第四十二話 善良軍団の本部
善良軍団の本部はすぐに見つかった。わざわざ目立つよう建てたとは何か策があるのだろう。
「お姉さま、少し怖いです」
「ユン、私達は道具なのよ、怖がってはダメ」
「……はい」
ユンは納得がいかない顔でうなずいた。表情を未だに忘れないとは少し道具としておかしいが、まあよしとしよう。
「ターゲット、発見」
「おっ」
ターゲットである善良軍団の悪魔。ユンは攻撃をしなかったが、倒せた。しかもシェントお姉さまが一撃で。
「ユン、何やってるの」
「う、その、」
「道具は迷ってはダメでしょ」
教育係として厳しく叱る。疲れる。
最近、ユンはおかしい。イリス様に呼ばれて初めてお屋敷の外に出て生活したせいか、ほんの少し感情が残っていたユンは何でも興味を示した。『愛す』『怒り』──それらも忘れたシェントお姉さまにはユンを怒れない。私がずっと叱っている。
シェントお姉さまは私達なんて気にせずに次々と殺している。完成された殺戮マシーン。そんな異名を持つ。
「何してるのかわからないけど、ソリアとユンもさっさとターゲットを殺しなさい」
「っ、はい」
「分かりました」
無機質で冷たい声。私もいつかそうなることは分かっている。だからこそ今のうちにユンを立派に育て上げたい。
ターゲットである善良軍団最下層の悪魔たち。数が多いため、三姉妹と長であるナトリ様で殺戮をしている。もっぱら、ナトリ様は爆弾で盛大に殺しているが。
「にしてもあなたのお姉さん、あんな感じだったかしら」
「ナトリ様と最後にお会いしたのはティクトペア様が亡くなった後少ししてかと」
「つまり、100年の間にあんな感じに……」
ティクトペア様が亡くなったとき、シェントお姉さまは泣きじゃくった。アルロイド家はその後シェントお姉さまが継ぐことになり、もちろん涙なんて見せていない。
「ユンもほら、早く」
「えいっ」
しかし、かすり傷だった。冷たい目のお姉さまがとどめを刺した。
「ゆんはダメね、亡くなったお父様の意志を受け継いでいない」
結局、大半をシェントお姉さまが片づけた。とりあえず任務は終わりだ。




