第五話 真田家の確執
翌朝。本来なら東京観光したいところだが、呼ばれているので姉の家にすぐに向かう。
久しぶりに会う姉はより美しくなっていた。傍らには──あのイケメンモデルが。
「久しぶり、凛子」
「お姉ちゃん、その人」
「ようやく彼も完治したからそろそろと思って。そうよね、雅文さん」
「ああ。君が妹の凛子ちゃんか」
「はい」
母は私みたいな才能がない子を隠すべく、マスコミにお金を払っている。だから私のことは露見しない。
しばらくすると、これまた豪勢な二人がやってきた。父と母だ。父はかなり久しぶりに見る。
「凛子、その服は誕生日プレゼントよ。気に入ったかしら」
「ええ、まあ」
「そう。よかったわ。今日は舞莉の結婚についてのお話ね。私としては賛成したいけれど、もう一人はどうするのか考えたのかしら」
「お金よ」
「あの人は資産家の息子よ? お金に飢えている人ならまだしも、納得するはずがないわ。3億でも無理よ」
母は資産家の娘だから言えることなのかもしれない。
私はこの言い争いに関わりたくない。その場を去ろうとすると、母親にお金を渡された。
「今年はあんたの家に寄ることができないから。食費とか生活費50万、その他50万よ」
「……ありがとう」
お母さんは感覚がおかしい。未だにくれたお金が残っているし、そのお金で欲しいものを買ってもまたこうやって大金をくれる。
くい止められなかったから幸いだったものの、外に出るとマスコミがうじゃうじゃいた。でも、私を見て舌打ちするだけ。誰も話しかけはしない。
ホテルに戻り、100万の封筒をバッグになおす。足りなければ私の実家に言え、と昔から言われているもののそんなことはない。一体いつなくなるのやら。
「入るよ~」
「あれ、みっちゃん? 」
「えへ、今日は雨だからね。しかし、スイートルームとはすごいねえ」
「そりゃあここはおばあちゃんが経営する会社の子会社が運営しているんだから」
「へえ」
「それにしても、新幹線代大丈夫なの? 」
「お母さんにもらったお小遣い使ったから。もうなくなったけど」
「……お母さんからまた破額のお小遣いもらったからあげるよ。帰りの新幹線代」
「え、本当にすごいね」
みっちゃんと共に私はそそくさと帰ることに決めた。それをホテルの人に伝えると、すぐに手配してくれた。
私はもう二度とここには来ない。




