第一章《三》
ようやく幹部が集められた中で、俺への尋問が始まった。
「……君かね?光と共に現れたというのは」
「ああ、そうだけど。もしかして、近藤勇局長?」
淡々と、縄で縛られても敬語すら使わない俺に近藤勇は俺のことも知っているのか!と意気揚々と話しかけてきた。
(「おいおい、俺が何者かまずそこから疑うんじゃないのかよ?」)
俺は時代小説とは少し違う近藤勇に、拍子抜けした。
どうやら実際の幕末は、時代小説とはやはり違うようで。
そんな近藤勇に喝を入れるのが、
「近藤さん、そこじゃねえだろ。まずはこいつが誰か見極めねえと」
「ああ、そうだった。すまんなあ、トシにみんな」
……さすがは、土方歳三だ。
生温い近藤勇に喝を入れ、指揮を取る。
そこは時代小説とほぼ変わらない。
「で、土方くん。その子の名前はなんというんです?」
お、近藤勇の右隣の奴が話しかけてきたな。
となると彼は山南敬助かな?
【仏の副長】と呼ばれている。
「ああ、すまねえ。まだ名前を聞いてなかったな。お前名前は」
「……新島まこと。なに?人に名乗らせておいて、あんたらは名乗らない訳?」
「お前…!」
俺のわざとしかけた挑発に、ぐっと詰まりながらも舌打ちする土方歳三。
俺と土方歳三を見兼ねてか、まあまあと近藤勇が援護に回る。
「まあまあ、トシ。確かに新島くんのいう通りだ。俺は「別に名乗る必要はありませんよ、近藤さん。彼はこれから尋問を受ける人間です。殺すか生かすかも分からないような人間に自己紹介する必要はありません」
「む?そ、そうなのか……?」
「山南さん…助かったぜ」
お、ここでは山南さんが二人を援護っかフォローするのか?
(「ははん、だいぶ見えてきた」)
この世界での関係が。
俺が人間観察をする中で、では次にと山南敬助らしき男が話しかけてくる。