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chain  作者: 神崎美柚
ハジマリ
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第二話 犯人の正体

 目をぱちくりさせるシルディさん。まあ、普通なら怖がるところだろう。でも、私は目を輝かせている。


「こわくない? 」

「うん。悪魔は好きだよ、憧れていた」

「……そっか、よかった。じゃあ、私があなたのパートナーになってもいいんだね」

「うん。いいよ。凛子って呼んで」

「私のこともシルディって呼んで構わないからね、凛子」


 すると、屋上の扉が開いた。宮島香奈──いつも無表情な彼女が何かを持ってやってきた。目は虚ろだった。


「宮島さん、まさかそれ──」

「そうよ、これはあの悪魔の描いた絵。こんなの破いてしまおうかしら」

「凛子、この子、悪魔のパートナーがいるよ」

「え、宮島さんが!? 」


 宮島さんがこんな感じなのは昔からだ。委員長曰く、宮島さんと同じ中学校だった人は皆一様に根暗で感情がない悪魔とか言っていたらしい。

 そんな彼女に悪魔が──元から悪魔みたいな彼女に悪魔が近づいても誰も分からない。


「その声はシルディかな」

「誰、なの。私来たばかりで」

「私の名前なら明かさないわ。まあせいぜい頑張りなさい」


 キャハハッと笑い声をあげる少女も現れた。長い銀髪に綺麗な翡翠色の目。飛んでいる……!?


「お母様の言いつけ通りあなたを──殺す」

「え、ちょ、」


 襲いかかってきた宮島さんを避けようとするも、まともにお腹に拳をくらう。片手がふさがっていながらもすごい技だ。

 倒れた私の代わりに、シルディさんは宮島さんに対峙した。しかし、その足は震えている。


「帰りましょう。お母様からあいつを捕らえたと報告が来たわ」

「分かったわ。じゃあね」


 屋上から消えた二人。飛び降りたの?


「はあ~、怖かった……」

「ね、ねえ、シルディさん。どういうことか説明してくれる? 」

「えとね……私、両親にchainを断ち切るよう言われてやってきたの。あの人たちはそれを邪魔したいの。chainが断ち切られたら困る悪魔もいるから」 

「chain? 」

「悪魔の宝玉という私の家のお宝がchainで縛られていて、それを取り戻したら元に戻れるの。もう一度、飛べるの」

「……それを邪魔すれば」

「ええ、私たちの一族は飛べない。それは困ることなの。あまり細かいことは言えないけどね」


 シルディさんは美術部に寄ってから帰ることに。私は美術部に寄らずに帰ることにした。なにせ、もう5時30分だ。夕食の手配をしないと飢えてしまう。

 色んな事は明日に回して、今日は近くのレストランで食事をとることにした。いつもならあまり外食はしないが、姉が大金をくれたこともあり、私は外食がしたかった。楽しそうな親子を横目に一人で席に着く。


──真田舞莉、どうなるのかしらねえ

──本当、本当。どちらもイケメンだから絶対迷うわよぉ

──あはは、私ならお金持ちの方選ぶわよぉ


 近くの席のおばさんたちの会話が聞こえてきた。名字が同じなのは偶然ではない。

 真田舞莉──私の姉だ。こちらにいる時からファッション雑誌のモデルとして活躍していた。

 だが、イケメン俳優とイケメンモデルが姉を取り合って喧嘩をし、ケガをしたという報道で姉は変わってしまった。私に迷惑をかけないように、と上京してしまったのだ。

 あれからもう1年は経つが、姉はテレビにも普通に出演し、稼いだお金を私に仕送りしている。ちなみに姉は二人に対してまだ答えを出していない。

 とりあえずステーキセットを頼み、待っていると委員長がやってきた。ああ、マズい。


「あれ、どうしたの? 」

「い、委員長こそ」

「私は──勉強をしたくてここに来たの。それに、親が今日は学会と夜勤だから」

「大変だね、医者の家」

「もう慣れっこよ。あなたの家よりましだから」

「そうだけどさ」


 はあ、とため息をつく。委員長は私なんて気にせずに目の前の席、つまり同じテーブルに向かい合って座った。

 委員長の家は職場結婚、それも医者同士のなんとも羨ましい結婚をしている。だが、母親は育児休暇をほとんどとらず、『医者のプライド』を優先させた。私は委員長の家のお手伝いさんからこれを何度も聞いている。

 委員長は大好きなピザとポテトを頼み、さっそく勉強を始めた。委員長が唯一苦手な国語だ。


「凛子、ここ分からないんだけど」

「あ、ここはね」


 しばらく教えているとステーキセットがやってきた。ピザとポテトもきた。二人で食べていると、委員長は何かを取り出した。


「それ、何? 」

「お母さんが進学校に行くべきだとすすめてくるの。最悪よ、せっかく説得したのに1年でダメになるんだから」

「そんな、みっちゃんが……」

「申し訳ないけど、途中から進学校に行くことになりそう。今手続きしてるみたいだし」

「そっか……」


 委員長の母親は一人娘に病院を継がせる気満々らしく、進学校に行かせる気だった。つまり、病院近くの進学校にいれて医者にさせる気だった。でもみっちゃんが委員長と共に説得した──と聞いたのだが。


「また作戦をたてましょ。そもそも兄か弟がいないのが悪いんだから」

「そうだね」


 真面目な委員長はどうして病院を継ぐ気はないのか──聞きたくても聞けなかった。

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