第七十二話 彼女の目的
翌日。当時のサナセイ関係者に聞き込みをしようということでミーナさんについて行くことにした。
野本という元社員が会ってくれるということで彼の入院する病院に行くことになった。
「サナセイの中で評判の悪かった研究員は? 」
「沢田亜希子って女だ。当時、夜も研究してたんだからな」
「夜も……」
「しっかし杏さんも変わったなあ。可愛さは相変わらずだがな」
「いえ、そんなことは」
「杏さんは覚えてねえんだな」
「え? 」
「当時亜希子に使われていたということを」
「……彼女は私に何らかの術をかけたのかもしれませんね」
つまり、サナセイ一連の事件は沢田亜希子という謎の女性が起こしたことになる。ん、沢田?
『私は沢田梨香。──イリスという名の悪魔でもあったし、魔女でもあった。』
「あ! 」
「ちょ、どないしたん」
「凛子落ち着いてよ」
「……んじゃあこれぐらいか? また来いよ」
まさかとは思うが、イリスさんの身内?
病院の近くのカフェでこそこそ話をする。
「さっきのは何? 」
「イリスさんの別名が沢田梨香なので身内かと思ったんです」
「──だとしたら彼女は人間になることで真実を隠したの? まさか、そんなことありえない」
「あはは、そ、そうですよね。偶然ですよね」
「うちもそう思うで。会ってもない人間なんやで、あれこれ想像するのはあかんと思う」
「全然別人かもしれないからね~」
ふと私は考えた。サナセイ一連の事件は犯人が捕まったのだろうか?
「今調べたんやけど、サナセイ一連の事件はいつの間にかうやむやになったらしいな」
「うやむや~? 」
「ファイル紛失とかありえないことしちゃったんでしょ? 私も聞いたことあるわ」
「ええ!? 」
それは事件現場をあらかた調べ、まとめ上げたあとに起きた。事件現場を片づけるときは当然ファイルは放置されるのだがそのファイルがなくなったのだ。放置とは言え保管する場所にきちんとなおしたはずだったらしい。それがなくなったというのだ。
不可思議な事件としてそれは片づけられ、いつの間にか忘れられていったとか。
「サナセイについては口にするな! 」
「誰? 」
「春代さん、戻りましょう」
春代さんという名前を聞いてミーナさんは驚いていた。そして、涙ぐんでしまった。
「おそらく、病院から追ってきたんでしょうね。彼氏を亜希子に奪われた花島春代さん……」
「研究メンバーに入れられたんですか? 」
「しかも無理矢理。変な薬を飲まされて、亜希子について悪口を春代さんが言えば昼間の会社でも彼氏は春代さんを殴っていたの」
「洗脳薬やな……」
「春代さんはあの行方不明事件が起きる前の年に退社してアメリカに行ったっきり私は知らないの……でもまさか会えるなんてね」
肝心の亜希子さんの目的が分からない。しかもミーナさんは本名が分からない。
結局、夜にディさん、理彩さん、生徒会長の3人にも話をした。
「イリスには姉しかいないし、しかも全員殺されてるわよ」
「リサテアの言うとおりです、イリスは姉全員を毛嫌いしてます」
「だそうです」
結局はただの偶然のようだ。じゃあ、目的は、何?




