第三十三話 生徒会メンバーは、誰?
私とみっちゃんはきょとんとする。シルディはよく分かっていない顔。
病院近くのレストラン。そこで帆乃水の爆弾発言はなされた。
「え、無理だよ。一昨年ならゆるゆるだったらしいけど」
「うちの先輩も言っていたで。でもなあ、そこを暴くのがええんやで」
「今の生徒会長がどうしてあんなに冷ややかなのも一昨年何かあったからかな? 」
「……せやろな。前の生徒会長は明るい人やったらしいで。防犯カメラにも反対してたとか」
「う~ん」
生徒会室に忍び込むという案が浮かんだ。しかし、防犯カメラがある限り無理な話だ。
シルディは顔をあげて、あ、と言った。
「そういえば生徒会長さんの名前は? 」
「……あ、そこからやな」
「あの人、名乗ったことないんだって」
「え、でも」
「生徒会室に基本こもってる人だよ? 昨日、テニス部のコート近くに生徒会長がいたから先輩に聞いてみたけど先輩たちも分からないって」
「どういうことだろう」
私も一切関わらなかった無口なクラスメートというのはこれまでに何人もいた。しかし、授業中にその子が発表で当てられたり、少し話題にのぼるなどすれば自然と名前など覚えるもの。
それが一切されない生徒会長。どういうことなのだろう。
「あら、楽しそうですね」
「あ、せ、生徒会長」
「あなた達はバカですか? 矢川市ではレストランがほとんど閉まっています。当然です。だから私は初めてこの店に来ました」
「……ごめんなさい」
「構いません。でも、私の名前は探らないでください」
「寂しくないのですか? 」
「生徒会長ですから、私」
彼女はなぜ、必死に名前を隠すのだろうか。その理由が気になる。
「生徒会長は孤独でいないと、失敗します。集団で群がって決裂してしまう女子と同じなのです」
「……」
彼女は口元は笑っていながら、目はガラス玉のように、虚ろのままだった。
そのあとは静かに夕食を食べ、バスで帰宅した。
夜のことだった。珍しくメールが来たので起きてしまった。
『宮島香奈がどういう人物なのか、もう知っています。屋上での戦い、録画していました。すばらしいものでした。シルディさんは悪魔なんですね。彼女の両親が行ったことは許されません。私が、必ず裁いてみせます。』
生徒会長だった。ありえない、どうして?
『どうして、メアドが?それに、裁くって。』
『簡単な話です。私が次のターゲットになればいいのですから』
『目星がついているんですか?』
『もちろんです。今のところ、シルディさんの両親による被害者はあなたのクラスメートですよ。宮島香奈さん、相田さん、刀根さん。この3人の共通点は、シルディさんについてよく思っていないことです。防犯カメラで確認したところ、相田さんや刀根さんが悪口を言いながら笑っていました』
『モンスターペアレント、ですか?』
『まあ、多分、それに近いのでしょう。もしこれで死んでも悔いはありません。止めないでください』
生徒会長からのメールはピタリと止まった。大変だ……!
生徒会長が病院に運ばれたらしい。やっぱり、だよね。
ついでにシルディには生徒会メンバーが分かったようだ。
「委員長とマネージャーさん、でしょ? 」
「どうしてそう思うか説明して」
「そうですよぉ」
朝から生徒会室で推理を繰り広げる。大丈夫なのかな?
「まず、マネージャーさん。あなたはどうやってあの病院を知ったの」
「え~? 野球部のぉ、連絡網でぇ、」
「さっき、他の野球部部員に会ったら病院とは言ったけど、そんなことまで言ってないと」
「……先輩、おとなしく降参しましょ」
「秋……うん、そうだね。シルディ、本当にすごいよ」
意外とあっさりだった。どうして、なのかな。
マネージャーさんはさっきまでのぶりっこをやめ、ツインテールの髪もほどいた。
「生徒会長には内緒だからね。あの人は私達を隠したいらしいし」
「今頃はすやすや寝てますよ。あの人、無茶しすぎなんです」
「えと、魔女にやられたわけでは」
「深夜に一人でいたから睡眠薬を盛りました、てへぺろ☆」
仲間から睡眠薬を盛られるなんて、可哀想……。あとで生徒会長、怒るかな。
「今日は生徒会長がいないから私と秋が責任をとらないと。あなたたちも、生徒会に入ってくれない? 」
「授業、どうせ間に合わないから。いいよ」
「シルディ、単純だね」
「そうそう、生徒の安全のため帰りは15時にすることにしたから」
これで、いろんなことが解決するといいな。




