第二十三話 再会
私と再会したハナは前より強くなっていた。雰囲気から周りを圧倒させる──前の彼女には不可能なことだった。やはり幼き頃から長という立場にいたことが原因だろう。
そんな“わがままお姫様”も成長し、亡き前の長の通称である“血色の長”が似合うようになっていた。私は感心した。
「あなたを壊したことを、ずっと悔やんできたわ。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「そんな、泣かれるほどでは」
「……こうでもしないとおさまらないわ」
「会えたのは嬉しいです。あの、その──」
「善良軍団の勢力図から作戦をたてるぐらいはつきあってちょうだい」
「分かりました」
勢力図が広げられる。中々の人数だ。これではいつになったら平和になるやら。
「まず、善良軍団のリーダーがひいきにしているリィデ。彼女をどうにかすればホイホイとハマるのじゃないかしら」
「いや。善良軍団のリーダーに近い者を殺すべきです」
「そう。でも、彼らはよく分からないのよ。さすがと言いたいわ」
「ああ、彼らなら──。あなたのお父さんがよく話していました。確かあの屋敷に資料があったはずです」
「……父の資料なら、確かもうないわ」
「──ない? 」
悲しそうな顔をするハナ。ああ、そうか。彼女はあまり知らないのか──。
私は側に置いていたケースから本を取り出す。彼女の父がくれた唯一の本。
「それは、何? 」
「昔の悪魔界隈の勢力図が載っています。この中で死亡者と裏切り者、今も従う者に分けましょう」
「──驚いたわ。リィデも昔は父の近くにいたのね」
「ええ。一時は愛人疑惑まで出ました。しかし、ある日彼女は変わってしまったんです」
「……よく知ってるわね。さすがスフィアのお姉さん、かしら? 」
「私も長のお父様は知ってますから。リィデはどうやら人間に“憧れていた”そうです」
「はあ、よくわからないわ。リィデは敵なのよね」
「まあ、あなたの父を殺したようなものですし」
「っ……!!! 」
ハナの目が赤くなる。リィデを殺したい気持ちが衝動的に表れたのだろう。
前の長、ティクトペアはハナが幼い頃に亡くなった。そのため、ハナはまだ周りをあまり理解できない内から長になった。それは結果として今起きている悪魔同士の歪みを生み出した。
「このパトスこそがリィデと共に最初に我々を裏切った善良軍団のリーダーです。彼は、ティクトペアが亡くなり、ハナに固執しようとしたリィデをそそのかしました。リィデは元から人間に憧れていたこともあり、パトスの話にはすぐのりました」
「そうなのねこの男が……」
「ちなみにリィデの夫ですので、シルディという娘に最強の遺伝子がいってる可能性も」
「使いこなせないのなら意味がないわ」
そしてその後はただひたすらに線を引いていった。私もこれ以上深い話はできない。してしまえば、目の前のハナを悲しませることになる。
「さあ、これで完璧だわ。ありがとう、ソフィア」
「それでは、また」
「どういうこと? ソフ──」
私は強制的に楽園のカゴの扉を閉めた。これ以上、ハナには危険な目にあってほしくはない。私に近づくと必ず危ない目にあう。
「ごめんなさい、ハナ。私にもわがままを言わせてください」




