第五十七話 権力と姉妹
姉のラミアスはティクロノスと結婚をし、リサテアという娘を生んだ。60年ほど昔のこと。
今度は私が末のティクトペアと結婚をする。既に我が物顔でティクロノスとラミアスが歩いているので権力には期待できない。まあ、今の長・ヴェルティーがどういう遺言を残すかはまだ分からないけど。
「あら、イリス」
「何ですか? お姉様」
「末とは言え、長の息子だから失礼のないように。いい? 」
「はい、分かっております」
自分の姉なのに、昔のように仲良くは出来ない。これも権力のせいだ。私も権力は欲しい。
今日はティクトペアと待ち合わせをしている。彼はどういう人なのだろうか。
「どうも、こんにちは」
「あ、こんにちは。ティクトペアさん」
「結婚するんですから、ティクトペアと呼んでください」
にこっと笑う。とても優しそうな雰囲気だ。
「末ですからあなたを満足させることは出来ないと思いますが、よろしくお願いします」
「いえ、そんな、権力なんて……。姉みたいに求めてません」
「あなたはいい人なんですね。私の兄は三人とも、権力を欲している。しかも、その思惑に結婚相手までのせられて……」
「……私の姉もそうです」
和やかな会話がその後は続いた。末だからこその苦労、庶民みたいな生活……。すごく充実して楽しい時間だった。
その後、護衛テストに合格したというアルキドゥとイリスが部屋にやってきた。
「え、優男・ティクトペアさんと結婚するの!? 」
「羨ましいね」
「そう? 」
「ティクロノスとかは悪評しかたってないよ。だけど、ティクトペアさんはいい噂ばかり」
私に相応しい相手だと改めて痛感した。
この二人に長居は出来なかった。姉が最近、外部の人に対してうるさいのだ。
「それなりに立派に対応出来たようね、褒めてあげるわ」
「ありがとうございます」
「これからも頑張りなさい」
私はため息をつく。また一人だ。
姉は3人いるが、全員権力にのまれた。私はどうなるのだろう。




