第六十八話 化け物
病院に着くと大騒ぎになっていた。何かあったのかな。
「あの、吉田孝徳さんのお見舞いに来たのですがどうしたんですか」
「……その吉田さんなら誘拐されたの」
「えっ!? 」
「理由は今調べているところなのだけれど、警察には言えなくて……」
「……桜高校関係者が事件に巻き込まれた場合マスコミが騒ぎ出すからですか」
「ええ、そうよ。だからあなたたちは帰ってくれない? 」
「はい」
私は桜高校に入学する前、説明を受けた。なるべく事件は起こすな起こしても警察は呼べないから、と。桜高校の入学辞退者はここで出る。
ディさんと私はとりあえずまた桜高校に戻るかどうか決めることにした。
「どうしますか? 」
「家に戻るべきです。化け物がもし暴走していたのなら……それに理解者の側が一番安全ですよ」
「分かりました、そうします」
帆乃の家に帰宅すると、みっちゃんと帆乃が心配そうな顔で出迎えてくれた。
「大丈夫なん? 」
「今、桜高校にサナセイガスが充満してるから近所の住民に避難指示が出されているって……」
「え、サナセイガス!? 」
テレビで緊急ニュースとして伝えられている。サナセイガスが大量にバラマかれた──それも、化け物により大慌てで生徒と教師がいなくなったため、一部の窓は開け放たれている。近所の人には迷惑だ。
「今処理中みたいだけど、どうして今更……」
「よくわからんなあ」
「副理事長も大忙しだってね」
「委員長もいたんだ」
「生徒会長がいないからここに来ただけ」
『桜高校にサナセイガスが充満した事件をきっかけに4月から相次いで起きている桜高校関係者の殺害事件が明らかになりました。次はそちらを──』
「佐波条愛莉の事件以外は表沙汰にされていないからね。その事件だってマスコミの介入を防ぐためにさっさと処理しちゃったし」
「ねえ、それじゃあ私達どうなるの? 」
「さあ? 」
「そういえばディさん、吉田はどうなったん? 」
「先ほど見に行ったら誘拐されたところだった、すまない」
「え、嘘やろ……? 」
「誰が誘拐したんだろ」
ショックを受けている二人に化け物のことは言えなかった。ミーナさんはどうなったのかな。




