第三十七話 裏調査
善良軍団を結成したのはリィデら幼なじみ5人。最初は人間を救いたいとか言っており、認めざるをえなかった。我々から抜けたものの、リィデとパトスはまるで知らない人同士のように振る舞いながら、こちらに残った。それをおかしいと認知するべきだった。
リィデの甘い罠にハマった最初の被害者は私の夫だった。夫は抗争の末に自身を血色に染めた。優しい夫は消えたのだ。目は赤色になった。側近をリィデのみにし、私とはあまり喋らなくなった。
──過去のことは忘れましょうよ。
優しい声が頭の中で反芻する。そうだ、今は宮島家の屋敷の探索をしなくては。
「おや、これは」
もはや水酸化ナトリウムの海と化した屋敷の中で唯一綺麗な場所を見つけた。そこから廊下に向けてバラまいたのかもしれない。
そこには──パトスが大事にしていたあれが落ちていた。私が贈ったささやかな物なのだが。全く、なんという奴だ。人が贈ったのに。
「紙類が一切ないわ……」
「本当ですね、銀髪の魔女」
「……また関与する気なの? 人間はやめておくべきよ」
「じゃあ、魔女には化学の知識なんてあるんですか」
「調べればなんとかなるものなの」
「……協力しますよ」
人間とはあまり関わりたくない。しかし、化学の知識──か。
「特別に許可するけれど、危険よ」
「構いません」
口元だけ微笑む人間はなぜか、誰かに似ていた。




