第八十三話 心の奥底
「……時の管理者は姿を見せているときは持っている人形に喋らせてるの」
『人形と言わないでくれるかしら、リサテア=トルシ。このお人形は特別なもの。糸使いだったあなたなら理解できるはず』
「……」
『それじゃあ、裁判を始めるわ』
真っ白な部屋になる。時の管理者とかいう人は空中に浮く。
『あなた達は、時の歪みを直せるのかしら』
「楽園の管理者の正体を暴いて、未来を変えます。私やユーリ、ミーナ、リーデルヒ、凛子の5人で」
『アハハ……バカねえ、今すぐ動きなさいよ。楽園の管理者、リサテア=トルシなら分かるはずよ。ほら、動きなさい』
「……っ、ユーリ、楽園の管理者は私が止める。あなたは桜高校にリーデルヒと、凛子はミーナと共にこの中学校をよくして。この中学校、荒れているんでしょう? 」
「よく分かったね……」
この中学校ではたくさんの事件が起きた。私は、目を背けた。だから──。
『……今回は見逃すわ。ミーナ、底辺の分際で時は遡らないこと、次は天罰くだします』
「はい……」
時の管理者は消え、真っ白なのも消えた。
私は中学校の頃、みっちゃんと登校していた。だから、帰らないと。
「任せて☆記憶操作なんて簡単だよ」
「あ、うん……それよりも、その、糸使いって」
「……三大糸使いと呼ばれるのが私、リーデルヒ。後一人はリサテアさんだったけど、やめたみたい」
「やめたって、どうしてですか」
「……糸使い、キツいものだよ。関係が色々と悪化するし」
「ふうん」
ミーナはさっそく、記憶操作を始めた。私は、その間に寝ることにした。
────
翌朝。私は人間の女子というものについてリーデルヒから習った。
「複雑なんだよ。恐らく、生徒会も皆水面下じゃケンカしてる」
「それで朝早くに」
「……ほら、声が聞こえる」
朝早くの生徒会室。私は近くの空き教室から盗聴することにした。
「悠希、あんたも一樹好きなんでしょ」
「は? 理恵、あんた仕方なくいれてあげてるのに何言ってんの」
「おお、怖い怖い」
「あんたね……」
あんなに仲良さげだった二人が、ケンカ。リーデルヒの言っていたことは正しかった。
「百合恵、止めるなら今の内だよ、知らないからね」
「ふんだ」
私は無知だったのか。人間関係も複雑なんだ……。
八千草先輩が出ていくと、生徒会長は独り言を呟きだした。
「一樹はただの幼なじみなのに、なんで理恵なんかに色々言われなきゃならないの? 本当にムカつく……」
リーデルヒから次の場所に向かうよ、と言われたので向かうことにする。
そこは、2年生の教室。なぜ?
「みーちゃん」
「りー先輩、どうでしたか」
「うん、バッチリ。本当にバカだよ、一樹が悠希なんて好きじゃないっていうの分かりやすいのにさ」
「幼なじみだけど、悠希は嫌いだとか言ってましたよ」
「アハハ、だよね」
信じられない。普段はほとんど話さない二人が仲良く話してるなんて。嘘、でしょ?
「……人間はね、嘘をまとってるんだよ。純粋なのは一握りくらい。だからね、だからこそ、すぐ崩れるんだ」
「それで、あの後簡単に生徒会崩壊したのね」
「多分、生徒会の面々はユーリのこと嫌いだよ」
「そりゃあ、先生に命じられて副会長になったんだから」
「それだけじゃないと思うよ。ほら」
二人の話はまだ続いていた。長話も女子の特徴みたいだ。
「そういえばあの1年、ほんとウザいよね~」
「ですね。生徒会室で勉強とか真面目ちゃんアピールしすぎですよ」
「アハハ」
──何が、そんなにおかしいのだろうか。私には分からない。でも、私は孤独なんだと理解した。クラスでもきっと嫌われている。
「リーデルヒ、私、クラスじゃどうかしら」
「多分……印象悪いよ」
「……そうよね」
今日は気分がのらないから私は生徒会室には行かないで、教室に行く。
「あ、おっはよ、沢田サン」
「……おはよう」
「生徒会室には行かないのー? 」
朝早くということもあり、女子2名が携帯(持ち込みはいいが、使うのは校則違反)をいじっていた。
あからさまに私をいじめている。こっちを見て笑っている。
私は机に突っ伏して(保護はリーデルヒに任せた)リーデルヒとテレパシーで会話する。
『大丈夫、安心して。今度こそ止める』
『リーデルヒ、前は楽園の管理者とかキチガイ研究員に止められたんだっけ』
『う、うん』
『……まあ、頑張りましょう』
私はリーデルヒに微笑みかけた。




