11 行方不明の爆弾娘
別館でスフィアとハナは折り紙を折っていた。スフィアが人間たちのとこから持ち帰ってきた物の一つだ。
「スフィア」
「あ、もう終わったの? 」
「ああ」
ナイフさばきにとある奴が思い当たったが、奴──鎖は自殺した。だから、そんなことはありえない。
勝手な推測はあげるべきではない。それに、まだ生きているなんてモーキュネストのシスターたちになんと言えばよいのか。だからこの考えはもうよそう。
「私はこれから、この包帯を変えにモーキュネストまで行く。その間、頼んだからな」
「分かった」
「いってらっしゃい」
この特殊な包帯を自分で外そうとすると、激痛がある。どうやらシスターでないとダメらしい。
モーキュネストに着くと、出迎えてくれたのはレンゲだった。どういうことだろうか。
「スミレはどうした? 」
「さっき起きたみたい。でも、私がここのリーダー。スミレは特にヒドいから」
「……そうか。リンに会いに来た」
「リンなら部屋にいるわ」
部屋に行くと、扉は開いていた。中を見るとリンは疲れているのか、寝ていた。ノックをしてみると飛び上がった。
「うわあ、どうしたの」
「包帯」
「……ああ。そっか。無理に繋いだから頻繁に来てね。あの方がいればよかったけどもういないし」
「ほう。リンの師匠か」
「うん。尊敬している」
包帯を彼女はするすると外す。新しい包帯を巻き付けてくる。
「私は未熟だから、あの方みたいには完璧じゃない。無理はしないでよ」
「分かった」
帰り着いたら、私はまず行方不明のナトリについて考えよう。ハナへの対策は少しずつ、だ。
館の入り口でロドノスと遭遇した。睨んできたので、お返しに踏んでやった。(私のブーツは戦前の騎士の物でかなり重い)
とりあえず、相談相手として選んだのはナトリの元側近・ユグレイハム(自動的に解雇されたため、今はロドノスの下にいるらしい。)。
「ナトリか……本当にどこに行ったんだ? ユグレイハム、心当たりは? 」
「特にありません。ソフィア様の方がお詳しいのでは」
「……私はイリス達と戦う前に離れた。私がこの辺爆発しまくる、と意気込んでいた」
「そうですか。いつもどおりの長様ですね。行方不明になる意味がないと思われます」
「そうなのか……」
「ただ、中河原市近辺にいないのは確実です。私のような側近は気配も感じることができるのですが、西は中河原市までが限界です。東もその近くしか」
「……」
ユグレイハムを連れ、中河原市に行くことにした。そこには赤穂がいるはずだ。
屋敷のドアをノックする。
「赤穂」
「赤穂はいないわよ」
後ろから現れたのは稲美。手には瓦礫。片づけていたのだろう。
「お前一人で片づけていたのか? 町一つボロボロになれば、人間でも数十年はかかるというのに」
「ん、分かってるって。『鎖』について調べるって張り切っている姉を止める訳ないでしょー」
「それは止めろ! 」
鎖についてだと? なぜ、今更……。
「あの、長様はご存じでしょうか」
「え? 」
「ナトリ様のことです」
「私も瓦礫片づけているけど、見つからない。いや、生きているかもしれないけど」
「……」
ユグレイハムは落胆したのか、中に入らずに去ろうとした。私は彼女を引き留める。
「つまり、この屋敷の地下に赤穂がいるんだな」
「そういうこと~。ご勝手に」
私達は赤穂の元に行くことにした。




