第百一話 紫と黒の衝突
────
シスタースミレ様
本当に小娘はあの沢田明石の関係者なのでしょうか。明石家とわざと間違えたのに反応はありませんでした。
両親との関係が最悪なのは承知の上です。それでも沢田明石について少しは記憶があるはずです。明日、話し合いでもしましょう。
シスターユイ
────
私は未熟すぎるユイの行動の愚かさに呆れていた。かなり遠い関係者なのだから知らなくても当たり前だと私はきちんと忠告したはず。なのにこんな馬鹿げた手紙を昨日送ってきた。本当に未熟だわ。
「おや、紅茶の用意ですか」
「シスターユイが話し合いに来るのですよ」
守護神・シーナの娘、ソフィアは昨日からリサテアと共に宿泊している。リサテアは疲れ果てたのか眠っている。
「未熟だから行動させるべきじゃなかった」
「リン! いつ来るのか分からないのだから」
「リンの言うとおりです。私は最初から反対でした」
「マリアまで……」
ユイは医療に精通しており、潜り込みやすかった。それだけのことで私は行かせてしまった。
「さっきから私の悪口がよく聞こえるけど」
「……ユイ」
「どういうこと、沢田明石と関係なんてないじゃないの! 」
「あるわよ、あの子と親戚はほぼ絶縁していると知らないの? 教えたわよ」
「じゃあどうしろって言うのよ! 」
「……ユイさん、真田凛子についてはリサテアに聞いてみなさい」
「……あら、誰かしら」
「私に敬語なんて必要はないが、一応言うとシーナの娘だ」
「……そう」
そのとき、リサテアが現れた。ナイスだ。
「……」
「単刀直入に聞くわっ! 沢田明石と真田凛子の関係性はっ!? 」
「沢田稲美の孫娘」
「……イナミ? 」
「沢田明石の妹。人間となって兄を忘れ、普通に死んだ女のこと」
「でも、真田凛子は──」
「稲美は孫娘のことなんて知らないまま老衰したから知らなくて当然」
「そう。でも、稲美は行方不明だとそこのシスターから聞いたけど」
「……稲美は人間としての幸せを手に入れた。それでも彼女は本当に幸せなのか分からず、行方をくらました。──私の知り合い。同じ糸使いとして期待していた」
「……は? 」
「彼女なら会いたがらないでしょうね。真田凛子のことだけど、そう治るものでもない。彼女は人間なのよ。稲美が人間として残した子孫よ。純粋な人間は奇跡が起こらないと治らない」
リサテアは椅子に座り、シスターユイの紅茶を飲み干した。シスターユイはそれに関しては無視している。
「……あなたを楽園の管理者を追う仕事に任命します」
「意味が分からない、どうしてよ」
「役立たずなのに口出しはダメよ」
「……ッ」
「……シルディに会わせればいいかもしれないわ。見つけにくいけど、真田凛子にとっては素敵な思い出を共有している相手だから」
「……じゃあ、捜してみる。私の代わりはどうするのよ」
「私が行くわ。リンやマリアには役目があるし、私は夜にここに戻ればいい」
「……」
怒っている。シスターユイは怒っている。彼女は怒ったまま出て行った。
「あ、そうそう。聞きたいことがあるのよ。ユーリについてだけれど」




