表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/178

Episode-67 『彼女の知らない花見の続き・関西弁JKの場合⑥』


「うおおおっ、ちょっ!? だ、大丈夫ですか夜さん!?」


 ちょちょちょっ!? 夜さん!?

 まさかの展開だ。

 そのおっそろしい程の全力ジャンプで頭を打った夜さんに口でも心でも驚愕しながらすぐさま近くへと駆け寄る。


 夜さんは思いっきり四つん這いになりながら、「ぐぅ…うおおぉ…」と唸り声をあげとる状態。

 なんか動物みたいやな…ってそんなこと言ってる場合とちゃうやろ!


「だっ、大丈夫ですか!?」


 近づきしゃがみ込むと夜さんの肩に手を置いてそう問いかける。

 すると、


「…だ、大丈夫……じゃないかも…、ぐああっ…」


 と若干泣きそうな声が返ってきた。「大丈夫」と言おうとしたけど途中で心折れてもうたみたいな感じの言葉。

 うん、でもそりゃそやろ! これでもかってくらい全力で頭打ったしな、結構な衝撃映像でしたよ!

 あのレベルで硬い場所に頭打ちつけたときの痛さはちょっと想像できへんし。


「ううっ…、ヤバい。今年に入って一番痛いかも…。紗凪ちゃん、これってもしかして脳みそ出てない?」


「…えーっと、流石にそこまでは大丈夫だと思いますよ」


「衝撃で頭蓋骨が見えてたりとかは?」


「それも…うん、大丈夫です」


 夜さんのそのちょいとずれた様なグロい心配に思わず二度確認してみるが、流石にそこまでの大惨事には、至ってへんから一安心。

 …というか、今のはボケなんやろか? 意外と夜さん余裕ある? ――いや、それほどまでに痛いゆうことやろ。

 というか脳みそとか頭蓋骨は出てへんにしても絶対たんこぶはできてまうやろな。一応冷やした方がええやろ。


「夜さん、ちょいと冷やすもん取ってきま――」


 そう思って、立ち上がろうつぃた時だった。

 「ううっ…」と唸りながらの夜さんの手がうちに手を引きとめるように掴んだ。


「ん? あの夜さん?」


「…ここにいて」


「いや、でも冷やさな明日起きたときとか結構痛い思いますよ?」


「…いい、紗凪ちゃんと一緒にいれば勝手に治る」


「――わっかりました」


 これはあれやろな。

 お酒飲むと寂しくなるいうあれやろ。だから、うちが一時でもメインルームに行ってこっからいなくなると一人で寂しいと。

 

「ふふっ」


 思わず笑みがこぼれる。

 まったく、可愛い人やで。そういや今日一日で色んな夜さんの新たな面を知れた気がするわ。

 なんやかんやあったけど、花見とお酒に感謝やな。あとほんの少しやけど百合神にも。


「…ううっ、――すぅー…」


「ん?」


「すぅー、すぅー…」


 と、そこでつい少し前にも聞いた声が夜さんの寝息が再び聞こえて来る。

 どうやら、痛みが和らぐにつれて眠気がぶり返してきたんやろな。それにしたって寝るの早いけど。

 まったく、可愛い人改め自由な人やな。


「こんなとこで寝てもうたら風邪ひきますよ。――よっこいせ」

 

 そんまま長いこと動かすのも可哀そうなんで、一度持ち上げそして近場にあるうちのベットへと夜さんを寝かせる。

 一応綺麗にしてるんで清潔感とかは大丈夫やと思う。

 ほんで、


「ふぁ~あ」


 そこで夜さんの眠りに誘われてか、うちも思わず大あくびをしてもうた。

 うぅーん、考えると今日はいつもより寝てへんのにいつもより色々とやったしな。うちも疲れてもうた。


「ここでええか」


 そして、一瞬メインルームの布団で寝ることも考えたがその場合夜さんがうちの部屋で一人で起きてパニックになる可能性もあるんでここで寝ることにした。

 まぁ、うちのベットそこそこ大きめやし大丈夫やろ。

 そんなテキトーな感じでちょいと夜さんには壁際につめてもうて並んで寝ることにする。もちろん枕は夜さんに使ってもらう。お客さんやしね。


「うん、案外寝れるな」


 そして、そのまま幸せそうに眠る夜さんの隣に居場所を確保すると電気のスイッチを消して部屋が暗闇に包まれた。


 あー、今日はええ日やったな。

 夜さんと一緒に花見して、美味しいもん食べて、いろいろ話して、――ほんで今まで知らへんかった夜さんの新しい一面を知ることができた。

 楽しかったし、百点満点の一日やな。


「おやすみなさいね、夜さん」


「すぅー、すぅー…」


「――あぁ、気持ちよう寝れそうや」


 その言葉を最後に瞼を閉じる。

 充実感のせいやろか、恐ろしい程早くうちの意識は眠りへと落ちていった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ