第六十話 連続暗殺事件調査
今日はリサテアが学院へ、ユーリが初仕事。どちらも不安。でも、私はやるべきことがある。
「またショボい悪魔が亡くなったみたいよ」
「しっ、聞こえちゃうでしょ、お嬢様に」
メイドたちが最近ひそひそと(聞こえてるけど)話す噂話。いや、現実のこと。少し調べてみないと……。
「ショボい悪魔ばかりが暗殺されてる……!? どういうこと……? 」
「つまり、私達みたいなお嬢様とかお坊ちゃまは殺されていないの」
「……狙いは何」
「恐らく、一般悪魔に墜ちたあるお嬢様を捜してるのかと」
エレキュールの言葉に愕然とした。このやり方、まさか、まさか……!
「ま、どうせあの暗殺一族の仕業でしょうね」
「そうよね……」
暗殺を生きる目的とするハイデベア家。彼らは外部の血を途中から一切受け入れず、ひっそりと暮らしている。大概の暗殺事件は彼らの仕業とされる。
エレキュールは紅茶を飲みながらクスクス笑っている。どうしたのだろう。
「イリスがそんな噂話に振り回されるなんて珍しいわね」
「そうかしら」
「普段は噂話を聞くのも嫌がっていたじゃない」
「だって、これは現実の──」
「所詮ショボい悪魔よ? 目撃者もショボい悪魔。信じられないわ」
「エレキュールはそうだろうけど、私は信じたい」
「ふうん」
私は貴族の中でも例外だ。エレキュールのようにショボい悪魔(一般悪魔)を見下すのが貴族は当たり前。でも、私は一般悪魔を見下すのは許せない。
「相変わらず変わり者ね。まあ、いいわ。特別に色々と教えてあげるわね。──殺された悪魔の中には元トップクラスの者もいたそうよ」
「……エレキュールの親戚なら確認がとれるでしょうに」
「無理よ。顔が潰されたのだから──。それじゃあ失礼するわね」
今の長の周りには色んな悪魔がいた。今では元トップクラスと呼ばれる彼らは事件を起こし、一般悪魔になった。エレキュールの親戚にも数人いる。
しかし、一瞬で判別不能になるまで潰すとは恐ろしい。下手に外は歩けない。
「お嬢様、ティクトペア様がお見えになっております」
「まあ、通して」
「かしこまりました」
一番知ってそうな悪魔が来た。これで少しは……。
やってきたティクトペアは笑顔で紙を渡してきた。──まさしく私が調べていた事件のことが書かれている。
「父親の元仲間が殺されたかもしれないから独自に調査をしてみたんだ。でも兄たちに見せたら燃やされるから君に見せに来たんだ」
「私もさっきまで友達とその事件について話していたのよ。あなたならもっと詳しいのよね」
「そりゃあ、まあ」
《 被害者は推定36名。ほとんどが一般悪魔だが、中にはあの事件を起こしたとされる元トップクラスの悪魔も含まれていたらしい。だが、被害者は皆一瞬で肉片に近い状態になった。まるで魔術だ。》
「犯人があの一家ならば仕方がない。でも、目的だ」
「家を飛び出した子供を戻すため、だっけ? 」
「読めば分かるよ」
《 娘を連れ戻すという目的で暗殺しながらも、裏では復讐を兼ねているとされる。》
「まさか、あの事件で……? 」
「さあ、分からない」
またもや行き詰まる。私は紙をもらい、明日また会うことにした。




