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chain  作者: 神崎美柚
カゴ ノ ナカ ノ 鳥
19/143

第十九話 救出

 シーナは好奇心旺盛だ。私はそれをとてもいいことだと思っているが、余計なことを考え過ぎなのだ。

 あれから私は様子見を続けた。シーナはミーナに任せ、私はいつ救出すべきかを見守った。


『「おや、あれは」』


 私は桜高校の屋上──非常に眺めがよい──に立っているとドア越しにシルディがやってくるのが見えた。気配丸出しとは悪魔失格だな。


「こわくない? 」

「うん。悪魔は好きだよ、憧れていた」

「……そっか、よかった。じゃあ、私があなたのパートナーになってもいいんだね」

「うん。いいよ。凛子って呼んで」

「私のこともシルディって呼んで構わないからね、凛子」


 つまらない友情劇。ふん、くだらない。

 そこに宮島香奈の偽物、もとい使い魔と気配を消している(私にはバレバレ)パートナーが現れた。このパートナーは確かハイデベル様の元を離脱したバカだな。名前は忘れた。


「宮島さん、まさかそれ──」

「そうよ、これはあの悪魔の描いた絵。こんなの破いてしまおうかしら」

「凛子、この子、悪魔のパートナーがいるよ」

「え、宮島さんが!? 」

「その声はシルディかな」

「誰、なの。私来たばかりで」

「私の名前なら明かさないわ。まあせいぜい頑張りなさい」

「お母様の言いつけ通りあなたを──殺す」

「え、ちょ」

「帰りましょう。お母様からあいつを捕らえたと報告が来たわ」

「分かったわ。じゃあね」


 私はこれから救出しようと考えた。そろそろ救出する頃合いだろう。使い魔達に報告した、ということはマズいかもしれない。

 中河原市の宮島家。私は侵入し、解放を試みる。


「『さあ、早く』」

「……ハイデベル様の仲間かしら。ありがとう」

「『詳しい説明をいたしますので、こちらに』」


 やはり騎士としての本能がはたらく。彼女をいわゆるお姫様抱っこで抱え、大急ぎで地下からでる。


「あなたって多重人格なの? 」

「『……よくご存じで』」


 私ならどうにかできる──そう口が動いた気がしたが、その前にハイデベル様の元にたどり着いた。シーナが人間だったころ働いていた(誘拐事件とか起こし始めてからはもっぱらミーナだったが)会社があった廃ビル。ハイデベル様は長であるハナと共にいた。


「あら、スフィア。無事なのね」

「はい、無事ですよ。ハナ様」

「わらわも心配じゃった」

「ハイデベル様、お気遣いありがとうございます」

「この後はどうしましょうか」

「──そうね、宮島家を追いつめましょ。中河原市をドカーン! とか。まあその前に全員集まる必要があるけど」

「リサテアとか? 」

「そうよ。フフッ、明日集合しましょう」


 私はわざわざ声を変えた。ハナにはバレたら困る。私がこのシーナの中にいることが、知れたら──。

 廃ビルから離れ、スフィアの家がある橋乃元の郊外へ。スフィアは屋敷にいれてくれた。


「どうせ外で暮らしてるんでしょう、」


 そして私の本当の名を彼女は言った。私は──。


「──ソフィア」

「『なぜ、分かった』」

「ハナ様の前で声と態度を変えていたからよ。私は忘れていないから」


 観念して、私はシーナの姿からソフィアである私の姿になる。目の前のスフィアと同じ水色の髪。

 そう、私は──スフィアの姉でハナの護衛担当だった。なのに、あれ以来私はシーナの元に引きこもっている。


「ハナ様、寂しがってるわよ。私の頼れる騎士がいなくなった、って」

『それであんなに変わったのか』

「──まあ、それよりあなたは戻りたくないわけ? 」


 いつものあの紅茶を貰う。懐かしいソファに座る。


『chainをほどこうとするバカがいる限り無理』

「あー、善良軍団? まあどうにかなるわよ」

『……明日の集合にはシーナではなくミーナを行かせる。シーナには眠っていてもらう。それと、お前にこれが解決できるのか? シーナの体はもう消滅したんだぞ』

「もちろん、よりしろが必要になるけど、善良軍団の誰かを殺してシーナをいれたらいいのよ」

『なるほどな 』

「それじゃあ、また明日」


 スフィアにはツライ想いをさせるが、私は──最後まで貫き通す。

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