違和感
「なあ、なんでこの依頼を受けたかったんだ?」
「敵の弱さの割に経験値がいいだろ?あと久々に戦うから量こなしたかった」
たしかに、熟練度の影響もあるだろうが、俺は10匹程度倒しただけだがレベルが上がった。
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-Name ハル- Rank E
Level-6→7 スキルポイント-0→6
HP-173→185 D
力-130→139 E
防御-97→104 E
敏捷性-108→115 D
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「ニーニャのレベルは幾つ何だ?」
「27だぜ」
「今日レベルはあがったか?」
「何言ってんだ?こんなんで上がったら苦労しねぇよ」
「いつもより多く経験値が貰えたとかはなかったか?」
「特にないと思うぜ?」
勇者の効果で、仲間と認めた者には俺と同じ上昇効果が発揮するはずなんだが……俺かニーニャのどちらかが仲間と認めていないということだろうか。
スキルポイントの話をしてないのが影響してるとか?
「スキルポイントって、レベル上がればどれくらいもらえるんだ?」
「おいおい、さっきから質問ばっかだな。まあ、一般的にLevelが2~3増減する度5~10ポイントのランダムに貰えるって言われてるぜ」
俺はニーニャに色々聞きつつ、換金を行う為ギルドに帰還した。
「おう、兄ちゃん。ってニーニャじゃねえか!」
「誰かと思ったらレギオか?しばらく見ないうちに老けたなぁお前」
「俺はまだピチピチの30だ」
どうやらニーニャの冒険者時代のサポート役がレギオだったらしい。積もる話もあるだろうし、その間にステータスの更新をしておくことにした。
というかレギオ30歳だったのか……正直、50……いや40過ぎだと思ってた。
ピッと何時も通りのコミカルな音と共に、俺は手続きを始める。
「6スキルポイントが付与されました。振り分けますか?」
→はい
どれにしようか……ん?よく見ると画面の右上の方に【グレードアップ】の文字がある。押してみよう。
"対話型全自動対応携帯機器"に10ポイントでグレードアップすることができます。
なにこれ凄そう(小並感)
でも今回は6ポイントしか付与されてないからなぁ……かといって、勇者の熟練度は★3にするには7ポイントかかるし、今回は振り分けをやめておこう。
「ハル終わったか?」
「今更新しているところだ」
「私は先に宿帰っとくからな」
ニーニャはそそくさと宿に帰って行った。俺も更新作業を済ませ宿に戻る事にした。
その後の行動は概ね昨日と同じであった。ニーニャと飯を済ませ、明日の予定を立てて寝床についたのだった。
◇◇
~1週間後~
「オラァ!」
「グォ」
ニーニャがそのしなやかな肉体を回転させ、見事な後ろ蹴りで敵が構える得物ごと吹っ飛ばす。
その敵―――オークはゴブリンが住む森から南東の森林に生息し、俺ら人間とさほど変わらないサイズを誇るモンスターだ。
「ハル!」
ニーニャから合図がでると、俺はオークが体勢を立て直す前に横から挟撃し剣を振り下ろした。
「グォオオ」
断末魔共にオークは塵と成る。
パーティーを組んでもう1週間経過するが、格段に依頼の幅も広がって、敵を倒すのも楽になった。こんなことなら早くの内にパーティーに誘っておけばよかったと……いや、実際俺はそうしようとしてたんだけどね!
「まあよし!」
―――――――――――――
-Name ハル- Rank D
Level-8→9 スキルポイント-6→13
HP-197→209 D
力-148→157 E→D
防御-112→120 E
敏捷力-121→129 D
―――――――――――――
無苦の兵との闘い以降、レベルは1しか上昇しておらず、心配していたがやっと上がってくれた。やはり、レベルが上がるにひしひしと経験値が多く必要になっていることを感じる。
そろそろ、熟練度あげないとなあ……。
「はぁ、はぁ――糞が」
「どうしたニーニャ?疲れたのか?」
「あ、ああ。少しな」
俺よりもずっとモンスターを倒しているとはいっても、この程度でCランク上位のニーニャが疲れてるとは思えない
が……目にもうっすらと隈が出来てるし、寝不足なんだろうか。
まだ夕日すら見えてないが、今日はこれくらいにしておこう。
「今日は辞めておくか?」
「そうだな」
俺たちはギルドに戻って依頼達成の報酬を受け取った後、レベルがあがった俺は更新作業することにした。
今回はまず、自力で剣士の熟練度が★2になっていた。
あと、追加でスキルポイントを『7』ゲットしたが、迷った挙句温存する事にした。
というのも【職業熟練度】以外、【基礎能力】や【武器熟練度】、それに他の機能が突然出て来る可能性も否めない。
有事の為にとって置くのも、間違っていないだろう。
~更に一週間後~
ニーニャのおかげで、俺のレベルは12になっていた。
スキルポイントも、既に23も溜まってる。
そんな順調と思えた旅路だったが――。
「ニーニャ大丈夫か?」
今日も今日とて、ニーニャとギルド前に集合したが、うっすらとしか見えなかった隈は色濃く強調されていて、顔色も悪い。
酷い凶悪面が、更に悪化している。
ここ1週間どうにも体調が優れない様子だったが、今日は特に酷そうだ。
「すまん、今日は行けそうにない。」
「分かった、宿まで送り届けるよ」
「いいや、それくらい自分で帰れる」
ニーニャがいなくなった後、久しぶりに1人で依頼を受け遠出したが、どこか退屈でつまらなかった。
レベルは上がらなかったため、依頼の完了だけを行い、ギルドの帰り道を歩いていると……。
「あれ、ニーニャ?」
ニーニャが1人で宿とは反対方向の道へ歩いて行っている。何やら不穏な雰囲気を感じたので、後をつけることにした。