第八十五話 ゲーム
放課後。私は川上百合恵という少女について調べることにした。
彼女は真面目な少女で佐波条一樹のストーカー癖に悩まされていた。彼は良い人だからと彼女は誰にも言わなかったらしい。そして、両親の過保護にも悩まされていたらしい。彼女には不必要な物も与え、甘やかした両親。──ストレスだらけの彼女が佐波条一樹に告白などあり得ないのだ。
「つまり、でっち上げ……ね」
川上百合恵は最近は保健室でほとんど寝ているという。──殺害されたあの日はたまたま具合が良くなり、たまたま天気がよくて、たまたま屋上に行っただけということだ。
生徒会が終わったからか、身代わりのリーデルヒが戻ってきた。
「川上百合恵って子、周りが変わらないとあの事件がなくても早死にみたいだね」
「そう……」
「なんでこの頃、モンスターペアレントがここに大量に集まったの? 」
「快適な学校生活、素晴らしい防犯施設……。それらが逆に親たちをモンスターペアレント化させたみたい」
「……ん? 」
「過去の出来事よ。聞かされてなかったとか怒る親がモンスターペアレントになってしまうわけ」
「へえ」
私は放課後、生徒会長が帰った後の生徒会室の様子を見ることにした。
「生徒会長、どうやって引きずりおろそうか」
「何か事件起こして、鬱にさせませんか? 」
「あ、それいいねみっちゃん」
「えへへ」
彼女たちが首謀者だった。恐ろしいことを考える人間もいるものだ。
「とりあえず眠らせてノートを見るわよ、リーデルヒ」
「はいはい」
何かメモをしていた。リーデルヒの力で眠らせ、それを見る。
「……川上百合恵と佐波条一樹の殺害計画!? 」
「しかもその後起きる数々の事件、全て計画しているみたいだよ」
「っ、そんな」
「ごきげんよう、駒たち」
時の管理者が優雅に現れた。その手に人形はない。
「あ、時の管理者……」
「所詮、遊戯なのよ。悪いけれどミーナにはおりてもらったわ。その内、あなたたちもおろすから。──そうね。期限は3日。3日の間に何にも変わらなければあなたたちをおろすわ」
「……あなたは人間を何だと思ってるの」
「そうねえ、道化師かしら。私の為に踊る、滑稽な道化師ってところね」
「……私、あなたの言うことは聞かないわ。私は私で運命を変えてみせる。だから、凛子さんもおろしてやって」
「ええ!? ちょ、ユーリ」
「いいわよ、あの子、絶対死にそうだもの」
時の管理者は再び消えた。バカバカしい。人間には醜い心があっても、悪魔にはない美しいものを持っている。
だから、私は彼女に反抗する。ゲームなんてふざけてる。
「ボクには、ユーリのことがよく分からない。なぜ人間をおろしたの」
「人間を見下しているのに腹がたつの! さあ、どんな手を使ってでも美しい未来にするわよ」
私は決意と共にほほえんだ。




