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でもまてよ。
あいつと顔を合わせるのに俺に許可を得る必要なんてないのに、なんで水瀬はそんなことをきいてきたんだ?
ま・さ・か、あいつは俺が居場所を知っているだとか吹聴しているわけじゃあるまいな。
「え、それは何?あいつが俺に会わせて欲しいって言えって言ったってこと?」
水瀬のカナルに会わせて欲しい発言からはそうとしか伺えないのだが……本当にそういう事なのか?
だから先輩も俺に話しかけてきたってことでいいのか?
だとすると、あいつは俺に後片付けだけでなく、迷惑まで残したと。最悪だな。幼なじみを破棄したい。
「いや、カナルはそんなこと…言ってなかった、けど……カナルがどこに行ったか、久世、なら知って……るって思って」
「いや、幼なじみだからってそんなことまでは知らないけど」
それは反射的に答えてしまうほど、俺にとっては至極当たり前のことだった。というより、こいつ幼なじみを親友か何かと勘違いしてるんじゃないか?幼なじみってのは、そんなに相手の事把握できてるものではなかったはずだぞ?
だが、水瀬にとってそれは意外なことだったようで、いつも教室で過ごしている時は決して合うことのない彼の目が、その時ばかりは真っ直ぐ俺に向けられていた。なんとも新鮮な出来事だ。
俺も水瀬の驚いた表情や、その行動よりも先に、こいつに目がついていたのかということに関心が向いてしまっていたので、彼が驚いた事に口出しなどできるはずがない。
「で?何でお前はあんなやつに会いたいんだよ」
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