第五十四話 もう一人の仲間
説明後、紳士すぎるディさんは帆乃の父親と楽しそうに話しながら夕食を食べていた。さっきとは180度違う態度だ。
一応、彼のことはクラスメイトの知り合いが心配してつけてくれた護衛ということにしている。(まあ大体あってるけど)
「いや~中々いい人だな。このまま帆乃水の婚約者とか、どうだ? 」
「ダメどすえ」
酒で酔っぱらった帆乃の父親は楽しそうにがっはっはっはと笑っている。ディさんは横で苦笑い。
そういえばさ~、とみっちゃんが突然発言をした。
「吉田、最近寝込んでいるらしいよ」
「ほんま!? 」
「え!? 」
絵画を本格的にやりたいと前向きになっていたのに。何があったんだろう?
「そちらの件は私が行きましょうか? 」
「でも、それじゃ」
「まだ仲間がいますから安心してください」
「……」
夕食後、帆乃のお母さんと共に残された紅茶を楽しんでいると誰かが訪ねてきた。
「こんばんは」
「あなたが仲間の? 」
「はい♪ミーナと言います」
「女性とはびっくりやな」
くるくるとカールしている赤髪。奇抜さではシルディと同レベル……。
「ともかく、私が来たからにはもう安心だからね、うん」
「これからよろしくやな」
私達は笑顔で微笑んだ。
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「観察とは物好きですねえ」
「お前には関係ないだろう」
「いえいえ。少し忠告をしに来たのです」
「忠告? 」
「はい。──壊れた歯車はさらなる暴走を続ける」
「え? あ、おい」
あいつは笑顔で消えた。何なんだ?
俺は宝物をぎゅっと握りしめた。
────
私達が登校していると、久しぶりに生徒会長を見かけた 。声をかけようかな。
「あのっ、生徒会長」
「……おはようございます、凛子さん」
「おはようございます、浮かない顔ですね。何かあったん ですか」
「秋からメールがたくさん来ていました。春香からは電話 が……。二人には申し訳ないです」
「そうだったんですか」
「委員長ならやりかねんな」
「だね~」
後ろで気配と姿を消すミーナはなぜか生徒会長を睨んで いた。後輩にも敬語対応な生徒会長が気にくわないのかも しれない。
「それじゃあ、シルディを救えたら報告をお願いします」
「はい、分かりました」
シルディが隣の席にいない。何だか寂しい。 前の席の理彩さんはぼうっとしている。
シルディは無事に救えるのかな……。




