第百五話 狂気
「──chain、いや鎖。私の捕縛は不十分だったらしいな」
『当たり前。あなたに私を封印することなんて無理』
「魂だけでよく別の悪魔に力与えたな」
『私のこと、何も分かっていない。バカだわ』
「はっ、何を言う」
『私の口調とか性格を、あなたの元の口調とか性格と交換したのもバカなこと。その内飲み込まれるわ』
「……抗えばいいことだろう」
鎖は笑いながら、消えた。私はユーリが封印した鎖の口調、性格がまさしく男らしいものだと感じ、交換した。目つきも大人っぽくなり、これは素晴らしいと感じたものだ。
「しかし、イリスをどうすればいいものか……」
悩むだけではダメだ。もう少し鎖と話してみないとな。
『イリス? 世界の救済を願う女のどこが狂っているというの? 』
「……お前に聞いたのが間違いだったのか」
私は立ち上がり、楽園から出ようとした。
『出させない。シルディという子、使えたの』
鎖は魂だけのはずなのに、透明な鎖を放ってきた。──彼女の体はユーリが持っているのにな。
「なっ……」
『どんなに逃げたって、無駄。それは返してもらう』
何かが浸食していく。ああ、自然とユーリの方へと向かう……。
モーキュネストへたどり着く頃には、鎖が私を操っていた。私にはもう、……。
「ソフィア、大丈夫なの? 」
ユーリの体にたどり着くなり、元の持ち主である鎖が飛び込む。ユーリは、こちらの世界での体を失った。
「う……解放されたけれど、元に戻ったじゃないの……」
「え、ソフィア……? そしてこれは一体」
「うん、これはやっぱり落ち着く。能力もそのまま」
「え」
シスターとリサテアがびっくりしている。そりゃそうだ。
「私は鎖。とりあえず鎌を……」
「ひいっ」
「えと、ソフィアはどうしてそんな幼く」
「私は本当はこんな体なの、ああっ、やり直しだわ……」
「私はイリスに加勢する。邪魔をするな」
私は15歳の時の体に戻った。これでは修業のやり直しだ。
シスタースミレに紅茶を出してもらい、飲んで落ち着く。とりあえず説明しなければ。
「彼女は誰? 」
「鎖。ユーリが封じ、私が管理していたの。──髪の毛は鎖のように伸びるわけよ」
「単純な名前……」
「怒られるわよ、彼女は私たちの仲間なのだから」
「えっ」
「異端者として私達と仲間割れしたの。まあ、彼女は生きていないけれどね」
「……」
「早く動かないと殺人事件が始まる。急ごう」
「……分かった」
15歳の体は動きづらい。どうしよう。




