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技術系研究員 由比川のどかの日常  作者: 錬金術師まさ
コロンビヤード砲外伝
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第4話.コロンビヤード砲発射!!

 ニコラ・テスラの尽力により、ロケットの試験打ち上げが実現できました。

 そのために組み上げられたのが、システム試験用ロケット『あかり』。

 機体全長4.3m,重量40kgのそのロケットの最終チェックが終了したのが、試験飛行当日早朝4:00でした。

 死屍累々の作業現場を見ても、よく間に合ったものだと思います。


 打ち上げ予算を付けてもらおうと思ったのがよくありませんでした。

 予算執行のスケジュールに合わせるために、開発速度倍増というデスマーチをやらかす羽目になってしまいました。


 倒れそうです。


 このようにプロジェクトは破綻寸前でしたが、ロケットの出来には満足しています。

 最大の課題であった乗員にかかる加速度ですが、射出用コロンビヤード砲の砲身を従来の倍にすることで加速時間を稼ぎ、更に、ロケット本体に加速用レールガンを積み込むことで、射出時の加速度を落としながらも、必要な速度を得ることに成功した画期的なシステムを積んでいます。

 これでアカとアオちゃんが、発射の加速度でぺちゃんこになることは無さそうです。


 射出用コロンビヤード砲もヴェルナーのツテで破棄寸前の品を入手しました。

 どのみち、最新型の超強力コロンビヤード砲なんぞ使えないので、古くて十分。

 むしろ中古品なので気兼ねなく改造できました。

 さて、本日の試験打ち上げまでまだ時間もあるようなので、少し寝ます。


 おやすみなさい。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ヴェルナーが行っている打ち上げ前の監督官庁のお役人さん向けプレゼンを私は隣に座って聞いています。

 流石に新進気鋭のロケット博士という肩書きは伊達ではなく、とても一週間寝ていない人間とは思えない流暢さでプレゼンを終えて質疑に入りました。

 ここまでは、申し分ありません。

 後は打ち上げがうまくいけば大成功です。


 プレゼン後に、打ち上げ会場に移動します。打ち上げ会場は大盛り上がりです。

 折角のイベントということで張り切ったスタッフがツィッタで宣伝したら思いのほか見学者が集まってしまい、結果的に、スタッフ36名、報道関係者15名、監督官庁から5名、一般見学者200名以上というビックイベントになってしまいました。

 そんな中、射出用のコロンビヤード砲にセットされる『あかり』。


 ニコラ・テスラの指令を受けて、テスラタワーからの集中給電が開始。

 コロンビヤード砲に接続された巨大なオイルコンデンサアレイが蓄電されていきます。


「エネルギー充填、45%・・・50%・・」


 コンデンサへの充電量が刻々と上がっていきます。

 そして...


「100%。フルチャージ完了しました」


 後は、スタートスイッチを押すだけです。

 ここは部長に譲りましょう。

 社会人としては、失敗したときの責任を偉い人に分かち合ってもらう口実を作っておくのは大切なことだと私は思っています。


「そうか、済まないな。気を使ってもらって・・」


 そんな私の真意を知らないまま、スイッチに手をかける部長。

 管制室に上空に飛行物体のない事を確認し発射の合図します。


「では、皆さんで一緒に、コロンビヤード砲発射までのカウントダウンを開始します。」

「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1・・・発射!!」


 スイッチを押す部長。


『うぉん』


 コンデンサーからの超大電力を受けてパルス遅延用コイルが特有の唸りをあげます。

 砲身の中で発生したローレンツ力を受けて「つきあかり」はコロンビアード砲の中を加速しながら進み、砲弾の様に打ち出されます。

 次いでロケット搭載の推進用レールガンに火が入り、生み出された強大なローレンツ力によって、更に加速した『あかり』は雲を切り裂いて視界から消えていきました。


「どうやら成功のようですね」

「うん」


 確認しあう私とヴェルナー。

 ようやく、ひとつ肩の荷が下りました。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 そのころ管制室では、ちょっとしたトラブルが起きていました。


「レーダーがブラックアウトしたって?」

「はい。上空で急に発生した積乱雲が発生したと思ったら、いきなりレーダー管制が利かなくなりました」


 外ではイベントが開催中だ。主催者に警告した方がいいだろうか?


「レーダー回復しました」


 不意に復活した管制用レーダー。

 ロケットを示す光点も確かに存在するが...


「おかしくないですか?この光点、本来の位置から10000フィート高くズレています」


 レーダーを確認する。

 確かに射出後この短時間でこの位置は高すぎるが...


「今回のロケットは、あのヴェルナー博士の最新型だ。何か特別な仕掛けがあるんだろう」

「あ、それ知ってます。ロケットにレールガンを取り付けて推進力にするそうです。ニパニパ動画で実験見ました」

「マジか!流石に天才の考えることは違うな」


 こうして、この件は中雷による一時的な異常ということで処理された。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 打ち上げが成功し、監督官庁からの許可も下りて大成功だった今回の実験の唯一の反省点は、回収位置のズレでした。

 今回は搭乗員が乗っていないので、それほど重視していませんが、実際はアカとアオちゃんを乗せるのでおろす場所を正確に制御する必要が出てきます。

 次回の課題と言ったところでしょうか。

 回収されたロケットは何故か極度に冷えていましたが、当日上空に積乱雲が観測されていたので、上空にあった寒気団によるものというところで落ち着きました。


 ロケット本体には大きな傷もなく、表面に施された不思議な意匠も無事でした。

 しかし、あんな意匠だれがつけたんでしょう。

 時間なかったはずなのに...

打ち上げの成功を祝してひと時の安らぎ、の筈がなぜだか旅館を借り切っての大宴会を行うことに。酔っ払ったおじさんたちのセクハラ攻撃をかわしきれるのか?この小説はR指定になってしまうのか?


次回「コロンビヤード砲外伝 つかの間の休日」


水着回と温泉回は必須だと思います(っ・д・)三⊃)゜3゜)'∴:. ガッ

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