第二十七話 不思議な生徒会
「あの日、佐波条愛莉は華さんやなゆこさんと別行動をとっていました。私やみっちゃんは一安心していたんですが、よく知らないんです」
「あの女が、破るから悪いのっっっ!!!! 」
「どういうことですか、華さん」
「あの日あの女は私となゆこの秘密を他人に話した。だから私は彼女との約束を破った。そして特別クラスにも入れた。なゆこは遠くに行ったけど」
──何となく、理解した。
佐波条愛莉はなゆこさんたちに勉強するなとでも言ったのだろう。しかし、佐波条愛莉はなぜか二人の秘密をバラしてしまった。
「つまり佐波条愛莉を憎む動機はあるのです。しかもあなたは理系」
「ふざけないでください。確かに燃料被覆管のジルカロイが高温の水蒸気と反応して水素が発生して、次いで水素が酸素と反応して爆発──みたいなことはできますけど」
「──学校側は顔見知りの犯行だと言っていました。しかし、そうとは考えれません」
「化け物の仕業」
黙っていたシルディが呟く。生徒会長と華さんは驚いている。
「ほら、昔あったじゃないですか。桜高校恐怖の夜──」
「生徒会としては失態の事件として記録されています。確かに、あの時みたいに不思議ですが安易に化け物の仕業とは言いたくありません」
「生徒会長さん、私はこのシルディさんに賛成しますよ。噂によると鋭利なもので刺されて殺されているのに、どんな刃物とも一致しないんですよ」
「──分かりました。生徒会で意見をまとめます。それでは今から生徒会メンバーを呼びます」
「はい」
私達は帰ってもよいとのことなので、昼休みの教室に私はシルディと共に戻った。みっちゃんたちがいた。
「ずいぶんと時間をかけたね」
「本当に疲れた……生徒を見守るって言ってたけど」
「そんな偽善者だったよ。あまり話してはいけないらしいから細かくは言えない」
「ほんまに謎やなあ」
「確かに」
この学校には生徒会総選挙がない。学校パンフレットにも書かれているほど。先生から選ばれるほど素晴らしい人でないとならない──とパンフレットにはあった。桜高校に入学する人減りそうな一文だが、交通の便がよいから倍率は2.2倍だ。
委員長や帆乃水、みっちゃんに生徒会のことを聞いてみようかな。
「うち知らへんで」
「私も~委員長は~? 」
「聞いたことがない」
「生徒会メンバーか……」
つまり、生徒会メンバーは実質いないようなものだ。どんな行事の時も見かけたことはない。どういうことなのだろう。
「昨年はそれなりに把握できたらしいよ。あの人は生徒会らしい、とか分かったし」
「でも今年は全員見直されたって話だよ~」
「ほんまにそれやと困るで。相談もできへんし」
「帆乃水、相談箱知らないの? 」
私も初めて聞いた。委員長はため息をつき、説明をはじめた。
「生徒会に相談したいこと、例えば部費の見直しとか紙に書いて昼までに入れるわけ。そしたらその日の内に返答の紙が机に入れられてるって」
「そういえばお昼休みは会議の時間みたいだよ」
「なるほどな~」
「へえ」
お昼休みの後、私たちは久しぶりに宮島香奈を見かけた。──ボロボロだった。
「ゲホッゲホッ……今から退学届け出しに行くからどきなさい」
「あ、うん」
松葉杖をつきながら苦しそうに歩く宮島香奈。あれは散々暴れた代償なのかもしれない。
そんなことを知らないみっちゃんたちは困惑した顔つきで同情していた。
「どないしたんやろなあ」
「そういえば最近休んでたね」
「可哀想」
予鈴のチャイムが鳴ったので教室に戻る。先生が気分を入れ替えるために席替えとか言い出した。
「近くになったね」
シルディと、隣になった。




