第二十五話 アルロイド家
「あーあ、羽さえあればなあ」
「シルディのお母さんはいつくるの? 」
「明日調査しに来るとか言っていたけど……どうするんだろう」
「そっか」
半壊したビルから少し離れた場所のマンション(半壊)。その屋上で私はソフィアからの連絡を待っていた。そしたら聞こえてきたのが、あの裏切り者の娘の声と人間の声だった。
中河原市は未だに警察、マスコミでごったがえしているため、私はあまり動かないよう言われている。
「悪魔の気配を感じる……ほんの僅かだけど、ここに様子を見に来た悪魔の」
「あ、あれ」
人間が私を指さす。シルディもすぐにこちらを見る。さあ、あなたはどうなのかしら、
しかしシルディは、顔をひきつらせただけ。攻撃もしてこなかった。
「あれは──人の不幸を栄養分とする悪魔の一族の長よ」
「お、長ぁ!? ボ、ボスじゃんそれ……」
「お母さんが来るまで迂闊に動けない……どうしよ」
「逃げる? 」
「うん、そうしよ──」
私のことをボスと聞いて驚く人間と、困り果てたシルディ。
シルディの目の前に誰かがおりてきた。間違いなくリィデだ。
「シルディ、逃げたらダメよ」
「お、お母さん……何でここに? 」
「予定がね……。ティルノドア族の長が見当たらないからもしかしたら、って言われたから」
「黒髪なのにピンク色の髪のシルディの……」
「私は元々ピンク色よ? でもね、目立つと悪いから。──というか、あなたがシルディのパートナー? へえ、いい子選んだわね」
リィデがビル街に向かう。私は待っておくことにした。
「シルディ、行くわよ」
「あ、うん。凛子、行こう」
3人はやってくるなり、ぎょっとした。ふふっ。
「あら、お久しぶりねえ、リィデ」
「──今度こそ、あなたを逃がさない」
「は? また失いたいわけ? あの時は格別だったわねえ」
「っ──」
「さっきも人間の不幸を食べたのだけれど、すごく美味しかったわよ」
舌なめずりをする。人間が怯えているわ。
「中河原市崩壊はただの余興にすぎないわ。私の部下はあちこちにいるから──」
「そんな」
リィデは私の目の前で座り込んだ。私はそんなリィデを見た後、去った。
アルロイド家の屋敷。スフィアは紅茶を飲んでいた。
「暇そうね」
「……ソフィアお姉様が戻ってこないからよ。それにしてもお久しぶり」
「たまには休憩したいのよ、私」
「愚痴なら聞くよ」
私はソフィアについての愚痴を喋った。幼なじみはうん、うん、とうなずきながら聞いてくれた。
「相変わらずだね。楽園の扉を久しぶりに閉めるなんて。──はい、紅茶」
「本当に困ったわ。──ありがとう」
「今は善良軍団片づけてこの歪みを戻してよ」
「分かってるわ。リハイデ様に任せるから。あと頼れる部下に行かせるわ。リィデは私が捕らえるけど」
「……まあ、止めはしないけど」
スフィアはにこりと笑った。




