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第一章




幕末ーー文久三年十二月。

深々と積もる雪の中、京の都の夜をある一筋の光が差しこんだ。


「うっ…」


光と共に現れたまことは、そっと目を覚まし起き上がると辺りをキョロキョロ見回した。


薄暗くて何もかもが見えにくい。


(「ここが本当に幕末かどうか、確かめないと……」)


まことは立ち上がり歩き出す。


なるべく音を立てないように歩いていると、近くで灯りが浮かび上がり俺は近くの木の後ろに隠れて息を殺した。


(「誰だ……?」)


俺は今、刀も何も持っていない。

そんな状況の中で、俺が出来るのはあの灯りが過ぎ去るのをひたすら待つことだ。


暫く息を殺していると、運の悪いことに灯りがこちらにやってきた。


(「おいおい、冗談だろ……?」)


このまま通り過ぎるのを祈っていたのに。


灯りが来ると同時に、偶然にもここが何処かが分かる会話も聞こえてきた。


「……おい総司。ここらへんか。光が差しこんだってのは」


(「……総司?もしかして一番隊組長の沖田総司か?」)


俺は飛び出したい衝動をこらえた。


この名を聞いて、幕末好きはきっと同じ行動を取り我慢するだろう。


沖田総司がいるとなると、ひょっとして。


期待が込められた灯りは俺の木の目の前で止まる。


「そうですよ、土方さん。この辺りです。かなり大きな光だったので……間違えるはずがないですよ」


土方、と呼ぶ沖田総司の声に。

俺は目眩がした。


今土方さんって言ったよな?

幕末に生きた?


鬼の副長と言われた、あの……。


期待通りの人物が、そこにいる気がして。


「土方……?あ!」


「!?誰だ!」


俺は咄嗟に口を塞いだ。

やばい、思わず口を開いちまった。


……ていうか。


俺、やばくね!?

本当に俺が会いたくてたまらなかった、念願の土方歳三だったとしたらー


「っ!」


俺がそう考えていると、パッと灯りが俺に照らされて。


二人の若い男が現れた。


(「ああ……」)


日本史の教科書や、時代小説で何度も何度も見た。


新選組を象徴とする浅葱色でダンダラ模様の羽織。


こんなにも、早くー


(「なら、話は早いよな」)


ニヤリ、と笑えば男たちーいや、新選組は刀を手にする。


「……まあ、待てよ。新選組幹部さん」


「…君、一体何者です?僕らの新選組の名前を知ってその格好……ただ者じゃありませんね」


まあね、と言えば睨みつけてくる二人。

とりあえずまずは、新選組屯所に行かないと。


じゃないと話は始まらない。


「早く連れて行けばいいんじゃないかな?新選組の【鬼の副長】土方歳三さん?」


俺は余裕の笑みを浮かべて、そう言ったー

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