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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第4章 café「R」〜料理覚書〜

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172/218

《第172話》続・丸鶏を焼きます、平日に。あと、ザジギソースも添えるよ!

 ザジキソースを作っていても、莉子は丸鶏を忘れたことはなかった。

 流れ出た油をかけ、皮をパリパリになるように調整しつづけたのだ。

 そうして焼き上がった丸鶏は、実に飴色のいい色に染まっている。


「いい香りだ……ありがとう、莉子さん」

「いえいえ。私が連藤さんと食べたかったんです」


 よく冷やしたロゼを添えて、莉子はさっそくと丸鶏を解体していく。

 手羽に胸肉、そして、中に詰めていたガーリックライス………


 連藤に皿を差し出すと、カッと目を開いた。


「香ばしさがいい……はぁ、いただいてもいいかな?」

「はい。めしあがれ」


 莉子もさっそくと食べ始める。

 肉はしっとりと蒸し焼きになっていて、ほろほろと柔らくおいしい!

 もちろん、皮はパリパリだ。食感の違いがあるのは、より楽しめる。


 ザジキソースに合わせると、これがいいアクセントになる。

 ロゼワインがすっきりとリセットしてくれるのもあるが、さっぱりした酸味の強いソースは、鶏肉をいくらでも食べられるようにしてしまう魔法のようだ。

 ただニンニクのがっつりしたパンチもあるため、淡白な鶏肉に厚みがでる気もする。


「莉子さん、ガーリックライスが鶏の脂を吸ってて、めちゃくちゃいい」


 連藤さんが、興奮してる……!


 莉子はひさしぶりの連藤のリアクションに驚きながらも、ガーリックライスを口に含んだ。


「………おお! おー、これ、やばいですね」


 ガーリックライスは鶏の脂をすって、若干リゾット風になっているのだが、それよりも旨味がヤバい。

 語彙力がなくなるぐらいだ。

 しっかりと鶏の旨みを吸い込んでおり、噛み締めるたびに鶏のいい風味が広がる。

 決して生臭いなどはない。

 もう、ご飯が、旨みの塊になっている。

 どこかで見た、料理漫画に、こんな料理があったのではないだろうかと思いつつ、想像の味はここにあったのかと、莉子は感動する。


「おいしいですね、これ。こんなに脂を吸うなんて知りませんでしたよぉ」

「俺もだ、莉子さん。また、作って欲しい」

「はい。私もまた食べたいですっ」


 改めて鶏肉をほぐし、骨をほどき、旨みを堪能する二人だが、見る間に骨になっていく丸鶏───


「……はぁ………すこしゆっくり飲んでから、デザートにしようか」


 連藤の声に、莉子は「………そうしましょ」思わず、お腹をさする。

 鶏油が腹に溜まっているのがわかるからだ。


 美味いものはだいたいカロリーがオーバー気味だ。

 だが、久しぶりの旨み、堪能しないわけにはいかなかった。


「………ダイエットは、週末にしようかな」


 莉子の意思は、弱めだ。

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