第三十九話 悪魔が潜んでいる?
私は病院に秋と春香を呼び出した。睡眠薬のこともだが、少しお話がしたかった。
「睡眠薬の件はすみませんでした、てへっ」
「……教師の中に悪魔がいる」
「え? 生徒会長、どういうことですか」
「少し変だと感じたんです。桜高校のセキュリティーは私立校ゆえに最高とまで言われています。決して不法侵入などできないのです」
「確かに、シルディみたいに潜んでいそうですね」
「シルディ先輩なら分かりそうですけどねえ」
「あの子、完璧ではないそうです」
「それじゃあ、まさか」
「裁判を行います」
私は立ち上がった。少しよろめくものの、どうにかして歩く。
会議室を貸し切り、教師を呼び出した。さて、始めますか。
「生徒会長、権力を乱用していると思います」
「副理事長、あなたはまた死者を出したいのですか? 」
「……始めましょう、悪魔を探し出す裁判を」
私はまず、ホワイトボートにあの日のことをまとめる。
「数多くの事件からかなりお高い最高のセキュリティーを導入していますよね? なのに、侵入者がいました。あろうことか、二人を殺しました。直接ではありませんが」
「ところで、彼らの死亡推定時刻は」
「分かりました、大山先生。教えましょう。彼らは17時から17時30分の間に死亡したとされます。防犯カメラが壊されていたため、正確な時刻が分からないのがとても残念ですが」
「それじゃあ、何だ、私や大山先生など数名は違うな」
「そうですね。放課後すぐに帰った大山先生、谷原先生、睦山先生、西田先生は違います」
「これで67から63に減ったな……」
この高校には67人もの先生がいるため、少しずつアリバイを導かなければならない。かなりの長丁場となりそうだ。
「でも、帰るふりをして悪魔を中に入れることは可能ではありませんこと? 」
「いえ、不可能ですよ、笹原先生」
「意味が分からないわ」
「帰宅した先生方はすぐに車に乗ったことが確認されていますし、怪しい行動をすれば帰宅中の生徒に発見されます」
「あら、確かにそうねえ。ふうん、じゃあ侵入時刻は17時過ぎかしら」
「そうさな、笹原先生の言うとおりじゃ。あの時刻に残っていたのは一部の部活生のみ。しかも、彼らは大抵引っ込んでいた」
「あのテニス部も私と話し合っていましたからねえ」
クスクス笑う笹原先生。彼女もアリバイはある。テニス部のメンバーが証明してくれる。
ふむふむと頷く新垣先生も無理だろう。最近持病が悪化したとか話していた。今年が最後らしい。
「これで61人。アリバイがある先生方は発言をお願いします。もしくは目撃証言を」
「私も違います。私はあの時、帆乃水さんとバレーボールをしていました。場所からして不可能です」
「なるほど、そうですね」
私は色んな先生の発言を元に校内図に描いていく。やはり学園内が広大すぎるせいか、バラバラだった。
「それでは、そこで黙っている本木先生、あなたですね」
「……美人な人が、見学をしたいと申し出てきたので」
「本木先生、それは立派な違反じゃないのお? 」
「最近探偵を中に入れていたのも本木先生だったんですね」
本木先生曰く、管理を任せられて以来真実を知るべく探偵を招き入れていたそう。教師失格。
「悪魔とは知らないとは言えども、知らない人を入れてはダメというルールを破ってしまうとは……」
「申し訳ありません」
本木先生は、必死に頭をさげていた。




