世界は無慈悲で残酷だ
邂逅
はっ!僕は目を開いた。
目の前には雲?のようなフワフワしたようなものがある。
「君は、悔いの残らないように生きられたかい?」
突然、後ろから声をかけられビクッとなる。振り向くとそこには小さな女の子が立っていた。こんなところで一人でいるなんてもしかしたら迷子なのかもしれない。
「大丈夫?お母さんとお父さんは一緒じゃないの?」
「迷子などと一緒にするでない!私はこれでも神なのだ。」
どうやら迷子ではないみたいだ。しかも自分の事を神だといっている。何かとても胡散臭い気がする。
「自称神様は僕に何か用があるんですか?」
「自称・・・まあ良い。私は君の意志を確かめに来たのだ。君は悔いの残らないように生きられたかい?もし君が望むならだが、別の世界に行ってはみないか?」
何か不満なことがあったみたいだが、僕の頭の中はそのことでいっぱいだった。
「悔いが残ってないと言ったら嘘になりますが、別の世界に行くとしてそこはどのようなところですか?」
別の世界とは言ってもどんなところかわからないし、直ぐに死ぬようなところだったら誰だって行きたくないと思う。
「ふむ、君が今から行く世界は少々反乱とかはあったりするが、比較的平和なところだ。多種多様でそちらの世界で言う、エルフとか色々いるぞ。後、魔法というのもある。」
比較的平和・・・しかも魔法が使えてエルフとかいるのか。なんかファンタジーって感じだ。
そう言えば姉はどうなったのだろう。もしかしたら何か知ってるかもしれない。
「行ってみたい気持ちはあるんですけど。それよりも、姉がどうなったか知りませんか?」
「君の姉なら一足先にあっちの世界に行っている。」
どうやら姉は僕より先に行ってるみたいだ。
「僕もその世界に行きます。」
どうやら自称神もうんうんと頷いているようだ。
「でも、転生してすぐ死ぬのは嫌なので何とかお願いします。後、記憶とかそのままがいいなとか?」
「うむ、そのくらいは配慮しよう。」
どうやら自称神様は優しいみたいだ。
「ではこれから転生させるぞ。他に言い残したことはないな?」
「はい!自称神様,ありがとうございました。」
「自称じゃなくて神だ。まあ良い。転生させるぞ。」
そういって僕は温かい光に包まれた。
「・・・どうやら無事に行ったみたいですね。」
彼がいなくなった空間に神とは別に声が響いた。
「ミカエラ、いたのか。まあ無事に行ったみたいだ。」
「ところでヘレネ様、彼が男だと知っていてあえて性別女の子になされたのですか?」
ミカエラがそう言うとヘレネの顔がわかりやすく真っ青になっていった。
「えっ、あの子って男の子だったの?私はてっきり女の子かと思って・・・。まぁ、何とかなるでしょう向こうにはあの子の姉もいることだし。しかも向こうの世界基準にするとかなり強い方だし。」
「ヘレネ様がそう言うのであれば、きっと大丈夫なのでしょう。」
「どうしよう・・・。やらかしちゃったよ・・・。」
ヘレネの言葉は誰にも届くことなく虚しく消えていった。
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