第九十六話 生け贄療法
「さて、どこにいるものか……」
「……」
ユーリはずっと剣を握りしめている。思い出そうと努力をしているのだろうか。
「最果てにリサテアは行ったようだし……正反対の場所にでも」
「……贖罪の地・モーキュネスト」
「おや、覚えていたのか」
「分からない、どうして覚えていたの……? 」
震えるユーリの手をとり、走り出す。モーキュネストはかなり遠い。
贖罪の地・モーキュネストとは罪人が送られていた地だが、今では修道女や修道士がひっそりと暮らしている。
「おやおや、あなた様は」
「ここに誰かやってきませんでしたか? 」
「全身包帯に覆われた変な女性が倒れていたので、拾いました。それぐらいです」
「……彼女、知り合いだと思います。会わせてください」
ユーリは他の修道女と一緒に別の部屋で待機してもらうことにした。
案内されたのは地下室。そこには包帯だらけの人が眠っていた。着ていた服からしてミーナだ。
「ミーナ」
「……不思議だよ、こんな姿でも喋れて目が見えるの」
「大丈夫そうだな」
「まあね。しばらくしたら戻るから」
「生け贄療法か。──分かった」
リサテアには黙っておこう。──その前に、最果てから帰ってこれるのだろうか。
「ミーナは、無事? 」
「ああ」
「良かった」
ユーリはそれを言うと、倒れた。──そうか。彼女は本当に眠り姫なのか。
「シスター、この子も頼む」
「……眠り姫、かしら。また眠りについたのね。記憶をリセットしたのは誰かしら」
「楽園の管理者だ」
「そう。──それじゃあ、頑張ってね、ソフィア」
「ああ」
楽園に帰ると、リサテアがぐったりと横たわっていた。左手がない。
「左手はどうした」
「やられたわ……アルキドゥに罪を押しつけたりして、私、バカよね……」
「……」
「ねえ、ユーリは? 」
「役目に戻った」
「え? 」
「ユーリは眠り姫だ。イリスの母親のこともよく知る眠り姫」
リサテアは驚いていた。私も最近知ったばかりだ。
「二人はモーキュネストにいる。お見舞いに行きたいのなら行け」
「しばらく休みたいわ。もう……キツくて、たまらないの」
リサテアは涙を流し、眠りについた。




