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第三話 『此処は何処だ!?』

 俺の意識はいつもの睡眠から目覚めるように簡単に引き戻ってきた。なんか忘れているような感じがする。ジグソーパズルのピースが微妙に噛み合わないような精神衛生上良くないと思えるようなしこりを残して。

「スール…ェ……ウェル……ヅ…」

 聞きなれない言葉が耳へと届き、俺の視界に光が満ちる。

 目の前には甲冑を着けた人間や、古臭い格好をした人間、ファンタジー映画の宮殿とまではいかないが、石造りの部屋。寝ぼけているんだろう、目を擦りさえすればすぐに目が覚めるさ。

 二度、三度と目を擦ってみたが目の前の状況は変わらない。何だこれは。あぁ、そうか夢なんだ良く出来た夢なんだ。我ながら見る夢の内容はすさまじいな、この夢は何のゲームか小説がネタ元だろうな。諏訪に借りたラノベか、最近放置していたのを思い出してやり始めたゲームの影響か?

 目の前の青い髪の甲冑を着た女の子がなにやらワケのわかんない言葉を喋っているな。だからこれは夢なんだって、夢だと解った俺が口を開けば君らは即消滅だぜ? もうちょい自分を大事にしようぜ。

「アルスナル・ヨス・アルバルッ!!」

 マジでワケわかんねーっつうの。日本語で喋れ、日本語で。俺は生憎英語の成績も良くないし、韓国語やその他外国語は喋られねーよ。唯一理解できるのが外来語だっけな、外国から入って来た言葉、それぐらいしかわからねえっての。

 ひんやりとした感触が俺の喉を刺激する。

「何をッ!?」

 俺は驚き、飛び跳ねようとしたがくらりと眩暈のような感覚に襲われその場を動くことが出来なかった。ひんやりとした嫌な感触がする首元から伸びる棒の様な物は青い髪の甲冑を着た女の子の手から伸びている。何となく予想できるが顎を突き出した状態で目だけ首元に向けられてる棒の先を見る。寄り目になっているのか、何となく視界から変な感じが伝わってくる。そんな視界で捕らえたものは誰がどう見てもこう応えるだろう。槍と……。

「アルスナル・ヨス・アルバル!」

 だから俺にはワケがわかんねーっつうの。何語? もうこんなイタイ夢見なくていいよ、俺ッ!

「アリシャ・ウルース・ヨルテト」

 少し離れた位置に居る緑髪の女の子が口を開く。青い髪の女の子は言葉に従い、俺の喉元に突きつけていた槍を退かした。

「ヨス・アルバル?」

 またこの意味不明な言葉かよ。だからワケわかんねーんだって。

 緑の髪の女の子は同じよし、はるばるとか何とか言いながら自分の胸を叩いて、その手を俺に向ける。

「ソウ・エリファシルム。ソウ・エリファシルム」

 そう、エリファシメル? そう、エリファシメル? 名前なのだろうか、雰囲気的にはそうとしか思えないんだけど。

「えりふぁ、しめる? え、えりふあしめる?」

 エリファシメルと言った女の子は表情を緩ませ、エリファシメル、エリファシメルと何度も自分の胸を叩く。どうやらエリファシメルさんと言う名前らしい。

 もしかして、これは自己紹介をしろという流れなのか。胸に手をやり、相手に向けて名前と思わしき単語を言う。そうなんだろうか?

「あ、あいあむ、そうすけ・さなだ?」

 何となく英語が口走ってしまったが、世界共通語だと思える英語なら大丈夫だろう!

「アイアウ・ソースケサ・ナダ?」

 伝わりませんでした。誰だ、英語は共通語なんて考えた奴は、責任者出て来いッ!

「ソウスケ・サナダ! ソウスケ・サナダ!」

 身振り手振りで必死に俺の名前をエリファシメルさんに言う。

「ソースケ・サナダ?」

 俺を指差し、首を傾げるエリファシメルさん。伝わったのか、伝わっただろうこれは!

「そう、真田槍助だよ、真田槍助!」

 なんかスッゴイ達成感がある。歴史で外国人が日本に入って来たときもこんな風だったんだろうか。もしそうだとすれば俺は時代を越えて喜びを共感しているぞ、凄いぞ俺の夢ッ!

「ソースケ・サナダ・ソルフ・エファリムリ」

 エリファシメルさんは部屋の中央、甲冑を着た女の子が取り囲んでいる光物体を指差し、手を開いて握り、自分の傍へと引き寄せるジェスチャーをする。

「それを、手を開いて握る…? 掴めということなのか?」

 俺は確認するようにその光る物体を指差して、エリファシメルさんと同じジェスチャーをすると、彼女は頷いた。

 しかし、いざその物体を手にしてみようと考えると腰が引ける。光り輝いていてそれが何なのかわかんないし、もしかしたら大掛かりなドッキリなのかも知れない。手を入れたらネズミ捕りが……そりゃないか。

 よっしゃ、男は度胸、女は愛嬌、いっちょ取ってみますか!

 意を決し、俺は光り輝く物体に右手を伸ばした。ネズミ捕りが設置されている事もなく、俺の手が硬くて棒のようなのを掴んだ。

『な…ち……が…ほ……い……?』

 頭の中に何か変な声が聞こえてきたような気がする。だが生憎俺の頭は其処までぶっ飛んで無いらしく、そろそろ目覚めてくれてもいい所だ。切にプリーズ。

『が…ほ……しい?』

 カキ氷を急いで食べた時に味合う頭痛のようなものを受け、頭の中に声が流れ込んできた。

「…ほ…し……い?」

 何をほしいって言うんだよ、会話の主語がないとわかんねーって。ズキリとまた頭痛のようなのが走る。待て待て待て、夢ってもんは痛いとか生命の危機に晒されたら嫌な汗を掻いて布団から飛び起きないか? 確認していなかったが、お約束である頬を抓るという行動をやってみるか。

 光り輝く物体を握っている右手は使えないから左手で左の頬を抓ってみる。

「いてぇッ!」

 頬にじんわりと指による圧迫感を感じる。痛い。これはまさか本気マジ

 落ち着いていた動悸が早くなる。マジでこれは現実なのか。ちょっと待て、誰か説明できる奴が居たら早々に出て来い。

 右手に握られている光る物体を眺めていると、ズキリと何度目かの頭痛が俺を襲う。

『今を変えられる力が欲しい?』

 そう、聞き取れた。

 今を変える力が欲しいって? あぁ、なんだやっぱり夢じゃねぇかよ。此処で了解すれば元通りって奴か。我ながら面倒臭い夢だな、起きてもし覚えていたら諏訪や仁科に話してやろう。

「あぁ、欲しい。力をくれ! 今を変えられる事のできる力を!」

 力の限り叫ぶと、頭痛の波が何度も俺を襲ってきた。ちょっと手荒だが、これで元に戻れるな、もうちょい色々とあった方が夢としては面白かったな。

 手に握られた光る物体の輝きが段々と無くなってゆく。光を吸収するように手に握られた物体に光が吸い込まれる。周囲の光を全て吸い込んだように思える物体の形は日本刀だった。

 本物を持ったことが無いので重さがわからないが、右手には鉄の一メートル程の長さに相当する重さが無い。空のペットボトルを握っているようなそんな感じがする。本当に中身があるのだろうかと少し鞘から刀身を抜いてみると、何でも一刀両断出来そうな刃が見えた。玩具にしては良く出来ているよな。

「私たちの言葉がわかりますか? ソースケ・サナダ」

 エリファシメルさんがつかつかと俺の元に歩み寄ってくる。

「あぁ、解る。えっとエリファシメルさん……」

 俺がエリファシメルさんの名前を口走ったときクスクスと彼女は口元を隠して笑った。

「えっと、シムルですね、そしてシムルというのは言うなどという意味です。エリファ・リューズが私の名前です、ソースケ・サナダ様」

「あ、悪い…俺の名前は苗字が真田、名前が槍助」

 そろそろマジで夢から覚めろって、俺のボディ!

「ミョウジ?」

 エリファは苗字という聞きなれない言葉に戸惑い、首を傾げる。

「苗字って言うのはえっと、なんて言ったら良いだろうか、家の名前って言うか、一族の名前みたいなものかな?」

 成る程っと手をぽんっと叩いて何とか理解してくれたようだ。

 そんなほのぼのとした会話を遮るように、一人の男が広間に転がり込んできた。

「伝令ッ! 街に敵の密偵と思わしき人物を発見、只今追跡しておりますが、敵は手強く苦戦している模様、このままでは逃げられる可能性も……」

 何の事だか。ミッテイ?

「敵を迎え撃つぞ!」

 青い髪の女の子は即座に槍を持ち直し、男から場所を聞き一目散に外へ駆け出した。それにつられるように黒い髪の女の子も駆け出した。

 今どうなってんの? 意味不明なんですけど。もう少し説明してくださいませんか? というかヤッパリこれ夢だろ。

「ソースケ様も来てくださいッ!」

 エリファは大きな弓のような物を背負い、駆け出した。

 おいおい、マジで何なんだよ、これは。

 俺もエリファの後を追うように外に飛び出した。

とりあえずこれはファンタジー戦記物です。

大本がハーレム系の話ですので登場人物比が大きく偏りそうです。そこら辺はどうかご勘弁を。

目を通していただいて有難う御座います!


登場人物まとめ。

真田槍助…主人公?

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