表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の泉と平和の音色  作者: ガク猫
1/1

プロローグ

 「ねぇ、ねぇ、見つかったら怒られちゃうよ」

 

 「大丈夫だって!チキンか!怒られるとしても二人一緒だから」


 「怒られて最初に泣くのは、いつも君じゃないか・・」

 

 少年は、ため息をつきつつも少女と共に暗い森の中を進んで行く。

 無論、このことは彼ら以外には誰にも知らない。

 少年でさえ行き先は知らないのだ。

 すべてを知っているのは少女だけ。

 少年は夜遅く少女に起こされ無理矢理連れてこさせられたのだ。

 大きな建物を抜け出して。


 「本当にどこに行くんだい?もう村からはかなり離れちゃったよ」


 「もうすぐ!楽しみにしてて。そこにあるものを見たら絶対に世界が変わっちゃうんだから!」


 「はぁ・・・そんな簡単に世界が変えられたら苦労しないよ・・・」


 「もうっ!本当に凄いんだから!ほら、あの洞窟の奥だよ」


 「あれかい・・・って光・・・」


 森をしばらく進むと、目の前に見たこともない大きな洞窟が現われた。

 洞窟からは、ほんのりと光が漏れている。

 先に入った少女の後から少年はゆっくりとその洞窟奥へと入っていった。

 するとそこには、


 「・・・」

 「えっ・・・」

 

 まるで別世界のような幻想的な世界が存在していた。

 目の前にはほのかに光る泉。

 蛍などがいるわけではない。泉そのものが輝きを持っていた。

 少年は息を飲み神秘的な光景を見つめる。

 真白になった頭に、目の前の景色が鮮明に書き込まれていく。

 今まで騒がしかった少女も静かに目の前の景色を眺めていた。


 「この場所は私の秘密基地なんだ。綺麗でしょ」

 

 「・・・」


 少女は目の前の景気を見ながら少年にゆっくりと話しかける。

 

 「ほら、私の言った通りだったじゃん。今を忘れられたでしょ」


 「まあね・・・」


 少女はクスクスと笑う。


 「ここに来ると色々なことを忘れられる。色々なことを考えさせられる。私はこの場所が好き。私の宝物」


 「・・・」


 「この場所は好き勝手に色んな人に見せるわけにはいかない神聖な場所なの」

 

 少女は胸の赤いペンダントをそっと握る。


 「・・・」


 「・・・」


 「・・・なんで君はそんな場所を僕に見せたんだ?」


 「それはね・・・私と一緒に来てもらうからだよ。君にならこの場所を見せられる」

 

 「・・・どういうこと?」


 少年がそう聞くと、少女は少年の前にない胸を張って立つ。

 そしてキラキラとさせた大きな瞳で少年に話しかける。



 「そのままの意味。世界にはこんなに綺麗な場所がある。神秘的で心を打つ物がある。

 平和は残っているんだよ!

 こんな世界にも小さな平和は残ってる。

 争いの絶えないこの世界にも、人の心を動かすことの出来る美しいものが残ってる。

 私はそれを見たい! だから私は旅に出るんだ!世界中をめぐってみせる!」


 「・・・その意味を分かって言っているのかい?

 君は・・・この施設から逃げ出せると思っているのか?無理だよ。そんなこと」


 「無理じゃない!逃げだしてみせる!」


 「えっ・・・」


 「どんなことがあっても!絶対に!

 絶景やお宝。色々なものをこの目でみる。

 お金とかそこらじゅうにあるものはいらない。誰にでもくれてやる。

 でも、この少しの平和だけは私も欲しい。

 こんな世界で、こんなにも心が温まる場所があるのなら、こんなにも平和を感じさせる物があるのなら、私はそれを見たい。そして、この場所や美しい物を、苦しんでいる人たちに見せてあげたい。

 誰にでもは見せない。

 困っていて世界が暗く見えてる人が世界は美しいと感じられるようにしてあげたいんだ」


 「・・・」


 「どう?私の野望は!」


 「はぁ・・・それはいい夢だ。綺麗な君らしい夢だ。

 でもなんでそこに僕までついていかなきゃいけないんだ?」


 「そんなのは簡単なこと。

 私は---------------------------------------だから!」


 そういって彼女はニカッと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ