なにをしようか
「この大陸で強いやつ?」
ラベル島からホームタウンの冒険都市に戻った俺は、ギルドに赴き、そんな事をレギオに尋ねた。
今の自分の強さを客観的に評価する為にも、上と比べる必要があると考えたからである。
「そりゃあお前、フィリウスだろう。歴代に数人しかいないSSランク冒険者の、現存する唯一の『1人』だ」
「俺も大分ステータスが上がったが、SSランクには成れないのか?」
「十二の偉業を達成しないと、成れないんだよな、これが」
「難易度高すぎないか?」
「それほど、SSランクになるには難しい。それこそ、騎士として叙勲される事や、王宮の魔術師として選抜される事よりもな」
すなわち、そのフィリウスが最強の人類だと。
「兄ちゃんは、今回の更新で『Sランク』になった。だがこの基礎能力は、他のSランクと比べてもトップだぜ?それに勇者の効果で底上げが出来るんだろ?」
「だが、スキルがない。それが致命傷だ」
勿論、スキルポイントを変換すれば、それこそ神がかってる技を使うことだって可能だ。それでも制限があるし、何よりも好きな時に自分の意志で使う事が出来ない。
フライデーとの意思疎通を必要とする為、即時対応には及ばないのだ。
「なら、基礎能力を活かせるように努力しろな」
「どんな?」
「体の使い方を学んだり、武器を新調したり。まあ、色々あるだろ」
「体の使い方、ね」
確かに、最近は少しスキルポイントに頼り過ぎている所がある。
習得した技の練習はちょくちょくしているが、それでも他の冒険者と比べて鍛錬不足なのは否めない。
今度、その道の凄い人に指導を仰ごう。
「レギオの言う通り、そろそろ武器を変えるか?」
俺の今使ってる剣は、安屋で買った10000ゴールドの鉄の剣である。
防具は割と上等なものを使っているが、武器は逆の意味で身の丈に合っていない。
それでも、これを使い続けているのには理由がある。
苦楽を共に歩んで来たその剣の錆びや欠けは、俺の努力の証。
擦り減って何度も買い替えたグリップ部分には、軌跡が刻まれている。
――ま、いいか。
鈍らは所詮鈍らだし。
そろそろ、俺もカッコいい剣が欲しい。
というかこの剣、今話題沸騰中の元勇者の持ち物!とか言って売れば、結構高値が付きそうだな。
今度、どこかに売り込みいこう。
そうと決まれば、新しい剣探しだ。
「選ばれし者しか抜く事の許されない伝説の剣!とかないか?」
「そんなおとぎ話、ありゃしないぞ。ただそうだな……上等な剣が欲しいなら、威国が間違いない」
「威国?」
この異世界で、横文字じゃない国を耳にするのは初めてだ。
「作法が重んじられる堅実な国家だ。伝統的な鍛冶は、並の鍛冶師では打つ事が許されない『至高の一振り』を続出させてる。ただ1年前、急に鎖国してしまった」
聞く限り、かなり日本に近しい国らしい。
最も、その文化レベルは江戸くらいまで落ちているだろう。
美味しい和食が食べられそうだし、行ってみたくはある。
「ま、兄ちゃんにあった剣を探しといてやるよ」




