第百十三話 シスター、集合!
「わあ、これってあの、」
「高級、ですよね!? 」
「──え? オコノミヤキって高級なの? 」
「いただいちゃいましょう」
オコノミヤキ(? )に飛びつく謎の人々。ふと、一人が手を止めて座ったイスから立ち上がる。
「申し遅れました。私は曙です。こっちの無駄に長い髪の毛が山茶花。その隣が桔梗です」
「堅苦しいなあ、もうっ」
「ふぉんとに(本当に)」
「──あ、まさかスミレさん達の」
「知り合いでしたか。鎖が解き放たれたと察知したので。山茶花は空気の読みとりとかできるんですよ」
「てへへ」
美味しそうに頬張り続ける桔梗さんは次々と平らげていく。どうなっているの、胃袋……。
「ごちそうさま」
「あーっ! 」
「大丈夫、きちんと分けたから。それよりも、動くべきだよ」
「あ、うん……。空気が悪いから、早くモルトレアに行かないとね」
オコノミヤキのようなものを食べ終えるなり、いなくなってしまった。
────
急いで駆けつけるなり、菫が倒れていた。しかも、力を解き放ったまま。何をしていたのよ……。
「……って四奈も」
「スミレ様、今すぐ包帯巻き直しますので」
「ちょ、あなた達」
「曙、どういうこと」
「楽園の管理者はこの市内にいます。なんとか捜さないと危険ですよ! 」
「……本当? 」
私は目をつぶり、空気を読みとる。──かなり濁っている。赤穂は大丈夫か分からない。
「──転換、できそう? 」
「無理よ、キキョウ。四奈も無理なのだから」
「それなら、私はスミレ様とキクの側で待っているから」
「そうね。そうしてくれると助かるわ」
「そういえばユイはどうした」
「ユイなら、くたくただからモーキュネストに置いてきたわ」
ユイは何があったのか分からないけど、ぐったりとしていた。話さえ聞けない。
「さあ、行きましょう」
────
赤穂さんが戻ってきた。息がきれており、どうしたのだろうか。
「──あの古代神の生き残りが……なぜ……」
「赤穂さん、町の人は……」
「屋内にいれば大丈夫だけど、外は危ないわ。幻想で本物を覆っているの。だから、外出禁止令にしておいたから」
意味が分からない。リサテアはああ、とうなずいている。
「──『宝石のように輝いていた我ら古代神 岩石のように固い奴らのせいで崩壊した
リゼリッテアよ 悲願を遂げたまえ
我ら古代神の憎しみの全てを 世界へ』」
「リサテア、凄いわね。リゼリッテアに捧ぐ詩の一部を暗記しているだなんて」
「リゼリッテアの名前の意味は人形。世界の全ての人を人形にしてしまうのが彼らの異常な目的。リゼリッテアは、悪魔の中では……」
「ドルッセオ。彼女が鎖と協力して中河原市を手に入れようとしているわけよ」
世界の全ての人を人形に。そんなおぞましい計画を……。
「凛子、これからは覚悟して聞いてちょうだい。吐き気したらいつでも言って」
「……はい」
「ドルッセオは、自分の仲間が残した手紙を理解して人形にする方法は理解しているわ。──血を抜いて、脳を潰す。とても簡単な方法なのだと」
「……」
「赤穂、私はよく知らないのだけど今の世界では何が起こっているの? 」
「まさしくその状態の死体がゴロゴロ転がっている殺人事件。この間なんて、小学校ひとつ潰されたわ」
「死ぬの? それじゃあ、人形には」
「最近、噂で被害者が夜な夜な歩きまわっているとか」
「──」
吐き気がしてきた。私が最近、現実逃避がひどかったのはこのせいだろう。
「きっと、彼女は偽名で潜り込んでいるだろうからあぶりださないとね」
赤穂さんは笑顔で言った。




