第二十話 暴走
今日はリーナ曰く、ティルノドア族の長ことハナ様など色んな人が集まる日らしい。私が表に出るなんて随分久しぶりだ。
『いいか、絶対ミーナの声でしゃべるなよ』
「《分かってるよ》」
『だからやめろ、そんな可愛らしい声だとおかしい』
「はあ、どうしてまた前みたいにやるの? 私たちはシーナがいないと暴走することもあるんだよ、分かってるんでしょ」
『シーナに新たな体をやるためだ』
「……分かった」
続々と集まる。リサテアも久々に悪魔の国に帰ってこれて安心している。
ハイデベル様が現れ、皆が席に着く。私は補佐をするためハイデベル様の側に座る。
「お久しぶりじゃな。前に集まったのは──宮島家の処分会議じゃったかのう、シーナ」
「あ、はい。そのとおりです、ハイデベル様」
「今、善良軍団に対抗して人間たちを恐怖に陥れることを考えておる。何かアイデアはないか? 」
「いいアイデア、まとめてきましたよ」
シューグル族の長・ナトリが立ち上がる。彼女は爆弾好きだから突拍子もないことを考えていそう。
「爆発です! 」
「それは今もやっておる」
「そうではなく、中河原市まるこど崩壊させるのです! 」
「つまりナトリ様、中河原市に残っているお年寄りなどの人々を殺したいと」
「ええ、もちろん! シーナも得すると思うよ。だって、そういうのが起きれば人々は色んな感情を抱くから」
「たしかに、納得です」
恐怖を食べるシューグル族の長はわざわざ私の目の前に来て目を輝かせている。本当に子供っぽい人。
突然中にいるリーナに呼ばれた。少し体を放置し、中のリーナの元に行く。
『ミーナ、会議はあとどれくらいだ』
《分からないよ》
『私も限界だ。なるべく早くしてくれ』
《了解》
シーナを長らく眠らせることは出来ない。彼女をあまり長らく寝させると、どうなるかは分からない。
「──他にアイデアはないかのう、それなら解散じゃ」
「はい」
良かった、安心した、と思い私はシーナに交代する。そして急いでハイデベル様の館から出る。
「ちょ、どうなってるの? 今何日? 」
『すまない、少し野暮用で借りていた』
《本当にごめんなさい》
シーナの様子がおかしかった。これは、マズい!
『逃げるぞ』
《ちょ、どこに? 》
『いいから』
シーナの体(私のだけど)からぬけ、リーナに連れて行かれる。そこは──chainのある楽園だった。
後ろを振り向くと、暴走しているシーナが見えた。本当にどうしよう。
『私はかつてここの門番をしていた。ある人の護衛をやめてまで。ほら、あれが私の体だ』
綺麗な水色の髪の女性が目を閉じ、横たわっていた。周りには花が添えられており、定期的に誰かが来ていたことがうかがえる。
──この花は完璧にあの人の好み。なるほどね。リーナの正体は、あの人の護衛担当か。
「ふう、久しぶりに自分の体に入ったが、どう説明するべきか」
《──ハナ様がもうすぐここに来られるんでしょ》
「……ふん。さすがだ」
《ふふっ、さあ行こう》
楽園には私達の使い魔を置いておくことにした。
さあ、止めるわよ!




