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chain  作者: 神崎美柚
カゴ ノ ナカ ノ 鳥
25/143

第二十五話 アルロイド家

「あーあ、羽さえあればなあ」

「シルディのお母さんはいつくるの? 」

「明日調査しに来るとか言っていたけど……どうするんだろう」

「そっか」


 半壊したビルから少し離れた場所のマンション(半壊)。その屋上で私はソフィアからの連絡を待っていた。そしたら聞こえてきたのが、あの裏切り者の娘の声と人間の声だった。

 中河原市は未だに警察、マスコミでごったがえしているため、私はあまり動かないよう言われている。


「悪魔の気配を感じる……ほんの僅かだけど、ここに様子を見に来た悪魔の」

「あ、あれ」


 人間が私を指さす。シルディもすぐにこちらを見る。さあ、あなたはどうなのかしら、

 しかしシルディは、顔をひきつらせただけ。攻撃もしてこなかった。


「あれは──人の不幸を栄養分とする悪魔の一族の長よ」

「お、長ぁ!? ボ、ボスじゃんそれ……」

「お母さんが来るまで迂闊に動けない……どうしよ」

「逃げる? 」

「うん、そうしよ──」


 私のことをボスと聞いて驚く人間と、困り果てたシルディ。

 シルディの目の前に誰かがおりてきた。間違いなくリィデだ。


「シルディ、逃げたらダメよ」

「お、お母さん……何でここに? 」

「予定がね……。ティルノドア族の長が見当たらないからもしかしたら、って言われたから」

「黒髪なのにピンク色の髪のシルディの……」

「私は元々ピンク色よ? でもね、目立つと悪いから。──というか、あなたがシルディのパートナー? へえ、いい子選んだわね」


 リィデがビル街に向かう。私は待っておくことにした。


「シルディ、行くわよ」

「あ、うん。凛子、行こう」


 3人はやってくるなり、ぎょっとした。ふふっ。


「あら、お久しぶりねえ、リィデ」

「──今度こそ、あなたを逃がさない」

「は? また失いたいわけ? あの時は格別だったわねえ」

「っ──」

「さっきも人間の不幸を食べたのだけれど、すごく美味しかったわよ」


 舌なめずりをする。人間が怯えているわ。


「中河原市崩壊はただの余興にすぎないわ。私の部下はあちこちにいるから──」

「そんな」


 リィデは私の目の前で座り込んだ。私はそんなリィデを見た後、去った。


 アルロイド家の屋敷。スフィアは紅茶を飲んでいた。


「暇そうね」

「……ソフィアお姉様が戻ってこないからよ。それにしてもお久しぶり」

「たまには休憩したいのよ、私」

「愚痴なら聞くよ」


 私はソフィアについての愚痴を喋った。幼なじみはうん、うん、とうなずきながら聞いてくれた。


「相変わらずだね。楽園の扉を久しぶりに閉めるなんて。──はい、紅茶」

「本当に困ったわ。──ありがとう」

「今は善良軍団片づけてこの歪みを戻してよ」

「分かってるわ。リハイデ様に任せるから。あと頼れる部下に行かせるわ。リィデは私が捕らえるけど」

「……まあ、止めはしないけど」


 スフィアはにこりと笑った。

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