第百十一話 二人の赤穂
赤穂は二人いる。真面目でストレートティーが好きな赤穂と不真面目でミルクティーが好きな変人赤穂。──いわゆる二重人格らしい。
ストレートティーを飲む赤穂は、先程の変人から真面目に戻ったらしい。
「──ふざけてすまないわね。もう少し、質問を聞くわ」
「はい。あのう、出来ることはないでしょうか」
「そうねえ、モルトレアの周辺は危険だから人を避難させるとして……あなたはここで情報連絡係をしなさい」
「私みたいな人間はそのモルトレアに行くのは無理ですか? 」
「原子炉に突っ込むぐらい危ないからやめた方がいいわよ」
「……はい」
「それじゃあ、いいかしら。ハイデベル、任せたわよ」
赤穂は立ち去った。どうやら周辺の人を避難させる気らしい。
「もうこんな時間か……」
「0時ね。休憩したとき、既に15時過ぎていたからね……」
「何か食べるもの、ないかな」
「私が用意してあげる」
「……リサテア、大丈夫なの? 」
「ハイデベル、心配しないで。私ね、料理は得意なの」
とりあえず、納得させるために料理を作ることにした。
────
私は待っている間、この沢田家について知りたかった。宮島家はこんなにすごい屋敷をどうやって薄暗くて不気味な屋敷にしたのだろうか。
「……赤穂について知りたいのなら、教えるけど」
「いいんですか? 」
「沢田家はそもそも、この地でとある任務をするべく明治時代に華族となったのよ。でも、それが間違いの始まりだったわけ。最初は他人に無関心だった稲美も明るくなって他人と接するようになると恋もしたの。──過ちを繰り返した挙げ句、1973年にあなたの母親を生むことになるの。今女優らしいけど、過去について聞いたことない? 」
「いえ……」
「デビューした1989年当初から色々と噂はあるみたい。──彼女は母親に見捨てられた、とか。まあ、生まれたときは兄の明石は少し離れていたけど、赤穂は側にいたから怒ったらしいのよね。育てられないって」
「……」
「赤穂は幸せになった稲美を見て、明石より幸せになれたのだからいいか、と思って側にいることしかしなかった。でも、稲美はすぐにいなくなった」
「それで、捜したんですか? 」
「稲美が逃げられないように、と自分の中に取り込んだ。変人みたいな明るい赤穂が稲美なのよ。あなたの祖母だと悟られないように、名前は伏せたみたいだけど」
「……確かに嬉しそうでした」
にこりと微笑むと、ハイデベルはいなくなった。どうして、リサテアの前ではほとんど黙っていたのだろうか。
「料理、出来たわよ」
「……!? 」
見た目からしておかしい料理が出てきた。これは、なんだろうか。
「朱美は料理が出来ないから、料理が得意な飯島夏帆に習ったの。オコノミヤキを 」
「……こ、これが? 」
「おかしい? 」
「……」
一体、これは何で作られているのだろう。こんなの、食べれない。
断ろうとしたとき、何人かの女性がやってきた。だ、誰?
「赤穂はどこ? 」




