《第4話》勢いって大事だよね! 〜リーマンの思惑①〜
「来週かぁ……」
連藤は呟く。
動かない連藤に比例してか、デスクの仕事は山になっている。
彼の中で昨日の言葉を反芻しているのだが、後悔し始めていたのだ。
果たして自分が、目の見えない自分がエスコートできるのだろうか。
第一に、なんだかカフェに行きづらい……
「もっと早くにそのレストランに行けばいいじゃねぇのか?」
そう三井が突っ込んでくるが、そう、確かにそうだ。
うんと、小さく頷いたとき、不意に三井が尋ねた。
「お前ってさ、
オーナーが好きなの?
ビーフシチューが好きなの?
どっちよ?」
思わず口どもる連藤に、三井は大げさに肩をすくめてみる。
───鋭い質問だ。
どっちなのだろう───
それにしたって彼女とふたりになって何を話すのだろう。
今日の天気?
明日の予定?
カフェの中だから、適度な距離感で保てたのを、ふたりで一緒となるとその空間でどう過ごせばいいのだろう。
「……どちらも気になることにはかわりないんだが……」
「なるほどね」三井も一緒に悩んでみるが、全く答えなど思い浮かばない。
一緒に冷えたコーヒーをすすってやることぐらいだ。
オーナー側は次回だよ!