第百八話 能力
私達は休憩することになり、リサテアによる質問は私が対応することとなった。本当に純粋な悪魔からの質問だなんて久しぶりかな。
「どうしてモーキュネストに? 」
「私達、神の血も混じってるけど能力のせいで異端扱いされているわけ。だから、モーキュネストで罪人の管理をしていたのよ」
「なるほど」
「ただね、厄介なのが鎖。彼女は私達のように罪人を管理することに適していなかった。罪人が逃げ出せば髪で捕まえるし、乱暴で殺すことに対して何とも思ってなくてさ。怒った菫姉さんが記憶を消して、神様たちが住む鳥籠の森に放したの」
「私もやりすぎたと反省したけれど、遅かった。知り合いの神に尋ねたら古代神をたくさん捕まえてくれてるって喜んでいたわ。馬鹿馬鹿しくて放置したら、神様の一人を殺したわ。さすがに連れ戻したかったけれど、ダメだったわ」
「へえ、なるほど」
リサテアは私達の話に驚いている。まあ、仕方ないが。
「ところで、鎖を見つけてからの対策は考えたのか。私やユーリが悪いかもしれないが、協力してくれ」
「──私が最大限のパワーを出すわ」
「いやいや、菫姉さん、それは」
「いくら能力に優れていても、四奈の二の舞になるだけでは? 」
「──いいのよ。私が悪いみたいなものだから。犠牲は覚悟してる」
菫姉さんは本来ならシスターの中でも最強とされた四奈以上の能力を持つ。しかし暴走すると危険なため、服の下に特殊な包帯を体中巻き付け、押さえ込んでいる。
菫姉さんは死ぬ気なのだ。四奈は私は死ぬべきだと言って包帯をつけなかった。そして、死んでしまっている。
「……うわあ」
「本気、なんだね」
「当たり前でしょ、菊。私達の姉さんなんだから」
「……そうだね」
羽織っていたコートを脱ぎ捨て、包帯も取り、最強の能力保有者・スミレ様となる。髪色も淡い紫から濃い紫に。
「さあ、行くわよ」
スミレ様はにこりと微笑んだ。
鎖は桜高校の屋上にいた。スミレ様が来ると、笑い出した。
「ああ、つい笑っちゃった。そんなことしても勝てるわけない。分かってるはずだろう」
「……」
スミレ様は後ろで見守る私達の心配をよそに、攻撃を繰り広げる。
「──シャウラ! 」
「……ふっ」
「……ち、」
しかし、中々当たらない。どうして、当たらないの。
スミレ様の能力は能力保有者なら誰もが憧れる、断罪の能力の保有者。悪を裁くという凄い能力。
「私は決して悪などではない。そこを考えろ」
「……」
「さて、そろそろ行くとするか」
鎖は屋上を飛び降り、消えた。スミレ様はぐったりしている。
「──ダメだわ、鎖、強くなっている」
「追い出したときよりも? 」
「そうよ。蓮華は……気付かなかったの? 」
「……気付いていたけれど、嘘つきを信じることなんて出来ない。でも教えなかったのも悪かったわね」
「ふふ、そうよね」
「スミレ様、新しい包帯を」
「いらないわ。私はこのままでいい」
限界なのは私にも蓮華姉さんにも分かっていた。ソフィアはため息をついた。
「私は凛子を守らなければならないから何かあれば、リサテアに言え」
「……分かってる」
強がりなスミレ様。私はあることを思いつき、発言しようとしたが、なぜか蓮華姉さんに遮られた。
「スミレ様、他の人を呼ぶべきでは」
「……それはダメ。特に山茶花とかは」
「……そうですか」
「鎖は中河原市にいるかもしれないな」
「……え、どうして」
「先ほど、中河原市に向かって飛んでいた。困ったな……」
「宮島家の屋敷、でしょう? それがあるって聞いたことあるわよ」
「……」
「……それは、何だ」
有り得ない。私より、この辺に詳しい凛子まで首を傾げている。
「──まあ、ともかく行くとしよう」
何が起きたのだろうか。どうして、宮島家の屋敷について誰も話さないのだろうか。




