もしかして最強以上に著名な――、


 仮面が破壊された事によって露になった素顔を見るために、リアは近寄った。だが頭に血が昇って冷めるのを何度か繰り返したせいか、つんのめってこけそうになってしまう。


 その時、シュパッと。


「大丈夫かい?」


 素早く立ち上がったアドニスが、リアの肩を前から手で支える。てっきり気絶したと思っていたが――。


「―――――――ぁ?」


 その時、刹那、瞬間、一瞬。その顔を拝んだ瞬間、果てしない思考の膨張が起きて、リアは完全に石像へと化してしまった。


「じゃじゃーん。感動の再会です!」


「ミア、どうやら彼女、驚き過ぎて固まっているらしい」


「ふふーん。そうでしょ、だって目の間に居るのは、何と死んだ筈の美少年、ライアさんなんですから!」


 ご丁寧な解説が入った所で、改めてリアに衝撃が突き抜ける。


 金髪に黄金の瞳、そして矮躯な体格。小さくて、だけど勇敢な戦士であることを、リアは知っている。

 その常に口角が上がっているいけ好かない表情を、忘れる訳がない。あの理想郷で、金の憧憬で追い続けた、もう絶対に会う事が出来ないと思っていた彼を見間違うわけがない。


 有り得ないと、声を絞り出す事も出来なかった。

 

 夢ではないかと、翡翠の瞳を擦る事も出来なかった。


 漠然とし過ぎている現実に、声を失う事しか。


「こうしてまた、君に会う事が出来た幸運に感謝を。僕は本当に恵まれている、ハルには幾ら感謝してもし足りないよ」


 ―必ずお前を生き返らせる。


 そんなハルの言葉を信じて、ライアはただ待っていた。魂となって、"その時"を待ちわびていた。

 すると宣言通り、魔王の魂という対価を以て、現実に連れ戻したのだ。


 本人は「えっ……いや別に狙った訳じゃないけど」と、何時ものようにしらばっくれいたらしい。――とは、リアが後日聞いた話だ。


 今のこの身に、理由など必要ない。翡翠に移る光景が真実であるだけで事足りていた。


「お……お――」


 やっと目の前の光景に真実味が帯びて来た頃、声を絞り出そうとするも、詰まって中々でない。驚愕の後は『羞恥』、さっきあれほど語った心内の相手が目の前に居た事に気付いて、段々と顔が赤くなっていく。


「私は、誰だ……?」


 驚愕の羞恥の果てに、リアが導き出したのは自己を見失う事(あっ、もう知らねー)だった。考える事を放棄して、今だけは魚のように海を泳ぎたかった。


「君はリアだよ。僕の理想郷、愛すべき人」


 だがそんな事を恥ずかしげもなく言われると、羞恥しているこっちも馬鹿らしくなってくるというもの。


「……何だよてめぇ、生きてんなら最初から死ぬなよ」


「申し訳ない以外に言いようがない。仲間として、僕は最後まで君達と戦う事が出来なかった。何を言われても、弁解する言葉がない」


 表情を硬くして、ライアは謝罪の言葉を零す。リアやハルに悪いと思っている、というよりは、自己に対するやるせなさの方が強かった。


「はっ、別にてめぇが居なくても関係なかったぞ。事実、魔王はもういない。今更言ったって、仕方ないだろ」


「そうだね、うん。その優しさ、身に沁みるよ」


 その後、暫しの静寂が部屋を支配した。遂数秒前までは普通に会話していたのに、互いに視線を逸らして中々言葉が出てこない。

 久しぶりにあった既知同士が、昔話以外に華を咲かさないように、今の互いにかけるべき言葉を待っている。


「…………ミア、帰るぞ」


「えー、もっとイチャコラしないの?舌を絡めるキス位、すると思ってたのに」


「なっ……!こほん。お前には一度、きちんとした教育をする必要がある」


 ライアを横切ったリアは、妹の手を取ってそのまま踵を返す。


「本当にいっちゃうの?」


「ああ、私はまだ"帰って来てもない奴"と言葉を交わすつもりはない」


 それはリアなりの優しさだった。


 まだあの言葉を聞いていない。家族に、仲間に、友達に久々に……遠い所から戻って来た時に言うべき言葉を。


 そしてそれを待っているという事は、"帰る事の出来る場所"を提示していると同義だ。

 不器用で偏屈なリアには、自分から金髪の美少年を迎える言葉を送る事は出来なかった。


 その意図を察したライアは目を丸くして……自然な形で頬を綻ばせる。


 あの理想郷で見た笑顔と劣らない、再会の喜びを。


「ただいま。」


「お・か・え・り!」


「一文字一文字力強く発して、照れ隠そうとするお姉ちゃん可愛い!」


「るせぇ、ああもう最悪だ。やっぱし、今日は家で寝とくんだった」


「そう言えば、今はあの町娘の姿で店を開いているんだってね。良かったら、今から御馳走してくれないかな?」


「生憎と、今日は休業――」


「いいよ!私達従業員一同、今も準備に取り掛かっているであります!」


「なっ……?この意味の分からない魔王ごっこといい、何から何まで進めるな!」


 ミアを含めて従業員が謎の体調不良で休んだのも、伏線だったと言う訳か。それにしてもリアとライアを再開させるつもりで、わざわざハル、威国の将軍、最強の男に助力して貰って、魔王城を演出したのに意味があったのかは不思議である。


  季節の変わり目、秋の季節。過ぎ去っていくと思っていた日常は意外な再会と共に、ゆっくりと進む――。


「あっ出来た」


 帰り道、リアが喧嘩腰で会話しライアが優しい目で会話をする中。


 一人の少女の手に宿った紫紺の炎の意味を、今はまだ誰も知らなかった。


◇◇


 ふふっ、ナイスバディな我、実にカッコイイであります!


 えっ、今喋ってる超絶声の透き通る美少女は誰かって?何を隠そう、我は魔王なのです。


 知識には少し難がありますけど、そこは可愛い愛嬌でどうにか(キラリン☆)。


 年齢ですか?頭の悪そうな喋り方を察して糞ガキと疑ってるなら、大不正解ですよー。まっ、教えないんですけどねっ!

 

 さてさて、何のお話してましたっけ。あ、そうそう、私のお姉ちゃんのお話でしたね。


 魔王の姉と来たら、そりゃあすっごい怖い人だって思うでしょう?それが、我よりもスーパーキュートな町娘なのですよ、これがね。


 でもすっごくお馬鹿なのです。昔から自分に嘘を吐いてばっかりで、特に異性関係になると、もうポンコツで頭が痛くなります。


 でもでも、そんな彼女を好きって言ったもの好きな小人がいたのです。我が魔王になってなかったら、奪って結婚してたほど将来性も人格も兼ね備えているすーぱー美少年キタコレ!って感じ。


 だーけーどー、お姉ちゃんと来たらそりゃ鈍感で。結局、彼の気持ちには中々答えないまま、ぐんぐん時は進んでいったのです。


 ――はい、ここで終わりです。えっ、最後はどうなったの?続きを寄こせ、このポンコツ魔王ですって?


 我はこう見えても凄い魔王なのです!

 人間でありながら魔族を纏め上げて、最近は貿易も開始し始めたのですよ、どうだ凄いだろ!


 と、話が逸れちゃいました。我もそこまで言われて教えてあげないほど、意地悪じゃないですけど、本当にどうなったか聞きたいですか?

 謎は謎のままがいいっていいますよ。それに、バットエンドだった時、ぶーつかぱーつか言われるのは、我すっごく御免です。


 まぁだから、それとなーく伝える事にします。後は勝手に想像してくだちい。


 ある金髪の美少年はこういった。


「僕は今、凄く幸せだよ」


 だが反して、町娘は、


「どうだかな」


 これをどう捉えるかはあなた次第ですけど、まぁ我はこう言いますよ。


 きっと皆が望む結果になってるってね。


......true end

ここまで見て頂いて方に感謝を。正直、至らない所は多々あったと思います、設定がころころ変わって困惑させてしまったかも知れません。ですが、一度投げ出したこの作品を最後まで書けたのでOKという事で。

 あっ、良ければこれから書く作品も見て下さい!

 鯖の缶詰@小説家になろうってユーザーネームでtwitterも始めたので良ければ!


 長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。この小説を書く上で培った文章力をいい方向に『変換』出来るように頑張ります(ドヤ顔)。

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