第五十九話 初日
今日から早速長の護衛を担当する。現在、12名いるため2人ずつ日替わりでやっている。私はベテランのティカトリスさんとやる。アルキドゥは明日の予定。
「あなたの家って随分と立派なお家でしょ? どうして長の護衛を? まさか、長目当て? 」
「いえ、祖父みたいな立派な剣士を目指しているんです。アルキドゥは友達なので一緒に」
「へえ、あの子と友達なのね。意外だわ~」
「そうですかね」
今日は長のご公務を邪魔しないよう、お喋りをしながら護衛をする。とは言え今時長を狙うバカなんてそういない。
ティカトリスさんは明るくてすぐに意気投合した。年も5つしか変わらないため、仲良くなれそうだ。
「そういえば聞いたかしら? あの噂」
「噂? 」
「このお屋敷から離れて住んでいたのなら分からないでしょうけど、最近よく暗殺が起きてるのよ」
「えっ……」
「しかも狙われるのはショボい悪魔ばかり。嫌になっちゃうわ~」
「確かに嫌な事件ですね。犯人の目的も意味が分からないですし」
「そうそう。おかげで夜は目がパッチリよ」
「あはは……」
この辺りに住んでいるのは長の関係者ばかり。時たまその辺に関係者じゃないのがいる。(いわゆるショボい悪魔)
暗殺者は暗殺しやすいのを狙って……? いや、そんな平和なこの辺りで……。
「紅茶が飲みたくなった」
「はい、ただいまお持ちいたします。──ユーリ、早速仕事よ」
「はいっ」
紅茶が大好きだという長。砂糖は多め……甘いのが好きなようだ。
「うむ、今回の新人は中々だな」
「そうですね。失礼いたします」
私は見えないところでガッツポーズをする。早速褒められた!
夕日が沈む頃、護衛の人たちが住む宿舎に戻った。アルキドゥが出迎えてくれた。
「アルキドゥ! ただいま」
「あ、お帰り」
「今日ね、シーナから教えてもらった紅茶のいれかたが役立ったの! アルキドゥも試してみたら? 」
「う、うん……」
リサテアやシーナにも早く報告したいな。




