表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/101

初強化

 ノーエンコーブ港に帰港すると、僕はすぐさま海運ギルドへ行き、依頼の完了報告とラムヘッドシャークの遭遇および討伐を報告した。

 すると、すぐに解体作業者を向かわせてくれるとのことだった。

 本来、魔物討伐はハンターギルドの仕事なのだが、船も航行中に魔物と遭遇し倒す事もあるため、ハンターギルドよりも小規模ながら解体作業をする人員と施設を海運ギルドも持っているのだ。


 そしてヘーゲル号まで来てくれた解体班の人達に混じり、ハーバート支部長が視察に来ていた。


「なるほど。このラムヘッドシャークが北東から?」


「はい。離島地域の北の辺りからやって来たかと」


 ハーバート支部長は少し考え、口を開いた。


「実は、離島地域の北方辺りで魔物の目撃情報が相次いでいましてね。このラムヘッドシャークもその一つでしょう。これは本格的に調査団を派遣しなければいけないかもしれませんね」


 そう言うと、ハーバート支部長は仕事があるからと海運ギルドに戻っていった。

 果たして、離島地域の北に何が起こっているのか? 今はまだわからないが、もしかしたらそのことに関して依頼が出るかもしれない。


『キャプテン、少しよろしいでしょうか?』


 考え込んでいると、スタチューのバッジ越しにマリーが声を掛けてきた。


「どうした、マリー?」


『魔物を討伐してからキャプテンは帰港を急いでおられたので言いそびれてしまいましたが、今回のラムヘッドシャーク討伐により1000ポイントを獲得しました。これを船の強化やお買い物に使用することが出来ます』


 ああ、そういえば最初にそんな説明を受けていたな。

 今まで戦闘になる事が無かったから、忘れそうになっていた。


「わかった。それじゃあどういう強化をするか考える」


 そして僕は艦橋からタブレットを持ち出し、船長室で色々と眺めながら強化プランを練った。




 それから30分がたった頃、ラムヘッドシャークの遺体の引き取りが完了した。これから海運ギルドの解体作業場に運び込み、革や鱗、肉などに分けて素材にし、商業ギルドを通じて売却される予定らしい。

 その売却益から作業料を差し引いた額が、僕の収入として支払われるようだ。

 なので、売却益が確定したら僕に知らせてくれるらしい。


 解体作業者の人達が下船したので、僕も船の強化を開始する。


 まず行うのは、船体の拡張。現在の船体は10mだが、これを20mに伸ばす。5m刻みでポイントを支払い、5mで100ポイントかかるので10m伸ばすと200ポイントかかる計算だ。

 次にマストの増設。船体の長さを20mに伸ばしたので、マストを1本増設可能なのだ。これが300ポイント。

 そして装甲強化。装甲をより丈夫にする。これは10段階まで強化可能で、現在の1段階目から2段階目に強化する。これが100ポイント。

 最後に大砲の増設。現在は片舷5門の計10門だが、これを片舷10門の計20門にする。これで400ポイント。

 合計900ポイントの支払いだ。残りの100ポイントは今後のために取っておく。


「これで決定」


 タブレットに表示された『決定』ボタンを押す。


『強化申請を受諾しました。作業に入りますので一度下船してください』


 マリーに言われたとおり、一度船を降りる。

 すると、ヘーゲル号は光を放ちながら前方から消えた。

 全て船が消えた直後、また前方から姿を現した。


 大きさはプラン通り、以前のヘーゲル号の2倍。しかも単純に船の長さだけ長くなるだけでなく、幅も広がっている。長さと幅の比率は変わらないように出来ているらしい。

 装甲は変わっていないように見える。


『本船は精霊樹由来の素材で出来ていますので、魔力を使用することで丈夫になります。ですので厚みに変化はありません』


 そうだったのか。結構便利なんだな。

 そして大きく変わったのはマスト。今まで1本だったが2本になった。

 これで受ける風の容量が大きくなり、さらに速度を出すことが出来る。


 マストには両方とも船体に降りる階段が設置されており、そこから降りると食堂の端に降りられる。前方のマストなら船の前方側の端、後方なら船の後方側の端に降りられるというわけだ。

 船体内の食堂、船長室、船倉の内装はほとんど変わっていない。ただ船の大きさに合わせて大きくなっただけ、という感じだ。


『キャプテン、少しよろしいでしょうか? 至急やっていただきたい仕事があります』


 そうだった。マストが増えたと言うことは、アレをやらなければ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ