第六十四話 黒幕?
お母様に言われ、街でお買い物をしているとフラフラと歩くアルキドゥを見つけた。もう陽はほとんど沈んでいる。きっと護衛のお仕事は終わったのだろう。
話しかけるため、近づいて肩を軽くたたく。ピクッと反応してアルキドゥが振り返った。
「ねえ、アルキドゥ」
「──何」
「あ、いや、その……護衛のお仕事、どうだった? 」
「まあまあかな……じゃあね」
「じゃあね」
手が赤黒く染まっていた。ケガでもしたのかな。心配をよそに、アルキドゥはまたフラフラと歩いていった。
雨が降り出したので大急ぎで戻る。お母様は楽しそうにお父様と話していた。──どうせまた難しい大人の話だろう。
「また一人貴族の跡取り娘が肉片になったらしいな」
「フフッ、イリスの友達のお姉さんかしら? これで私に反対するものは少しずついなくなっていってるわ」
「そうだな、ハハッ」
「そろそろ夕食にしましょう」
「ああ」
嘘、でしょ、お母様。あの事件の黒幕、なの?
私はキッチンに買ってきた食材を置く。この屋敷にはメイドがいない。理由としては長がとっているから、なのだがお母様たちはそれをいいことに悪口ばかり話す。
「リサテア、今日から外出禁止よ。この敷地内にある長の屋敷には行っていいけれど、そこの人の言葉には耳をかさないこと。いい? 」
「はい、分かりましたお母様」
「ティータイムはこの敷地内に住むお嬢様たちと過ごしなさい」
「はい、分かりましたお母様」
夕食は私が作ることになっている。今日もお母様たちの好みから少しでもズレないようにと頑張って作る。少しでもおかしければ怒られてしまう。
それにしても外出禁止とは最悪だ。ユーリ、シーナ、アルキドゥ、ごめんね……私が逆らえないほど弱くて。
作り終え、運ぶ。お母様もお父様も満足気に食べる。
「ねえ、リサテア。あなたが即位するのに必要なもの、分かるかしら」
「私が即位……? 」
「ええ。──多くの貴族を抹殺することよ。フフッ、そのために今お片付けをしているところなのよ」
「……お母様、ありがとうございます。お母様は正しいです」
「ありがとうリサテア」
貴族と言えばシーナも危ない。どうしよう、どうしよう……!




